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マグカンさんの作品:【第六回】芸人 酒井藍さん

関西にいる「シュッとした」人たちから「シュッとした」お話を聞きたくて始めた、MAGKANインタビューコーナー!

新年あけましておめでとうございます!
2019年一発目の第六回は、

吉本新喜劇で初の女座長を務める、 芸人の酒井藍さん にお話をうかがいました!「吉本新喜劇で胸キュンを届けたい!」という強い想い、また、ネタの発想を少女漫画から得ているという驚きの舞台裏について語っていただいたインタビューです。

 

女座長ならではの、胸キュンする新喜劇を作っていきたい

──吉本新喜劇の座長に就任されて一年半が経ちますが、今のお気持ちを教えてください。

酒井(以下S): ほかの座長の皆さんの凄さ、まわりの芸人さんや吉本興業の社員さんのあたたかさ、ありがたみを感じる日々です。私が最年少の座長なので、ベテランの皆さんが本当に良くしてくれるんですよ。資料と一緒にのど飴を置いてくれたり、めだか師匠(池乃めだかさん)が「こっちの方が盛り上がるかもしれへんから、俺こうしようか」と言ってくださったりとか。皆さんの力があってこそ、一本、新喜劇ができているんだと実感しています。

──皆さんがサポートしてくださっているんですね。

S: 新喜劇以外の面でもそうで…リンゴ姉さん(ハイヒール・リンゴさん)が、ロケの時に「それ変なブラジャーやな、乳の位置おかしい」って良いブラジャーを買ってくださったこともあります(笑)

──ブラジャー…!?(笑)

S: 本当に皆さん優しいんです(笑)

──具体的に、座長はどういう仕事をされているんですか?

S: 自分が座長の週に公演する、新喜劇の内容を考えるのが主な仕事です。今は三劇場(なんばグランド花月、よしもと祇園花月、よしもと西梅田劇場)あるので、最低でも一ヶ月に新作二本は作っています。大体一ヶ月前から作家さん、社員さんと台本・キャストを決める打ち合わせを始めるんですが、ギリギリな時もあるんですよ。もう必死です。


──新喜劇を作っていく上でのこだわりはありますか?

S: 男性の座長にはない、女座長ならではの、胸キュンする新喜劇を作っていきたいですね。

──それを、新喜劇の皆さんに演じていただくんですね。

S: 例えば、一人の女性を親友同士で好きになる話とか。片方は熱い男なんですよね、それを熱い演技の似合う吉田裕さんにやってもらう。もう片方は、「裕のために応援するで!」って言っちゃうような、まじめで可愛いらしい男の子にしたいので、清水啓之さんに。女の子は元気系なんですよ。ポニーテールの。甘えたさんじゃなくて、ダンスやってます!薙刀やってます!みたいな。そこは綺麗どころの井上安世さん、金原早苗さん、前田まみさんにお願いして。

──キャストももうバッチリ決まっていますね。

S: その三人の三角関係なんです。早苗は啓之に想いを寄せていたけど、啓之は裕の気持ちを知っているから、裕のことを彼氏として薦めてしまって、「何でそんなことすんの」って早苗は怒るんですよね。そのあと、早苗がバイト役の私に「実は啓之が好き」って話しているところを裕が聞いてしまって…(話のオチまで続くため省略)…「あー!わかるぅー!胸キュン!」みたいなのをやりたいんです。すみません、多弁になりました(笑)

 

「新喜劇の小籔カッコよかった~」って書かれていて、「よし」って。

──(笑) 目の前で一人漫才が繰り広げられるのを読者の皆さんにお見せしたいくらいでした(笑)

S: 私が座長になってから、そういう新喜劇をたまにやるんですけど、稽古していると座員の皆さんから「恥ずい」「これ笑ってまうわ!」って言われるんですよ。イケメンの新名徹郎さんなんか、「藍ちゃん、恥ずかしいわ」って稽古のたびに絶対言います(笑)

──そこは照れを隠していただかないといけませんね。

S: 「そこ、笑わないでください!本気で、本気で腕を引っ張って、その引っ張った勢いで思いっきり抱き締めてください!それが大事なんです‼」とか、熱く語っていますね。「普段は演出でそんなに言わへんのに、そこだけうるさいな」って言われちゃいますけど(笑) 「もうええやんそこは!」って言われても引き下がらないんですよね。「いや、だめなんです!もっとこう…」「もうわかったって!」とか(笑)


──ファンの方からの反応はいかがですか?

