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マグカンさんの作品:【第二十四回】着物愛好家 みさまるさん

関西にいる「シュッとした」人たちから「シュッとした」お話を聞きたくて始めた、MAGKANインタビューコーナー!

12月の更新は二本立て!
第二十五回 YouTuber natsu campさんは
コチラ

第二十四回は、

普段着として楽しめる着物の着こなしを探求している、 みさまるさん にお話をうかがいました!着物を着る楽しさをご自身のコーディネートと共に語っていただいたインタビューです。

「みさまる」さんって?

着物のコーディネートをTwitterに掲載。大胆に洋服と組み合わせた着物のコーディネートをはじめ、『ポケットモンスター』シリーズに登場する「カイオーガ」の自作着物や、「着物あるある」の写真等で人気を集めている。

 

 

 

「省けるところは省いてみよう」と思って、着物の下に着る襦袢をタートルネックに

──着物のコーディネートをTwitterに載せるようになったきっかけは何でしたか?

みさまる(以下、M): 今まではFacebookにある着物グループに自分の写真を投稿していたんです。そのグループでは私のように着崩して投稿している方は少なくって。でも、Twitterには着崩した着物のコーディネートを載せている方が多いことを知って。その雰囲気がすごく自由で、憧れてしまったんです。それで「あ、私もTwitterやろう!」と思って始めました。

──こちらがそのTwitterで載せていらっしゃるコーディネートですね。


M: 黒紋付の着物に「しまむら」のレザースカートを合わせたものですね。反響が多くて、「しまむら行かなきゃ」ってコメントもいただきました。レザーが今期のトレンドだったので取り入れて、太めのバックルがついたベルトでちょっとでも脚長効果を狙ったところがポイントです(笑)

──こんな風に着崩して着るようになったきっかけを教えてください。

M: 小さい頃からずっと着物を着たいと思っていたんです。七五三で初めて着た時に「こんなにかわいい服が世の中にあるんやな」って感じてからずっと。でも、ある日 呉服屋さんへ行って値札を見てから、「あ、これは大人になっても買えないかもしれない」と内心諦めてしまったんですよ。桁が多すぎて(笑)。

──上質な物は良いお値段しますもんね…。

M: それが大学生になってから、ポリエステルの着物なら3,000~4,000円くらいで買えるって初めて知って! 自分でお小遣いを稼げるようにもなっていたので、ようやく着物を買い始めたんです。ただ、もうひとつ壁があって…。

──壁?

M: まずは着物一式を揃えようと思って、必要なアイテムを全部リストアップしたら、訳が分からなくなってしまったんです。長襦袢とか襟芯とか、いっぱいあるんですけど、それが理解できなかったのと「これ全部揃えたらいくらかかるねん」と思って(笑)

──確かに…。大学生のお財布には痛い出費ですね。

M: それで「省けるところは省いてみよう」と思って、着物の下に着る襦袢をタートルネックにしてみたり、草履をやめて持っていたブーツを合わせたり、っていうところが始まりでした。でも、正統派の、きちんとした和装の着こなしもできるようになりたいと思っていたので、着崩しもやりつつ、徐々に勉強していきましたね。

 

昔から雑誌の『KERA』をたくさん読んでいた

──アイテムを省くことに抵抗はありませんでしたか?

M: 全くなかったです。昔から雑誌の『KERA』(ジェイ・インターナショナル刊)をたくさん読んでいたので…。その雑誌のモデルの方や読者の方って、洋服でも着物でもすごく着崩していらっしゃるんですよ。それが当たり前というか、素敵だなと思っていたので、タートルネックやブーツを合わせるのは自然に考えていました。

──ご自身と同じように、普段着に着物を着る方は身近にいらっしゃいましたか?

M: いえ、いませんでした。ただ、母も両親の祖母も着物が好きで。もともと私はロリータも着ていたんですけど、母はそのドレスやワンピースも作ってくれていたんですよ。すごく応援してくれているので、ありがたいなって思っています。母方の祖母は日本舞踊をやっていて、父方の祖母は着付け師で…。着物好きの遺伝子を引き継いでいるのかもしれないです (笑)

──それでも、ご家族から影響を受けて「着物を着たい」と思ったわけじゃないんですね!

M: そうなんですよね、我ながら不思議で(笑)

──着付け師のおばあ様は今の着こなし方を何とおっしゃっているんですか?

M: 一度だけ着崩した姿を見せたことがあるんですけど、その時はすっごい怒られました。めっちゃ怖かったです(笑) 着付けに厳しいので、見せたのはそれっきりで…お正月に会うのでどうしようかなと考えています…(笑)。

 

気軽に合わせて堂々と歩いてくれたらいいな

──初心者が洋服と着物を合わせる際にオススメのアイテムはありますか?

M: 今だとブラウスが流行っているので、長襦袢の代わりに使うと合わせやすいかなと思います。長襦袢だと、襟の角度とかを気をつけようと意識してしまうんですけど、ブラウスに替えれば気にするところが一気に減るので。あとはブーツ。どんな形でも合わせやすいと思います。

──浴衣の下駄が苦痛なんですけど、スニーカーもアリですか?

M: 何でも合うと思います! 厚底のスニーカーが流行っているので、そういうのが良いんじゃないかな。浴衣にスニーカーを合わせるのは邪道、という意見もあるんですけど、スニーカーを合わせたいと思ったら、気軽に合わせて堂々と歩いてくれたらいいなって思います。

──あと、帯の代わりにベルトを合わせるのって、しっかり固定されるものなんでしょうか?

