第21回募集、銅賞1作品、期待賞2作品、ノミネート3作品選出!
多数のご応募ありがとうございました。その中から選出された、栄えある受賞作品は…? (11月末締切分)
母にダリアを
秋田ケイチ
あらすじ
フューネラルフラワーディレクターとして働く母が大嫌いな女子高生・蘭。花を見るたびに思い出す苦い記憶が、母を遠ざけてきたのだが…。
作品講評
4度目となる応募で、ついに銅賞を受賞した今作。まだ拙い部分はあるものの、これまでの作品と比べて一皮むけ、最後までストーリーでしっかりと読ませる引力を感じた。ただ、ところどころ表情の描き方が固い点とキャラクターの内面描写気のディティールが甘い点が気になる。今後は更なる画力の向上と、読者を共感させるキャラクターの感情表現について追求してほしい。更なる飛躍を楽しみにしている。
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二人の女王
もりの 葉っぱ
あらすじ
王女クレイゼラッドは、公務の煩わしさから逃れるため、自身の「替え玉」を用意することに…。
作品講評
セリフの流れ、言葉選びのセンスに脱帽。画力はまだ拙い箇所もあるが、伸び代を感じる。今後はエンタテインメント性を如何に作品に投入できるかが課題。次回作にも期待したい。
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月下、君が為に咲く
間壁
あらすじ
高校生の愁真は、友人である惣治郎の勧めで絵画コンクールに応募することに。創作に行き詰りながらも、惣治郎の協力で作品を完成させるが…二人だけの時間は残り僅かだった。
作品講評
キャラクターの感情が伝わってくる表情と丁寧な心理描写が評価され、見事「期待賞」を受賞。やや身体の線の固さが気になるものの、作画も安定していた。一方で、中盤以降のストーリーの運び方は上手く展開を作れず、冗長的な印象を与えてしまったように思う。次回作ではテンポ感を意識して、読者が読み進めたくなるストーリー構成を目指してほしい。今後に期待大。
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知らない恋は別れの後に
saho
あらすじ
恋というものがよく分からない大学生・暎。いつものように彼氏にフラれ、「俺、一生恋なんてできねーのかなー…」と嘆いていると、友人の葵からまさかの提案があって…。
作品講評
物語を丁寧に紡ごうとする作者の意志が感じられた意欲作。キャラクターにも華があり、爽やかな空気感を演出するセンスがある。ただ、読者を引き込むための新鮮味がやや乏しい印象。恋愛という軸の他に時代性を反映した他の軸も取り入れて、ドラマに厚みを持たせることができればと。また、人物のデッサンもまだ拙い部分があるので、課題として取り組んでみてほしい。次回作に期待。
魔王様のソシャゲ生活がサービス開始しました
モんぺ
あらすじ
ソシャゲが好きな大学生・松岡克己の前に現れたのは…美人魔王!? 世界を滅ぼそうとする魔王を阻むため、主人公が魔王にソシャゲをやろうと持ち掛けると…。
作品講評
コンセプトが分かりやすく、すらすらと読むことができた本作。魔王のビジュアルが可愛く、細かい笑いもしっかり入っていて面白かった。今後の課題は演出と背景の描き込み。笑いの量のわりには淡泊な印象を受けたので、緩急を意識した演出を研究し、背景の描き込みもブラッシュアップしてほしい。持ち前のセンスを生かした次回作を期待している。
せんせいとぼくと世界の涯
緋田すだち
あらすじ
魔法の源は人間の感情であると説く魔法使いの先生と、その弟子を巡るヒューマンファンタジー。
作品講評
伝えたいことがあるから漫画を描く、その純粋な意思を感じる作品。ネームの構成、デッサン力にはまだまだこれからな感はあるが、題材選びによっては飛躍的に化ける可能性も。
【最終候補】
ヒイラギ
タピ岡ミルクティ子
【総評】
第21回 MAGKAN(マグカン)漫画賞。今回は銅賞1作品、期待賞2作品、ノミネート3作品を選出させていただきました。
ご応募いただいた皆様に心より感謝申し上げます。