S: 女性の方から、めちゃくちゃキュンキュンしましたって言っていただいたことがあって、それはすごく嬉しかったです。以前、小籔兄さん(小籔千豊さん)と井上安世さんの恋愛を描いたときは、Twitterで「新喜劇の小籔カッコよかった~」「安世ちゃんかわいかった~」って書かれていて、「よし」ってガッツポーズしていました。

──狙い通りの舞台を作っているってすごいですね。

S: 小籔兄さんも井上安世さんもお芝居が上手なので、すごくカッコよくて可愛い芝居をしてくださるんですよ。想像で作った台本が目の前で広がっていくので、「うまいことやってくださって、最高です、ありがとうございます」とよく思っています。それで女子たちが色めきだってくれるのが嬉しいんですよね。

──ご自身がヒロイン役になることもあるんですか?

S: 私はボケなので、主人公になってしまったらボケにくくなるのでダメなんですよ…。

──バランスも考えないといけなくなりますもんね…。

S: そうなんです…。なので、男役になって、ヒロインが顎クイされた後に「うわ~俺もされたい~」「なんで男やのにされたいねん」っていう流れを作って、実際に顎クイをやってもらうとかして、おこぼれを頂戴していますね。あっでも、ドラマ『大阪環状線Part3ひと駅ごとのスマイル』(関西テレビ放送)に出演させていただいた時は、姜暢雄さんに本当に壁ドンしてもらいました。最高でした………。

 

漫画にめちゃくちゃ助けられています。ほんまに。

──その胸キュンネタの発想はどこから得られているんですか?

S: 少女漫画です。映画やドラマ、日常で感じたことから考えることも多いんですが、少女漫画が一番分かりやすいんです。読んでいて、「うわ、これ最高やん!この主人公になりたい!」って妄想を昔からよくしていたので、印象に残ったシーンやセリフを「これ使いたいな」と思ったら、そこから組み立てていっていますね。

──まさか少女漫画から広げて新喜劇を作っていたとは思いませんでした。

S: 妄想癖があるんですよ。漫画を読んでいて、「これは新喜劇やったらあの人やな」「うわ、これくらい背の高いイケメンが新喜劇にいたらこれできんのに!」とか、すぐ考えてしまうんです。この間は感情移入しすぎて、気付いたら一筋の涙が流れていましたもん…。

──その経験はよくわかります。

S: その妄想癖のおかげで、「あっこういうセリフいいな」って思うと、夜道に一人でそのセリフをしゃべりながら歩いているので、悪い奴に声をかけられることもないです(笑)

──思わぬ利点ですね(笑) 一番好きな漫画は何ですか?

S: 『ストロボ・エッジ』(集英社刊)ですね。初めて読んだ時に、「めちゃくちゃ新喜劇っぽいな」と思ったんです。読んでいると、主人公とその周りの子たちがだんだん可愛く見えてくるんですよね。切ないところもいっぱいあるんですけど、お互いを引きずり下ろそうとするようなところが全くなくて、皆が周りを良くしようとすることで突き進む漫画やなと思っています。キャラクターが周りを蹴落としていくのは好きじゃないんですよ。皆が皆を想うせいで歯車が狂っていくような、人情味もありながら胸キュンできるのが好きで。新喜劇もそんな風にしたいんです。

──少女漫画が一番、なんですね。

S: こういう恋愛もしてええんやな、この話で泣くって自分もまだまだ女やねんな…って思いますね。あとは熱い漫画、『ろくでなしBLUES』(集英社刊)も好きです。キャラクターが一人一人可愛いくて。そのキャラクターから妄想が広がっていって「こういうことができるんやったら、新喜劇でも次ああやって…」と考えることができるんですよ。実際に、ケンカばっかりする問題児の片想いネタはなんばグランド花月でやりましたね。いま思い返してみたら、漫画にめちゃくちゃ助けられています。ほんまに。よしもと西梅田劇場でやったものも、それぞれが漫画のキャラに恋している男女の幼馴染を主人公にしていましたし…。

──そんなに胸キュンネタがあるなんて、新喜劇のイメージが変わりますね。

S: 観る前にも、観た後にも、お客さんにわくわくどきどきしてほしいんです。胸キュンネタに対して中学生や高校生は「自分もされてみたい、やってみたい!」って思えて、おじいちゃん、おばあちゃんは若返ってしまうような。もっと胸キュンをたたみかけていく新喜劇をやっていきたいなと思います。

 

いや、描きやすいと思うんです、私! ほんまに!

