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マグカンさんの作品:【第八十五回】女優 沙倉ゆうのさん

関西にいる「シュッとした」人たちから「シュッとした」お話を聞きたくて始めた、MAGKANインタビューコーナー!

第八十五回は、

女優 沙倉ゆうのさん にお話をうかがいました。今まで出演された現場でのことや、気を付けている美容のことまで、幅広く語っていただいたインタビューです。

 

積み重ねて頑張ってきたものを人に観てもらえる瞬間があるから、撮影がしんどくてもつい「次も頑張ろう」って

──東映京都撮影所で撮影された自主映画『侍タイムスリッパー』に出演の時は、東映京都俳優部に所属されていましたが、印象に残っているお仕事はありますか?

沙倉(以下、S):
時代劇のお芝居に参加させていただいて、殺陣の立ち回りの中で逃げ回る女性の役をした時が印象に残っています。東映京都撮影所の建物のセットの中での立ち回りで、私は決められた道を逃げるだけなんですけど、少しでも間違えたら刀に当たってしまうので、すごくドキドキしていたんです。でも、殺陣を演じられる方々は刀を扱いながらも逃げる私たちをちゃんと見て、危険なことにならないように動いてくださるのを体感して、すごいなと思って…。私が殺陣を習った時なんて、自分のことだけで精いっぱいになってしまっていたのに。その記憶があったので、余計に殺陣をされる皆さんのすごさを目の当たりにしました。

──殺陣のご経験があったからこそ、強く印象に残ったんですね。

S: お稽古で殺陣を習った時は、難しかったですし、怖かったんです。『侍タイムスリッパー』の映画の中でも、刀を後ろまで振ったら後ろの役者に当たってしまう、と教えているシーンがあったと思うんですが、本当にあのとおりで。うっかりすると、振りかぶった刀が周りの人に当たりそうになるんですよ。参加した全員が初心者だったので、自分だけで鏡を見て刀を振るだけならいいんですけど、実際に立ち回りで動いてみたら「危な…!?」ということもよくありました(笑)


──殺陣と言えば、「日本一の斬られ役」と呼ばれた福本清三さんと映画『ごはん』で共演されていましたよね。

S:
はい。サービス精神旺盛というか、常に全力で向き合ってくださる方で、尊敬しています。『ごはん』の撮影中、私が何度NGを出しても嫌な顔ひとつ見せないで付き合ってくださいましたし…。それこそ殺陣のお稽古の時も講師として来てくださったんですけど、実演して見せる時、瞬時に斬られ役の顔つきになって演じてくださるんですよ。ついさっきまでは朗らかに立っておられたのに。どんな時でも本気で、そういうところを見習いたいなって感じていました。『ごはん』の舞台挨拶で一緒に各地の映画館に行ったんですが、ご自身の映画『太秦ライムライト』より舞台挨拶の回数が多いっておっしゃっていましたよ(笑)


──そうだったんですね!(笑) 沙倉さんは時代劇と現代劇の両方で演じられていますが、演じ方で混乱することはありませんか?

S: 混乱することはないですね。確かに所作は全然違っていて、何か物を運ぶだけでも決まった持ち方があったり、蝋燭を持った状態での立ち上がり方にも決まりがあったりするんですけど。ああ、でも、撮影中に「台本のこのセリフに入るまでに何かアドリブで話して」と言われると咄嗟に出てこなくて、それが難しいです。時代に合わせた言葉遣いと内容にしないといけないから、なかなか…。


──そんな難しさもあるんですね。撮影自体は関西で行われることが多いかと思うのですが、関西で撮影する楽しさのようなものはありますか?

S: 実は…撮影を楽しいって思ったことがなくて。

──そうなんですか!

