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マグカンさんの作品:【第六十五回】パラレルシンガー 七海うららさん

関西にいる「シュッとした」人たちから「シュッとした」お話を聞きたくて始めた、MAGKANインタビューコーナー!

第六十五回は、

七色の声を使い分けて活躍する パラレルシンガー 七海うららさん ! マルチに活動し挑戦を続ける七海さんのマインドに迫ったインタビューです。

「七海うらら」さんって?

関西出身。リアルとバーチャルを行き来するパラレルシンガー。2020年よりSNS等でカバー動画の投稿を開始し、2022年にはセルフプロデュースでバーチャルシンガー活動を始める。ショート動画の活用を機に、ファンを獲得。2023年にはエイベックスよりメジャーデビューし、今後の活躍がさらに期待されるアーティストです。

 

何も出来ずに終わっちゃうのが一番もったいない

──七海さんといえば、いろんなことに積極的に挑戦されている印象なのですが、挑戦することに戸惑ったり、躊躇することはありませんか?

七海(以下、N): 戸惑った結果、何も出来ずに終わっちゃうのが一番もったいないと思っているので、やりたいって思ったらすぐ行動に移すと決めています。というのも、私はそれをスポーツを通して実感しまして…。

──何かスポーツをやっていたんですか?

N: フィギュアスケートをやっていました。オリンピックとかを目指すような有名スケート選手はみんな小さい頃からやっている人が多いんですよね。でも私は始めたのが小学校高学年ぐらいだったので、周りと比べると遅かったんです。

──私もクラシックバレエをやっていたので分かります…。始めたタイミングが、その後の成長にも大きく関わってきますよね。

N: 私の妹も同じ時期からスケートを始めたんですが、妹はその時まだ幼かったので、どんどん上手くなっていき、今はプロスケーターとして海外のアイスショーに参加したりしています。なので、何事も長く続けるということが大切だと思いました。

──なるほど、その経験が今の行動力に繋がっているんですね。それにしても姉妹揃って表現者なんですね。七海家の教育の賜物でしょうか。

N: 父親がすごく熱血な人で、なぜか自分の先生やコーチよりも厳しく「お前何やってんねん! もっかいいけ!」と声援を送ってくるタイプでした(笑) だから今も一番熱心に私の配信を観てくれていて、配信中に「音、ちっちゃい! もうちょっと上げて!」というLINEが届いたりします(笑)

──応援してくれているんですね(笑)

N: 会社を辞めて「自分のやりたいことをやりたい!」と伝えたときも「やりやり!」と、夢を追いかけることを否定しないでいてくれたので、助かっています。

 

出会いがあったからこそ、人と一緒に作る選択肢が生まれた

──では、その会社を辞めて夢を追いかけようと思った経緯を聞いていきたいのですが、そもそも歌うことが好きになったのはいつ頃ですか?

N: 子どもの頃からアニメを観るのが好きだったので、小さい頃からアニソンシンガーに憧れていました。その影響で、よく歌っていたと思います。

──どんなアニメが好きでしたか?

N: 『マクロスF』(毎日放送・TBSテレビ)を観て衝撃を受けたのは覚えています。ロボットアニメとしてだけでなく、楽曲も有名な作品なので、そこがアニソンシンガーに憧れるきっかけになったかもしれません。子どもの頃に「全日本アニソングランプリ」という企画があったんですけど、それに応募して一次選考で落ちた経験があります(笑)

──えっ、そうなんですか⁉

N: はい、実は(笑) そんな経験をしながら、高校生の時に軽音楽部に入ったんですけど、それもアニメの影響です。『けいおん!』(TBSテレビ)っていうアニメに出てくるギターボーカルに憧れて、軽音楽部が素敵な高校を選んで入ったぐらい影響されまして(笑)

──では、軽音楽部ではアニソンを中心にやっていたんですか?

N: やりたかったのはアニソン系なんですけど、組んでいたバンドは洋楽が好きな子が多かったので、洋楽をよくやっていましたね。あまりアニソンをやる機会はなかったですけど、軽音楽としてはすごく楽しくやってました。大学でも軽音サークルに入ったんですが、「俺らバンドで食べていくぜ!」という熱血さよりも「みんなでエンジョイしよう♪」という空気感のサークルでした。だから自分もサークル活動をしながら普通に就活して、就職して、音楽は演者側からライブに行くお客さん側になっていきました。

──その後、OLとして働きつつも、コロナ禍と闘病生活をきっかけに音楽活動を再開されたんですよね。その再開のタイミングで「バンドで」という選択肢はなかったんですか?

N: そうですね。コロナ禍だったので「家で始められること」っていうのが大前提でした。そうなると「これはもう歌ってみただろ」って感じで(笑) でも実際は、ギター持って弾き語りしているところをカメラで撮影して、編集とかもしないまま動画を上げていたので、「歌ってみた動画」っていうよりはラフな「弾き語り動画」って感じでした。そんな中、TikTokでとある女の子との出会いがあったんです。

──それは一体…?