──新喜劇のお仕事以外で、挑戦したいことはありますか?

S: 80歳くらいになったら、台湾に移り住んで夜市のスムージー屋さんをしたいです。

──えっ!? 80歳!? スムージー!?

S: 今ほんまに新喜劇一色なんですよね。なので、新喜劇を全うして、引退したら、台湾がめちゃくちゃ好きなので夜市でお店をやりたいです。あ、でも、新喜劇以外のお芝居の仕事もやってみたいです。座長就任がきっかけで、身の丈以上のお仕事をさせていただいているので、それはもちろんしっかりやっていけるよう頑張りたいと思いますけど、夢は広がりますよね。ドラマとかCMとか…出れるようになったら嬉しいですけど!それこそアニメに出たいとかも思いますし…。

──声優デビューですか?

S: いや、描きやすいと思うんです、私! ほんまに!

──キャラクターとして!

S: メイクをとっても、関西のおばちゃんには「藍ちゃん、いつも可愛いで、その特殊メイク!」って言われるくらいですからね。先ほどお話したドラマの時は、いつもより薄いメイクで撮影していたので、通りがかったおっちゃんが「おっ今日何か塗ってへんな!それもええなあ!塗らんでもええぞお!」とか言ってくれましたけど。

 

お腹を触った後に、「なむー」って手を合わされた時はさすがに「あれっ!?」って(笑)

──関西ではファンの方との交流がそんなに濃いんですね(笑)

S: 「座長!見てんで!」っておじちゃんおばちゃんがよく声をかけてくれますね。あと、「縁起ええわ」って私のお腹を触ってきます(笑) ビリケンさんの足の裏を触るように。

※ビリケンさん…足の裏を撫でるとご利益があると言われている、幸福の神様。大阪では通天閣に像があり、明治時代の頃から親しまれている。


──触らせてあげるんですか!?

S: 「あっどうぞどうぞ!」って。もうこういう状態ですよね(お腹を突き出すジェスチャー)。「硬いね意外と!」「願い叶う気するわー!」とか言われるんですよ。この間、80代か90代のおばあちゃんが「いつも見てるよー」ってお腹を触った後に、「なむー」って手を合わせた時はさすがに「あれっ!?」ってなりました(笑) 「私、布袋さんか何かやと思われてるんかな!?」って。初めてお腹が出ていて良かったなと思いましたよ。今まで不自由なことばかりでしたけど。


──さすが関西…。それは『ちちんぷいぷい』(毎日放送)のコーナー『酒井藍のお手伝いしよッ!』に出られた頃から変わりませんか?

S: 関西だけではないかもしれないんですが、おじちゃん、おばちゃんの力の強さ、加減のなさはすごいです。「藍ちゃあん!」って握手しに来てくださった時の、あの手が強い。握手って、ふわっとするものだと思って気を付けているんですけど、おじちゃん、おばちゃんとの握手はめちゃくちゃ痛いんです。「ああっ強い!強いなー!」って笑って言いつつ、心の中では「痛い痛い痛い!」って叫んでいるくらい。あと、火が出るんちゃうかな、って思うほど二の腕擦ってくれたりとか、「藍ちゃん、こっち来て」って腕を引っ張る時に100kgある私の身体を余裕で動かしたりとか。嬉しいんですよ。そうやって来てくださるのは。めっちゃ嬉しいんです。でも強い。男女問わず、関西のおじちゃん、おばちゃんは力が強いです。


──それは…関西出身の私は容易に想像できますね…。

S: きっとある一定の年齢を越えたらめちゃくちゃ力が強くなるんだと思います。あと、「持って帰り」って渡してくれる物の量の多さにも驚きます。一個や二個じゃない、もうザルごとでくれる、気前の良さ。一度ものすごい量の海苔をいただいた時はどないしよかと思いました。陽気な関西の方が多くて、本当に皆さん太っ腹で。

──おじちゃん、おばちゃん以外の方々との交流はありますか?