S: 自分がどんな気持ちで演じていても、結局現場でOKが出ないとダメだと思っているので、撮影の時はすごくしんどいです。楽しんでいる余裕がないくらい、いっぱいいっぱい。映画の公開や放送後、皆さんに観てもらって「いいね」と思ってもらえる時が一番楽しいです。子どもの頃も、習っていたバレエとダンスの発表会で人に観てもらう時が一番楽しかったんですよね。授業とかで人の前に出るのは苦手なんですけど(笑) それでも、積み重ねて頑張ってきたものを人に観てもらえる瞬間があるから、撮影がしんどくてもつい「次も頑張ろう」って思ってしまいます。

 

シワができないように枕を使わずに寝ている

──演技に興味を持ったきっかけは何だったんでしょうか?

S: 幼稚園の時からアイドルに憧れていて。おままごとやお人形遊びは一切せずに、おばあちゃんに買ってもらったマイク付きのラジカセを持って、いつも一人でアイドルごっこをしていたんです。気づけば、小学生の頃には「将来は女優になりたい」と言っていて…。だから決定的にこれっていう理由はないんです。映画とかドラマを観るのが好きだったからかなぁ。

──その頃から変わらず憧れている女優さんはいらっしゃいますか?

S: 篠原涼子さんがずっと好きです。サバサバしたカッコいい演技も、かわいい演技も全部できるところが羨ましくて。憧れですね。

──美容ではどんなことに気をつけておられますか?

S: 年に3、4回エステには行くんですけど、一番気をつけていることのひとつは首ですね。顔はお化粧したり撮影の照明でけっこうごまかしがきくんですけど、首元ってそのまま映ってしまうんですよ。だから、シワができないように枕を使わずに寝ているんです。

──枕を使わないのが首のシワ対策になるんですね!

S: はい。あとはスキンケアを首まで全部やってるんですけど…最近2本、シワがあるんです!(笑) だんだん濃くなってきているので、オーダーメイドの枕ってどうなのかなって最近は考え中です。あとは界面活性剤の入っていないシャンプーと、身体は固形石鹸を使うようにしています。


──それはどうしてですか?

S: 26、27歳の頃に一年くらいエステでアルバイトをしていたんですが、そこで経皮吸収について教えてもらってからオーガニック系のシャンプーを使うようになりました。今でこそオーガニック系の商品ってドラッグストアに手ごろな物が売っていますけど、当時はあんまりないし、お値段もけっこうするので大変でした(笑) 今はドラッグストアで買っています(笑)

──どちらも長く継続することが大事なんですね。先日発売された写真集『BRILLIANCE』では、コロナ禍の時から撮影されていたので美容面でも整えていくのが大変だったんではないでしょうか。

S: 冬になるとどれだけ気をつけていても太ってしまうのが困りましたね。夏になると戻るんですけど。撮影は『侍タイムスリッパ―』の安田監督にしていただいたので、その撮影技術で粗を隠していただいています(笑) 水着で振り返った時にどうしても入る背中のシワとかも、監督から「シワ―!」って言われて、腕でちょっと隠したりとか(笑)

 

『侍タイムスリッパ―』の現場スタッフはほぼみんな素人

──そんな裏話があったんですね(笑) 安田監督とは長くお仕事ご一緒されているかと思いますが、『侍タイムスリッパ―』では演者だけでなく助監督もされていたんですよね。

S: そうなんです。京都撮影所では大人数での撮影で、現場との距離もあるうえ、私も出演しているしで大変でした。 先輩たちに「今何やってる?」と訊かれたら「ちょ、ちょっと聞いてきます…!」って走って現場に確認に行ったりをけっこうしていて(笑) 大人数なのに、プロは録音部と照明部でお手伝いに来てくれた方だけという、素人スタッフばかりだったんですよ。私の母まで手伝いに来ていたくらいで(笑)

──ええ!(笑)

S: 安田監督が撮るショートムービーや映画をお手伝いすることはあったんですけど、本当に少人数だったので、やることが全然違ったんですよね。レフ板持ったり、交換用のレンズを持ったり。『ごはん』の時は監督と私の二人だけで撮影したこともありました。監督が田んぼの向こうで三脚を構えて場所決めて、カメラを回したら監督がばーっと走ってきて「はい、スタート!」みたいな(笑) 『侍タイムスリッパ―』の現場スタッフはほぼみんな素人だから、自分たちで判断してそれぞれすぐ動いていくものでもなくて本当に大変でした。その分、あれだけ多くの人に観ていただけたのが嬉しかったです。


──現場で皆さんが話し合いながら作り上げていく映画だったから、というのもありますか?

