
関西にいる「シュッとした」人たちから「シュッとした」お話を聞きたくて始めた、MAGKANインタビューコーナー!
第五十四回は、
俳優・パフォーマーの坂口涼太郎さんにお話をうかがいました! 俳優として幅広い役を演じる坂口さんのキャリアやマインドに迫ったインタビューです。
「坂口涼太郎」さんって?
兵庫県出身。2010年に映画『書道ガールズ‼ わたしたちの甲子園』で俳優デビュー。近年はドラマ『テッパチ!』(フジテレビ放送)、『罠の戦争』(関西テレビ放送)などにレギュラー出演し、インパクトのある役を演じきり話題に。俳優のほか、ダンスやピアノによる弾き語りなど、多岐にわたって活躍している。

スタジオモダンミリィに通っていなかったら、きっと今ここにいない
──坂口さんは兵庫県のご出身なんですよね。現在公開中の映画『Sin Clock』では、神戸での撮影が多かったそうですが、地元での撮影はいかがでしたか?
坂口さん(以下、S):学生の時に遊んでいた場所や、昔から家族でよく行っていたところで映画の撮影ができたのは夢を見ているような、不思議な感覚でした。普段の生活では思い出さないような、当時の自分のことを振り返りながら撮影していた気がします。
──特に思い出に残っている特別な場所はありますか?
S:通っていたダンス教室ですかね。「スタジオモダンミリィ」という、俳優の森山未來さんのご両親が開いている教室に通っていました。僕は学園都市に住んでいたので、そこから御影駅まで毎日通っていました。いま思うと、結構頑張っていたと思います。その距離を毎日のように通っていたことも含めて(笑)
──片道1時間弱ぐらいかかりますよね…。「スタジオモダンミリィ」は坂口さんの原点でもある、といった感じでしょうか。
S:そうですね、自分の原点だと思っています。スタジオモダンミリィに通っていなかったら、きっと今ここにいないですからね。ダンスを習い始めて、森山未來さんと出会って、初舞台を踏ませてもらって…。その舞台でご一緒した八十田勇一さんに、「役者もやってみれば?」と言われたことをきっかけに今の事務所に入り、ここまで来ているので。だから自分にとってすごく大切な場所です。
──もともとはダンサー志望で、俳優を目指すつもりはなかったということでしょうか?
S:そういう訳ではありません。僕の出発点は小学生のときに観劇したミュージカルなんです。「ミュージカルに出たい!」っていう気持ちからダンスを習い始めました。ミュージカルはもちろんお芝居もするので、お芝居にも興味がありましたね。
──ミュージカルがきっかけなんですね。そういえば、ピアノでの弾き語りもされていますよね。歌の練習も昔からされてきたんでしょうか?
S:ピアノは3歳の頃からやっていましたが、弾き語りは高校に入ってからですね。音楽の授業で各自何かを発表するという課題があったんですが、そのとき僕は関西から関東に引っ越してきて、ちょっとホームシックになっていたんですよ。なので、その気持ちを元に自分で作詞作曲したのが初めてですね。
──地元の友達と離れることも寂しかったと思いますが、関西と関東は生活面でも異なる部分が多いですからね…。
S:そうですね、正直に言うとつまんなかったんです(笑) 「関西が」っていうとちょっと語弊があるかもしれないんですけど、僕が通っていた中学までのクラスメイトたちは本当に明るくて、おおらかで、面白くて。何と言うか…その子たちに接するときと同じコミュニケーションの取り方のまま話しかけたら、泣かれてしまいまして(笑)
──えっ⁉ 泣かれる?
S:良かれと思ってツッコミを入れたら、そのツッコミが強すぎて泣かれてしまったというか(笑) 例えば…これは言いすぎかもしれませんが、関西だと「あんたの手、魚肉ソーセージみたいやな」とか言ったりするじゃないですか。そういうノリが通用せず、「あ…これダメなんや…」っていう…(笑) だから「ちょっと話が合わないな、関西帰りたい」っていうのが正直ありましたね。でも大人になるにつれて、趣味とか価値観の合う人たちがいるところに自由に出入りして出会える人が多くなりますよね。だから、単純に慣れたという部分もあるとは思いますが、大人になってからは関東がつまらないと思うこともなくなりましたし、関西だとか関東だとか考えなくなりました。…でもやっぱり、今でも神戸に帰ると「これこれ!」っていうフィット感があります。街中でも普段からコミュニケーションが溢れているっていうか…。
──あぁ、関西は本当に電車で隣になったおばちゃんが飴ちゃんくれたりしますからね(笑) コミュニケーションの量は多いのかもしれません。
S:そうそう! 喫茶店で隣になった人とかが「あそこの店ってまだやってたっけ?」って話していたら「あ、やってますよ~! (食い気味)」って割り込んだりとか(笑) そういうフランクなコミュニケーションが、生活する上ですごく気持ちが良くて好きなんですけど、あんまり東京では出来ないんですよね。だから今でも神戸に住みたい、住んでいたいと、常に思います。

