第20回募集、銅賞1作品、期待賞2作品、ノミネート2作品選出!
多数のご応募ありがとうございました。その中から選出された、栄えある受賞作品は…? (8月末締切分)
うずまきエンドロール
竹下直哉
あらすじ
京都に住む嵯峨野 姫は、ごくごく平凡な中学生。ただ父親が…時代劇の売れない大部屋俳優ということを除けば…。親一人子一人、令和人情青春活劇、始まります。
作品講評
漫画賞へ何度も挑戦し、ついに受賞へと漕ぎつけた作者の粘りに感服。作品ごとに課題を見つけ、拙いながらも克服しようと心がけた結果が今回の受賞へと繋がった。画面はまだまだ粗いが、キャラクターの勢いと後半へ向けテンポアップした展開は◎。丁寧なペンタッチに留意し、洗練された画面作りを目指してほしい。次回作には更なる飛躍を期待。
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泣きむしの君
わさびなゆき
あらすじ
仕事をクビになり、無職で家にいるなら一人暮らしの祖父の様子を見に行け、と山に囲まれた田舎へ放り出された誠。昔は泣き虫だった高校生の従弟と共に、毎日の畑仕事を手伝うことになり…。
作品講評
田舎暮らしを表現した説得力のある背景、キャラクターの表情の良さが受賞に繋がった。現実味のある畑や家の様子は見事。一方で、物語づくりが大きな課題。見せ場に向け、物語冒頭から読者がキャラクターに興味を持てるように工夫してほしい。また、前作に比べて人物の描写が固いことも気になるので注意を。次回作に期待している。
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戦庭霊樹
夏島ツカサ
あらすじ
昔々、美萩と蓮座という二大勢力が土地を巡り、何代にもわたって戦を続けていた。しかし、その争いは地震によってあっさりと終わりを迎え、それから300年余り―…。御園家の庭師として働く草助の前には、かつて美萩と蓮座に仕え戦った二人の侍の姿が…!
作品講評
丁寧に作られた物語と高い画力が評価され、初応募で見事「期待賞」を受賞。キャラクターや世界観の設定もよく考えられており好印象だった。しかし、物語のテーマ自体は面白いが、いかんせん説明が多く、読みにくさも感じた。重要な場面の説明を文章に頼りすぎている傾向があるので、今後は読みやすさを意識し、提示する情報を取捨選択しながら絵で説明することを心がけてほしい。持ち前の画力を活かした次回作を楽しみにしている。
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貴方を捧げよ
本田紺
あらすじ
身体に宿る「恵み」の力で村を繁栄させてきた御上家。村の人々が神だと崇める御上家の清香の元には、連日人々が願いを叶えてもらいに集まってくる。しかし、代々御上家に仕えてきた村守家の圭護は彼女が持つ「恵み」の力を得るためにはとある対価が必要だということに気がついてしまい—―…。
作品講評
エンタメ性を意識した、作者のセンスを感じる今作。前作と比べて構図や画面作りに工夫が見られ、非常に頼もしい。ただ、読ませる展開はできていたものの、キャラクターの魅せ方がもったいない。キャラクターの魅力を掘り下げ、厚みを感じる描写が増えるとより良くなるだろう。次回作にも期待している。
僵尸と人の子
フリルザメ
あらすじ
キョンシーの中でも「暴食の復讐鬼」と呼ばれる主人公「猪鬼」は、今日も今日とて人間を襲い続けていた。そんなある日、死体の山の中に、小さな赤子を見つけてしまい…。
作品講評
漫画の題材として「キョンシー」を選んだという着眼点は◎。使い古されたものではあるが、昨今あまり見ないだけに新鮮であった。ただもう少しこの「キョンシー」が、物語に上手く絡んだ設定になればと。デッサンはまだ拙く、画面の処理にも粗さが目立つ。作画面の課題をクリアにしつつ、更なる飛躍を。