M: 気になる方は不安かもしれないんですけど、ベルトだけでもちゃんと固定されるので、ベルトだけで困ったことはないです。たまに飾りでつけている時もありますけど…。紐だけで締めて、飾りでベルトをしている時もあるんです。紐でもしっかり留まりますよ。

──逆に、帯をしたい場合はどうすればいいですか?

M: 寒い季節ならタオルをいれると苦しさがマシになります。ただ、夏はやめたほうがいい! めちゃくちゃ暑いです(笑)

──気軽に着物が買える、オススメのお店はありますか?

M: 大阪の江坂にある「¥1000Kimono彩夏Ayaka」さんですね。1,000円均一のお店なんですよ。店員さんも親切で、着物も常に綺麗な状態で畳んであって、とてもオススメです。

 

 

ファッション誌を毎月片っぱしから全部読む

──アレンジの発想はどこから得ていますか?

M: 最近は、ファッション誌を毎月片っぱしから全部読んで、「これいいな!」と思ったところを切り抜いてスクラップ帳みたいなものにまとめています。着物の雑誌もメンズの雑誌も全部。それを眺めて「次はこれにこのアイテムを取り入れてやってみよう」とか考えていて、めっちゃ楽しいです! Twitterを始めた頃からスクラップするようになりました。仕事帰りに本屋さんで買って、読んで、「楽しい~!」ってしています(笑)

──今日の服装も雑誌からアイデアを得たんでしょうか?

M: 10年前の『KERA』を読んでいたら、パンクやロック系のファッションが流行っていた頃だったので、今日はちょっとパンクっぽい感じにしてみようと思って。アクセサリーや靴下も合わせています。

 


──以前、「室町時代風」として室町時代の着物の着こなしをもとに、帯をしないコーディネートを載せていらっしゃいましたよね。


M: 世界や日本の服飾史を一から勉強しようと思って、室町時代や鎌倉時代の庶民の方たちのファッションを見ていたんですけど、その方々の帯なしのコーディネートがかわいくって。「めっちゃ楽そう、これはやろう!」と思ってやってみました。それがまぁ、楽で(笑)

──着物が普段着だった時代だと、こうも着方が変わるのかと驚きました。

M: 明治大正でも、だるっとした感じで着ている写真もけっこうありますよ。おはしょりとかお太鼓が全然ピシーッとしていなくて、ちょっとよれてるとか…。『はいからさんが通る』(講談社刊)のスタイルがすごい好きなので、やっぱりかわいいなと思います。

──服飾史も学んで、ファッションを楽しんでいらっしゃるんですね。

M: 着物の歴史は千年以上あるんですけど、着物友達に教えてもらうばかりで自分自身の持っている知識はすごく薄いなと思っていたんです。だから、平安時代まで遡って勉強しました。ひとつのことにハマると、いろんな本を読んで勉強したくなるタイプなので、楽しくって。今は自由な時間があると、 着物を触って刺繍したり、本を読んで勉強したりしています。

 

いろいろ試してみて今に至るので、初心者の方でもどんどん挑戦してみてほしい

──普段はどういう風に着物を選んでいますか?

M: 以前は柄物もいっぱい着ていたんですけど、最近は無地が美しいなと思うようになりました。帯がなかなかなくて…。なんとか無地を見つけて合わせているんですけど、無地の着物は最近やっと流行り出したのかな。お店で買えるようになってきたので、もっと流行ってほしいです。

──着物は色も豊富にあって、洋服に合わないものもあるのかなと思うんですが…。

M: 目立つ色でも、派手な柄が入っていたとしても、洋服に合うものは意外と合いますよ。たまに、きちんとした和装をしないとその着物の良さがでない場合もあるんですけど、とにかく合わせて見ていくしかないです。私も、いろんなシルエットで考えてみたり、いろんな洋服を試したりして、「これはちょっと良くないな」「これはかわいいな」って確認しています。実際着てみないと分からないことがたくさんあって、私もいろいろ試してみて今に至るので、「やりたいな」と思うコーディネートを思い付いたら、初心者の方でもどんどん挑戦してみてほしいです。

──洋服で服選びに迷うのと一緒なんですね。似合う、似合わないも個人差があるでしょうし。

M: そうですね。他の人がすごく似合っていても、自分が似合うかっていったらそうじゃないこともあるから、着てみないと分からないですね。こればっかりは。でもそれが楽しいです!

──これからやってみたいコーディネートはありますか?

M: もう既にリメイクして作っちゃったんですけど、夏になったら、袖を取っ払って膝上丈にした着物を着ようと思っています。夏は着物だと暑すぎてやってられないなと思っていて。でも、江戸時代の農村部の方々の着物を見てみたら、ノースリーブにしていたり、男性でも膝上丈で着ていたりしていて、「これいいな」と感じたんです。

──それはかなり涼しくなりそうですね!

M: きちんと綺麗に着付けて着物を着るのって、初心者にはなかなかハードルが高いなと思うところがあって。洋服並みに楽に着るのは難しいかもしれないんですけど、もっと大胆に着崩したりしてもいいから、できるだけ楽に、自分のやりたいファッションを着物でも楽しめるようになったらいいなと思っています。

 

Q.「シュッとしてるもの」って何だと思いますか?
M: 伝わるか分からないんですけど…黒色がシュッとしてると思います! ……伝わるかな?
Q.自分の名前で缶詰を出すとしたら、中に何を詰めますか?
M: 着物。大きさの規定はないんですよね。だったら、何着も着物を詰めたいです! お正月の福袋みたいな、着物缶詰があったらおもしろいですね。

 

みさまる


Twitter

大阪府在住。自身の着物のコーディネートをTwitterに投稿し、一躍話題に。2020年11月にはファッションブランド「KUDEN」のグローバルアンバサダーに就任。好きな漫画は『火の鳥』。

撮影:青谷建

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2020/12/1