• お知らせ 2018.12.1

シュッとした噺【第五回】

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関西にいる「シュッとした」人たちから「シュッとした」お話を聞きたくて始めた、MAGKANインタビューコーナー!

第五回は、

大阪・中津でうどん屋「たけうちうどん」を営む、竹内具大(たけうちともひろ)さんにお話をうかがいました!「自分が作ったものをどう商売にするか」「どう差別化していくか」と常に考える、関西の商人らしいその姿勢について語っていただいたインタビューです。

「たけうちうどん」とは?

毎日お昼どきには行列の絶えない、”とり天ぶっかけ”発祥のお店。看板メニューはもちろん”とり天ぶっかけ”。500gの麺にとり天が5個も乗っているボリューム満点な一品を提供しています。揚げたてのとり天がとってもジューシーで、唐揚げでは満足できない、ここのとり天が食べたい!と思わせるほどのおいしさ。こだわりの麺も、讃岐うどんのような弾力を残しつつ、程よい柔らかさも兼ね備えていて、食べ応え抜群です。大盛りはなんと麺が1kgに!テレビや雑誌でもよく紹介されていて、関西屈指の人気を誇るうどん屋です。


学生の時からずっと「30歳になったら独立して起業しよう」と思っていたんです。

──「たけうちうどん」を始められたきっかけは何だったんでしょうか?

竹内(以下T):学生の時からずっと「30歳になったら独立して起業しよう」と思っていたんです

──学生の時からずっと?

T:父方の祖父が総合商社の商社マンで、母方の祖父が自分で会社を経営していたんです。それで商社マンの祖父から、サラリーマンで商売しているよりも、自分で起業して一からやっている人の方が偉い、と繰り返し言われていて。それで起業のプランを考えていたんですけど、いまいち浮かばないから飲食店でもするか、と思い至りました。

──その中でどうして”うどん”だったんですか?

T:それがね、消去法なんですよ(笑) どっちかって言うとうどんは嫌いで(笑)

──え、ええ!?

T:ランチ中心で、ちゃんと生活ができるものをやらないといけないなと考えて、うどんを選びました。お酒をあまり提供しないお店なら、昼夜逆転することもないので。それで、30歳になってから、実家の尼崎から通える位置にある、福島区の「やとう」(2012年閉店)というお店で三年半修行しました。本当は一年半ぐらいで卒業したかったんですけどね。一年経った頃に、師匠が糖尿病になってしまって。僕のかわりに麺つくりを任せられる人が現れるまで、お店を回していたんです。



――うどん業界だと、その歳でお店を始めようとするのは早い方なんでしょうか、遅い方なんでしょうか?

T:そのくらいの歳からが多いですね。毎年、若い人がどんどんお店を始めていくんですが、みんな大体30代くらいの方が多いです。関西では200~300人が集まる「関西うどん新麺会」というのが一年に一回あって、新店をかまえる人も多数来るんですよ。

――30歳になるまでは、何のお仕事をされていたんですか?

T:最終的には、3次元CADでモノ作りをする仕事をしていました。本当に普通のサラリーマンでしたよ。最初に入った会社だと、入社試験の役員面接で「君は経営者になりたいのか?」と聞かれて「なりたいです」って答えたことで採用されたんですけど、ここやったら経営についていろいろ分かるかな、とかも思いながらはじめは働いていましたね。

──ええ…!? 漫画家デビューも同じことが言えるんですが、どんな業界でも、何かを始めるのに年齢も経験も関係ないんですね。

T:ちゃんとビジョンを持っていたら関係ないと思いますね。体力との兼ね合いもありますけど、その中でやれることをできれば。

とにかくオリジナルのものを作りたい

──どういうところにこだわってお店をやっていらっしゃるんですか?

T:実は、うどんにとり天を乗せたのって、僕が初めてなんですよ。13年前、ざるうどんの横にとり天をつけた、かしわ天ざるというのは香川県にあったんですけど。

──たいていのお店で”とり天ぶっかけ”って見かけますよね。

T:誰もしてないやろと思って、始めました。あと、”とりダシつけめん”にとり天を乗せているのは僕だけだと思います(笑) これはもうしゃあないから乗せとけって感じで乗せていますけど(笑)  出汁も、とり天ぶっかけに合わせて作っています。とり天ぶっかけに特化したお店なんですよね。

──他がしていないことをしてやろう、お客さんをびっくりさせてやろう、という性分なんでしょうか?