N: 私の歌を聴いてくれた彼女が、私の歌に対してイラストを描いてくれたんですよ。そのイラストがもうめちゃくちゃ素敵だったので、「一緒にタッグ組まない?」と声をかけました。

──まさに『バクマン。』(集英社刊)のような胸アツ展開ですね(笑)

N: それから彼女は私の動画のサムネイルを描いてくれたりしているんですけど、イラストだけではなく漫画も上手で、私の闘病経験を元にした漫画も描いてくれました。ここまで二人三脚でやってきましたね。

──その彼女との出会いがなかったら、バーチャルシンガーという選択肢はなかったかもしれないということでしょうか?

N: 元々自分で絵を描いていたので、バーチャルシンガーという道には辿り着いていたかもしれませんが、自分だけでやっていたと思います。出会いがあったからこそ、人と一緒に作る選択肢が生まれたし、音楽を仕事にしてアーティストになりたいという気持ちも大きくなりました。

──本当に運命的な出会いだったんですね。

 

自分のことも相手のことも認める

──歌だけでなく配信もされていますが、現在はどれくらいのペースで配信されていますか?

N: YouTube LIVEで、だいたい週に1~2回の頻度でランダムにやっています。

──コラボしている配信動画を観させていただいたんですけど…めちゃくちゃMCお上手ですよね?

N: ええ~~~そんなそんな! 本当ですか…? 嬉しいです、ありがとうございます。一応、自分の中で「今日の配信はこういう方向でやっていこうかな」という軸を作った上で、軌道修正していきながら進めることは意識しています。あと、司会者的な立ち回りは好きなので。

──コラボ相手の方が喋りやすい雰囲気を作っているなと感じます。コラボ相手の良いところを引き出すコツはありますか?

N: 私の楽曲のテーマにもなっているんですけど、自分のことも相手のことも認めることですかね。やっぱり自分に自信がないと、他の人の粗探しをしてしまうと思うんですよ。ネットには否定的なことを書く方がいたりしますけど、そういうのって自分に自信が無いから、相手にぶつけてしまうと思うんです。だから「今日のメイク上手くいったな」とかでも全然いいですし、ちょっとずつでも自分のことを肯定したり、自信を持っていくことによって、周りの人に対して余裕を持って接することができるというか…他人に寄り添うためには、まず自分を認めることがきっかけになるかなと思います。

──それでも、時には余裕がなかったり、疲れてしまう瞬間はありませんか?

N: 確かに、余裕がなくなっているときもあるかもしれません。でも、やっぱり根本のところに自分を卑下せずに認めてあげるという軸があれば、そんなにマイナスにはいかない気がするので、自分の軸をどしっと置いておくことで、余裕を保てるようになるんじゃないかと思います。

──では、自分の軸を保つためのリフレッシュ方法などはありますか?

N: 最近はめちゃくちゃ『SLAM DUNK』(集英社刊)にハマっていて(笑)

──それはやはり、昨年公開された映画がきっかけですか?

N: そうです、映画でハマっちゃって。これまで漫画のグッズとかはあんまり買うことがなかったんですけど、劇場グッズ3万円分ぐらい買ってしまいました…。気づいたら湘北ジャージ買っていたんですよね。「湘北に入って良かった」って言いたくて…(笑)

──形から入ったわけですね(笑) そしてお顔が生き生きとしています(笑)

N: あんまりプライベートなことは話さずに、ミステリアスにしておいた方がアーティストっぽいと思うんですけど、こうやって自分の好きなモノについて話すことで、同志の人たちと共感できたら嬉しいですし、好きを発信することでコラボなどのお仕事に繋がったっていうこともあったので、好きなことを話しやすい時代になって良かったなと思います。昔と比べて、漫画やアニメってサブカルチャーじゃなくて、メインコンテンツになりつつあるというか、「ヲタク」っていう言葉も一般化しているというか…。

──ということは、学生時代はヲタクっぽいところを隠していたんですか?

N: 当時はあまりヲタクって思われたくなかった自分がいたかもしれません。同じ趣味を持っている友達とだけずっと「あの漫画ヤバかったよな」って盛り上がっていて、他のクラスメイトの前ではわざわざアニメの話をしないみたいな溶け込み方をしていましたね。忍者みたいに(笑)

──ちなみに、漫画を好きになるきっかけとなった作品はありますか?

N: 元々を辿ると、「週間少年ジャンプ」で連載されていた『家庭教師ヒットマンREBORN!』や『D.Gray-man』、『銀魂』(すべて集英社刊)とか…その辺のラインが好きでした。あとは『ヘタリア』(幻冬舎刊)とかも好きでしたけど。でも漫画の原体験ってなると『ちゃお』(小学館刊)とか買っていたので、きっかけは『ちゃお』かもしれませんね。

──確かに。女子はみんな通る道ですよね。

N: 通りますよね!(笑) めちゃくちゃでかい目のキャラクターイラストを一回はみんな描いたことありますよね!(笑)

──好きになるキャラクターの共通点ってありますか…?