S: 新喜劇はちびっこも見てくださっているので、ちびっこも声をかけてくれますね。ネタで、指切りを変な歌にしてやっているんですけど、「藍ちゃん指切りしよ」って言いにきてくれたり!そういうのもすごく嬉しいです。

 

関西の人にとっての当たり前であり続けるように、頑張りたい。

──吉本新喜劇は関西でそんなにも浸透しているんですね。そんな関西の人にとって”吉本新喜劇”って何だと思いますか?

S: ちょっとおこがましいんですけど、当たり前にあるもの、関西の方のルーティーンなのかなと思います。お風呂に入る、トイレに行く、コンビニに行く、みたいな感覚ですね。「あっお腹痛なった、トイレ行こーうんこしに行こー」っていうのと同じ感覚で、「あっ新喜劇やってる、新喜劇観よー」ってなるような(笑)


──生活の一部(笑)

S: 「うんこしに行こー」と同じ感覚って言ったら新喜劇の先輩方に申し訳ないんですけど(笑) 私の小さい頃から、当然にやっているものだったので。それで新喜劇に入りたいって思いましたし。だから、私が座長になっても関西の人にとっての当たり前であり続けるように、頑張りたいですね。人情味にあふれていて、悲しい気持ちになっていても、観ていれば最後に笑って終わることができるっていうのが新喜劇のイメージなんです。その部分は変えずに、お話で楽しいなって思ってもらえるものを作っていきたいです。

──これからの新喜劇がとても楽しみです。

S: 大すべりする時もありますよ! やばい、やばい、って汗が止まらなくなることもあります。でも、やっぱり新喜劇をやっているときが一番楽しいです。「あ、今日は藍ちゃんが座長の週や。新喜劇観に行こ」って思ってもらえるように、頑張りたいですね。

撮影:青谷建(株式会社 創英)

吉本新喜劇60周年記念 吉本新喜劇ワールドツアー ~60周年 それがどうした!~』

 

2019年3月28日~9月8日 開催!
吉本新喜劇60周年を記念して、史上最大規模のツアー公演が決定。
小籔千豊・川畑泰史・すっちー・酒井藍の4座長が全国、そして世界に爆笑をお届けします!
ツアースケジュールほか詳細は公式HPへ。
公式HP 
https://shinkigeki-60th.yoshimoto.co.jp/

【お問い合わせ】
チケットよしもと予約問合せダイヤル 0570-550-100(10:00〜19:00)

 

Q.「シュッとしてる」ものって何だと思いますか?
S: 内場座長(内場勝則さん)。内場兄さんがもっさりしているなあって時は一度もないです。ずっとシュッとしています。スタイリッシュで、私服もおしゃれで、普段は物静かで楽屋で本を読まれたりしているんですけど、役に入ったら三枚目のあほぼん(金持ちの道楽息子)や変なプロデューサーになって、思いっきりツッコミを入れるんですよ。お芝居の上手い、素敵な方なんです。めちゃくちゃカッコいい。フリとオチがしっかり効いている人というか。「シュッとしている」という言葉がとにかく一番似合う人だと思います。
Q.自分の名前で缶詰を出すとしたら、中に何を詰めますか?
S: 椎茸ですね。椎茸の水煮。
──椎茸!?
S: 一番好きな食べ物が椎茸なんです。各々の好きな味付けで食べてほしいので、水煮です。煮たり、切って違う料理にするも良し。椎茸の可能性ってすごいんですよ。めっちゃおいしいんです。
──目、目が真剣すぎます…。
S: 酒井藍の名前なんてめっちゃ小さくていいです。漢字で「椎茸」って書いて、出してほしいですね。いや出しますかって話ではないですね(笑)
──ちなみにおすすめの味付けは何ですか?
S: そらもう、そのままの味を食べてほしいです。一番は焼いてもらうことですけど、缶詰だとできないので、水煮でそのまま。でも、水気を少しだけ切っていただいて、ちょっと醤油とマヨネーズをつけたら椎茸の味がさらに引き立つんで、それもおすすめです。煮てもらうのでもいいんですけど。最高です。椎茸って最高なんです。

 

酒井藍


プロフィール 】【 Instagram

吉本興業所属。奈良県出身。2007年に吉本新喜劇「第3個目 金の卵オーディション」に合格し、よしもと新喜劇に入団。2017年に最年少・女性初で座長に就任する。

面白かったら応援!

2019/1/1