T:いや、驚かしてやろう、とかはないです。ただ、生き残ることを考えたら、とにかくオリジナルのものを作りたいな、と。麺に関しても、ここに来ないと食べられないっていう麺を作りたいんです。まだできていないんですけど。



──麺が500gあって、とり天が5個ついてくる、あのボリュームも始めから?

T:一杯で満たされるものを作りたかったんです。何も考えずに座って、注文して、ばぁーっと食べて、ばぁーっと帰れるように。普通のうどん屋さんって、うどんと何かご飯ものをつけますよね。でも、それだとお客さんがメニューを選ぶ時に考えてしまう。僕がサラリーマンをやっている時、仕事中は緊張感を強いられていたんで、お昼休みはぼぉーっとしていたいと思っていたんですよ。僕の勝手な考えなんですけど、ランチで何を頼むか考えたくないんじゃないかなって。だから、ワンプレートで満足して帰れるように、唐揚げ定食をひとつに盛っちゃったみたいなトッピングにしています。あと、お店の造り的にこまごましたうつわを置く場所がないっていうのもあります (笑)

──一石二鳥、というわけですね(笑) なんだかすごく、関西人らしいなと思ってしまいます。

T:ちなみに、大盛りが1kgもあるのは、僕がお店を始めた時にその量でちょうど良かったからです。

──厨房も体力の要る仕事ですもんね。大阪うどんでお店をやろう、とは思わなかったんですか?

T:大阪うどんって、値段的にも、差別化が難しいんです。普通のうどんって、駅の立ち食いそばでも食べられるでしょう。そうなると、商売として単価をとりづらいんですよね。


うどんをもっとデフォルメしたいんですよね

──中津で、12年もお店を続けてこられているんですね。お客さんとの繋がりで印象に残っていることってありますか?

T:基本はお客さんと話さないスタンスで営業しているので…。待ち時間や食べている時にスマホで漫画を読んでいるお客さんが多いな、と見ていたりするくらいですね(笑) あ、でも、10年以上もお店をやっていると、はじめはお兄さん一人で来ていたのが、彼女を連れてきだして、いつの間にか結婚して子供と食べに来ている人がいたり、河合塾が近いので、予備校生だった人がスーツを着てまだ食べに来ていたりとか、そういうお客さんの姿を見るようになったので、歳をとったなあと思います。

─今後の目標はありますか?

T:うどんをもっとデフォルメしたいんですよね。

──デフォルメ?

T:うどんっていう概念があるでしょう。讃岐うどんといえば、こういうもん、とみんなが想像するような。それを、「うどんって言われてるからこれはうどんやけど、冷静に考えたらうどんと違うやん」っていうような、うどんを作りたいんです。

──他では食べられない麺をもっと追求したい、と?

T:例えば、今のうちの麺は、讃岐うどんよりももう少し柔らかくて、芯が残りつつも伸びのある感じなんですけど、もっと角がとれて、もっと伸びるようなうどんでもいいかな、と。「これふにゃふにゃやで、伸びきってるやん!」と思って食べてみたら「あれ、伸びてないわ」と感じるような。

──想像できません…!

T:もっともっと差別化したものを作りたくて。僕はうどんでなくなってもいいと思っていますし。別にうどんが好きじゃないから(笑) そこまでオリジナルのものを作れるようになったら、楽しいですよ。

Q.「シュッとしてる」ものって何だと思いますか?

T:メルセデスベンツのW124。

Q.自分の名前で缶詰を出すとしたら、中に何を詰めますか?

T:うどん500gととり天5ヶをギュッと詰めます。  



竹内具大

大阪・中津にあるうどん屋「たけうちうどん」の店主。大阪市在住。2006年に店を始め、今もオリジナルのうどんを追及している。子供の頃、好きだった漫画は「こちら葛飾区亀有公園前派出所」(集英社刊)。


「たけうちうどん」
お店の看板商品は”とり天ぶっかけ”(800円)。夜は限定で”とり天カレーうどん”(830円)が提供されている。店内はハイスツールにタイル張りのカウンターで落ち着いた造りになっている。平日は開店直後か、14時前後に行くと比較的並ばずに食べられるので、その時間帯を狙ってみては。

営業時間 11:30〜14:30、18:00〜21:00 定休日 日曜・祝日
大阪府大阪市北区豊崎5-2-19 TEL 06-6375-0324



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