銅賞『母にダリアを』は、フューネラルフラワーディレクターの母とその娘の確執を描いた物語。粗さが残るものの娘が抱える母への葛藤と心理描写には惹き込まれた。展開やリズムも小気味よく、没入感がある。またクライマックスでは花が活けられた祭壇の見開きカットが大胆に描かれ、読者の心を揺さぶるものに仕立て上げられていた。基礎力の向上に関しては今後も課題とすべきだが、それ以上に作家のポテンシャルの高さを再認識させられた作品。根気強く投稿を重ね、成長を遂げた作者に拍手を送りたい。★本作は1/1更新のMAGKANで公開しております。
期待賞『二人の女王』は、王女・クレイゼラッドとその替え玉の少女のストーリー。よくある替え玉に立場を奪われるような展開や設定だが、それ故に読者は迷いなく読み進めることができる。コンセプトに関してもフックがしっかり用意されている為、次の展開が気になり、読み手のページを捲る手を止めさせない。今回の投稿作品のなかで特にエンタメが意識されている作品だと思う。ただ作画に関しては拙さが感じられる部分が散見され勿体ない印象。今後は、己の武器を活かしつつ、作品全体のディテールにも拘って作品を紡いでみてほしい。★本作は2/1更新のMAGKANで公開しております。是非ご覧下さい。
期待賞『月下、誰が為に咲く』は、進路に迷う愁真と彼の絵画の才能を応援する友人・惣治郎の儚い一時を描いた作品。高い画力、バランス良い構成で紡がれたコマ割りなど作家の実力が窺えた。反面、中盤あたりから間延びを感じ、切り替わる視点にも戸惑いを覚える。高い技術力が備わった作家なので、今後の作品はコンセプトを重視したものを検討してみてほしい。題材選びが勝負。★本作は2/1更新のMAGKANで公開しております。是非ご覧下さい。
『知らない恋は別れの後に』はノミネート受賞。人を好きになる気持ちがわからない大学生・暎と、そんな彼の恋人になることを申し出た親友・葵のBLストーリー。掴みどころのない暎が徐々に葵に恋焦がれていく様が丁寧に描かれていた。最終的に二人の立場が逆転し暎が“ちょろい”キャラに変わってしまうが「恋に落ちる」という物語として見事に描き切っていたと思う。キャラクター描写は特筆すべきものを持っている作家だが、ドラマとしての意外性はあまり感じられなかった点は心残り。葵のスペックがヤンデレ気質だった点など伏線等として構成に組み込んでも良かったように思う。
『魔王様のソシャゲ生活がサービス開始しました』は同じくノミネート受賞。ソシャゲ好きな大学生と彼の家に居候する女魔王のコメディ作品。居候系コメディのコンセプトや着眼点はシンプルで読者に伝わりやすい。女魔王のヴィジュアルや周りを振り回す性格なども魅力的でキャラクターが起っている。しかしながら、あまり魔王である必然性が感じられず、期待するお色気シーンも控えめだった。作家の狙いや切り口次第だが、読者のニーズを考えることでドラマや展開にも厚みが出せるように思う。
最後のノミネート受賞作『せんせいとぼくと世界の涯』。感情が力の源である魔法。その魔法を巡る師弟のファンタジー作品。ショートストーリーを1冊にまとめた意欲作。物語としては成立しており、作者が表現したい世界観も伝わる。反面、画面づくりやコマ割りには窮屈さを感じられ読みづらさが残る。特にコマ割りのフレーミングに関しては工夫を試みてほしい。ファンタジー作品は日常作品と違い、読者が初めて体験する世界。そこに奥行きが感じられない場合、説得力が欠けてしまう。高い技術力を持つ作家なので、次回作は魅せることを意識した作品づくりに注力してほしい。その試みは「読ませる」ことに繋がるはず。
次回は2024年・冬(締切:2/29当日消印有効)。
優秀な作品は即掲載、関西の編集者が担当に付き、ともに連載獲得を目指すことができます。 また受賞に至らずとも可能性を感じる才能の原石には編集部から担当希望のご連絡を差し上げることも。 ここから将来、日本を代表する作家さんが誕生することを心から願って――皆様のご応募、心よりお待ちしております。
多数のご応募ありがとうございました!
みなさんの応募をお待ちしております!
第22回の締切は2024年2月29日!
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面白かったら応援!
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