N: おかっぱですね。

──あ、おかっぱですか。

N: 今、私即答でしたよね(笑)

──即答でしたね(笑)

N: 『テニスの王子様』(集英社刊)っていう作品に出てくる、氷帝学園の向日岳人くんっていうキャラが大好きなんです。あとは『ヒカルの碁』(集英社刊)の塔矢アキラとか、『千と千尋の神隠し』(スタジオジブリ)のハク様とか。

──あぁ~なるほど、なるほど(笑)

N: あの髪型の男子めちゃくちゃ好きでして。現実では特別そういう子が好きな訳じゃないんですけど、漫画においては「ぱっつん前髪」が性癖になります。…謎の癖を暴露しちゃいましたね(笑)

──漫画以外にも、宝塚歌劇団などの舞台もお好きなんですよね?

N: そうです、そうです! 宝塚歌劇団をはじめ、ミュージカルがすごく好きで。それもきっかけを辿ると『テニスの王子様』や『忍たま乱太郎』のミュージカルを観に行ったことをきっかけに宝塚に辿り着き、宝塚沼にハマりましたね。

──宝塚は一回ハマったら深いですからね…。

N: 深いですね~。やっぱり毎日公演があるので、供給が多くて多くて(笑) でも、宝塚ってチーム移籍のシステムがあるんですけど、推しの組替えがすごく辛くて…。「こんなに辛い思いをするんや…」とあまりにも辛すぎて、ちょっと今は離れてしまいました(笑)

──それだけ愛が強かったんですね。

N: やっぱりエンターテインメントは生で観るのが醍醐味だと思っているので、ミュージカルしかり、ライブしかり、自分が実際に観に行くっていうことで、元気を貰っています。

 

当たり前のことを当たり前にできるように

──昨年にデビューされてから、いろんなことがあったと思うんですけど、特に印象的だったことってありますか?

N: やっぱり一番はフジテレビ系・全国ネット『世にも奇妙な物語’23 秋の特別編』内のドラマ「走馬灯のセトリは考えておいて」に出演させていただいたことですね。バーチャルアイドル役での俳優デビューっていうのが世間の方々的にも「え? どういうこと?」っていう感じだったと思いますし、自分としてもオファーがきたときは「え? どういうこと?」っていう感じで(笑)

──書き下ろしの楽曲も制作されていましたよね。

N: そうなんですよ。本当に物語の軸になるような立ち位置で出演させていただき、更には書き下ろしの楽曲までやらせていただいて。反響もすごく大きくて、たくさんの方に知っていただくきっかけになりました。

──実際に演じてみて、いかがでした?

N: 頭の中でシミュレーションした上で臨んだんですけど、歌のボーカルディレクションとちょっと近い感じでした。監督がその場で「もうちょっと元気な感じで!」とか、一つひとつアドバイスをくださったので、それに少しずつ寄せて対応しながら、楽しく撮影させていただきました。

──ライブ前もいつもシミュレーションを重ねているんですか?

N: やっていますね。シャワー浴びながら一人で「みんなー! 今日は来てくれてありがとう!」とか、MCの内容までシミュレーションしています(笑) 本番でカチっと固まらないように、常に人前に立ったときの自分を想像して過ごしているかもしれません。

──今後の展望はありますか?

N: 昔から憧れていた、アニメの主題歌を歌うことが一つの夢です。あとはもっとネットシーンから飛び出していくことですかね。リアルとバーチャルを跨げるようになったので、その強みを活かして地上波のメディアや音楽番組に出演してみたいです。

──日常生活においては、新たにこれ挑戦してみたいことはありますか?

N: イラストが描けるところを活かして、自主制作とまではいかないんですけどアニメを作ってみたいと思っています。歌だけじゃなくて、手を動かすほうも挑戦したいなと。……でもこれ日常じゃないですね(笑) 趣味が仕事になっているので、日常生活で挑戦してみたいことって言われると難しいな(笑)

──では最後に、その趣味を仕事にするために必要なことって何だと思いますか? どんな努力をしたらいいでしょうか。

N: 結局、当たり前のことを当たり前にできるようになっておかないと、どの仕事も上手くいかないと思うので、学生時代から授業にちゃんと出るとか、連絡を早く返すとか…。真面目にちゃんとやっていれば、未来の自分にプラスに作用してくれると思います。なので私も、改めて目の前のことを一つひとつ頑張っていけたらと思います。

 

Q.「シュッとしてるもの」って何だと思いますか?
N: スマートなお兄さんを想像するので…『SLAM DUNK』だと仙道さん!(笑) 芸能人の方だと大石昌良さんです。ずっと第一線で活躍されていて、憧れの存在です。今月の武道館初ライブも完売していたし、本当にかっこいいです。
──やはり、いつか武道館に立ちたいという思いはありますか?
N: もちろんです! やっぱり武道館は特別感がありますね。
Q.自分の名前で缶詰を出すとしたら、中に何を詰めますか?
N: うらら缶詰か…。私のテーマカラーが水色なので、水色がいいですよね。ということで、ブルーハワイ! …の、かき氷! 絶対かわいい!(笑)

 

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七海うらら

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関西出身。エイベックスのクリエイターエージェンシー「muchoo」より、2023年にメジャーデビュー。イラストレーター、動画クリエイターなどマルチに活躍する。好きな漫画は『SLAM DUNK』(集英社刊)など。

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