【最終候補】
やさしいお食事処いかがですか
梦路辿
【総評】
第20回 MAGKAN(マグカン)漫画賞。今回は銅賞1作品、ノミネート2作品、そして新たに設けた期待賞には2作品を選出させていただきました。
ご応募いただいた皆様に心より感謝申し上げます。
銅賞『うずまきエンドロール』は、時代劇の売れない斬られ役の父と娘の物語。 不器用な親子関係を主軸に展開され、ドラマとしての読み応えを大いに感じた。 特に情けない父親が、娘の為に泥臭くも果敢に問題に立ち向かった姿はかっこよく、読み手の心を揺さぶる。これまでの作品はどこか作家のセンスに頼った作風で独善的な印象を覚えたが、今作は企画、構成、キャラクターともに必要な要素を押さえ見事に描き切っていた。飛躍的な成長に拍手を送りたい。今後もエンタメとして求められる要素を追求して作品価値を高めてほしい。★本作はMAGKANで公開を予定しております。是非ご期待下さい。
『泣きむしの君』は新設された期待賞を受賞。無職の主人公が祖父の家を訪れ、従弟の少年と再会するストーリー。田舎暮らしのなかで繰り広げられる二人の掛け合いが見ていて微笑ましかった。背伸びするような生意気な少年・蒼太も可愛らしく描けている。ただ本作のカタルシスを高めるために、主人公の成長をもう少し描くべきだったように思う。主人公が気づきを得て問題に向き合う前に掘り下げるべきバックグラウンドや欠落。主人公が他のキャラであっても成立しそうなきらいがあるならばその点は改善の余地があるはず。★本作は10/1更新のMAGKANで公開しております。是非ご覧下さい。
同じく期待賞受賞の『戦庭霊樹』。300年前に大地震があった戦場が舞台となる庭師の物語。壮大な世界観。作画も安定しており、作家のポテンシャルの高さが窺える。反面、読者にストレスなく読ませる意識を欠いていた印象を受け、勿体ない。構成や情報、セリフ量の精査。作品で伝えたい要素やテーマを大事にしつつ、読ませるよりも魅せる工夫を試みてほしい。次回はこの課題に向き合い、作品を紡いでほしい。期待大。★本作はMAGKANで公開を予定しております。是非ご期待下さい。
『貴方を捧げよ』はノミネート受賞。村で神と崇められる少女と、彼女に仕える少年の物語。村の閉鎖空間で繰り広げられる“歪み”がうまく表現され没入感が高かった。弱みを握られた少年の葛藤も緊迫感があり楽しめる。反面、主人公の少年に執着する少女についての説明が乏しく、疑問が残ってしまう点が心残り。演出面でも少し浅さが残るので、魅せるべき表情や、情景を把握し、絵として楽しませる工夫も試みてほしい。
『僵尸と人の子』は同じくノミネート受賞作品。恐れの対象であるキョンシーの主人公と、彼が拾った呪術師の子供によるコメディ作品。キャラクターデザインや、コミカルに展開していく物語が魅力的。また相反する要素をかけあわせた“異形×赤ちゃん”のコンセプトは伝わりやすく、読者の興味を引くものに仕立てられている。反面、キョンシーである必然性に欠けている印象があるので、プロット段階での練り込みが足りなかったように感じた。着眼点は良いので、今後は設定したコンセプトでどう演出すれば読者の期待に応えられるか、企みをもって創作してほしい。
次回は2023年・秋(締切:11/30当日消印有効)。
優秀な作品は即掲載、関西の編集者が担当に付き、ともに連載獲得を目指すことができます。 また受賞に至らずとも可能性を感じる才能の原石には編集部から担当希望のご連絡を差し上げることも。 ここから将来、日本を代表する作家さんが誕生することを心から願って――皆様のご応募、心よりお待ちしております。
多数のご応募ありがとうございました!
みなさんの応募をお待ちしております!
第21回の締切は2023年11月30日!
≫ 応募作品募集中!
面白かったら応援!
2023/10/1