S: 私は撮影の時に意見を言うことってあんまりないんです。いつも言われるがまま(笑) 高坂新左衛門役の馬木也(山口馬木也)さんや風見恭一郎役の冨家(冨家ノリマサ)さんは役や映画に対する想いが熱くて、監督と意見交換されている姿をよく見ていましたよ。

──そうだったんですね。そんな皆さんと舞台挨拶も各地で行われていたと思うんですが、印象に残っているものはありますか?

S: 『侍タイムスリッパ―』の最初の上映館だった「池袋シネマ・ロサ」で、全国拡大公開の報告をした時ですね。既に情報解禁はされていたんですけど、お客さんが本当にもう喜んでくださっていて、「良かった…!」みたいな反応だったんです。その時の、顔。舞台から見た時の皆さんの顔がすごく心に残っています。

──今後も、撮られる側だけでなく、映像を撮る側をやっていきたいですか?

S: 脚本があれば撮りたいです。以前、短編映画の監督をやった時も、漫画家の叔父に頼んでお話を書いてもらったんです。私は物語を作ることが苦手なので…。0から1を生み出す発想力がないんです。でも、安田監督に手伝っていただきながらではあったんですけど、編集作業で「ああやって」「こうやって」と決めていくのがすごく楽しかったので、短編とかを誰かが書いてくれるなら撮ってみたいですね。

──では、演じたい役や、やってみたいお仕事はありますか?

S: 自分に合っている役があるなら挑戦してみたいです。テレビドラマでも、映画でも。テレビだと全国どこでも観られるので、いろんな人に気軽に観てもらって喜んでもらえる嬉しさがありますし、映画は映画好きの人たちの想いが強いことを実感しているので、映画も出続けたいですね。あとはお芝居以外なら美容雑誌のモデルとかやってみたいです!

 

沙倉ゆうの セカンド写真集『BRILLIANCE』

 

2019年から2025年の7年間を撮りためた144ページ・A4サイズの写真集。
カメラマンは安田淳一。


詳細はこちら。
https://ambree.booth.pm/items/7288323

 

Q.「シュッとしてるもの」って何だと思いますか?
S: 東山紀之さんです。小学校1年生の時からずっと好きで。東山さんが出ておられるものは観てきたので、それで時代劇もよく観ていたんですよ。
──いつか共演できませんかね…。
S: そうなんです…。もう引退されているので難しいんですけど…。あと挙げるとしたら、ハスキー犬です。以前飼っていて、もう亡くなってしまったんですけど、シュッとした犬だなあって思います。
Q.自分の名前で缶詰を出すとしたら、中に何を詰めますか?
S: 自分の笑い声!(笑) つられて笑ってもらえたらいいなって(笑) それと、物で言うのならお米ですね。この半年間、バケツ稲作でお米を作っているんですけど、毎日見ているとちょっとずつ大きくなっていく様子がわかってそれが嬉しくて…。できたらその私が作ったお米を入れたいです。

 


沙倉ゆうの

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兵庫県出身。1979年生まれ。安田淳一が監督を務めた映画『拳銃と目玉焼き』『ごはん』に出演し、『侍タイムスリッパー』では山本優子(「優子殿」)役を演じた。漫画家の岡崎二郎は叔父。叔父の漫画のほか、子どもの頃は『ブラック・ジャック』『火の鳥』を読んでいた。現在はコミカライズ『侍タイムスリッパー』(徳間書店刊)の連載を楽しみにしている。(※11/1よりアイエス・フィールド所属)

撮影:青谷建

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19時間前