僕は自分っていうものがあんまり無いんですよね
──ドラマ『罠の戦争』(関西テレビ放送)が最終回迎えたばかりですが、始まった当初、インスタでこのように投稿されていました。坂口さんは役作りのために、その役の職業や人物像を徹底的に勉強されるタイプなのでしょうか?

S:作品にもよりますが、普段から「モノや人を観る」っていうのは意識的にやっていますね。自分が単純に好きというのもあるんですが、ドキュンタリー作品は普段の生活では出会えないような人たちのリアルな姿を見せてくれるのでよく観ています。『罠の戦争』では議員秘書の役を演じさせていただきましたが、ちょっとした表情の作り方とか、動き方とか、仕草とか、そういう細かいところを観察するために、政治を扱ったドキュメンタリーを探しましたね。だから、この役のオファーが来たから「よし、勉強するぞ!」というよりは、普段から意識的にアンテナを張って色んな人を観ておいて、役を演じる時に、その抽斗からちょっとずつ出していく、ということの方が多いかもしれません。
──では、そうやってインプットしてきたものを元にカメラの前で演じる際、このアプローチで合っているのかとか、表現することに不安になったり、怖いと感じることはありますか?
S:ありますね。もう毎度です(笑) ずっと怖いんですけど、でもそれがネガティブな感情かっていわれるとそうでもなくて。怖さや緊張があるから、真摯になれるような気がします。怖いっていう感情はそこに全力を尽くそうとしている結果ですし、命や魂を込めてやり切りたいという志のようなものからくる怖さだと思っているので。だから、その怖さとはやっぱりずっと付き合っていかなきゃいけないと思っています。
──坂口さんは「個性派俳優」と言われることも多いと思いますが、ご自身で自分のことを「個性派」と感じていらっしゃいますか?
S:うーん…思ってはいるんですけど…。個性って誰にでもあると思うんですよ。全員が本当は個性派俳優であり、個性派お医者さんであり、個性派漫画家であり、個性派編集者だと思うんです。無個性だと思っている人も、実は絶対に個性的なんですよ。「いやいや、私はなんか普通だよ」と思っていても、やっぱり他者から見ると、「えー!? そんなこと思ってんの!?」とか「えっ、普段いつもそんなことやってんの!?」っていう部分は絶対にあると思うんです。だから、僕ももちろん個性派俳優ですし、どんな職業でも、どんな人でも絶対個性派〇〇っていうことになると思っています。
──なるほど…。でも、俳優さんという職業だと特に「個性派」という部分が強すぎると、演じる役の幅が狭くならないかなど心配になることはないですか?
S:それはないですね。僕は自分でも自分のこと「変わってるなぁ」って思うんですよ。この容姿も、中身も含めて。でも、自分が思っている自分と、自分以外の人が見ている僕は、やっぱり人によって全然違って。『罠の戦争』で演じた貝沼みたいな明るいキャラクターを求めてくる監督もいれば、サイコパスな殺人鬼の役を求めてくる人もいるので、「個性派」と言っても、やっぱり僕を見る目って人によって全然違うので、役が限られてしまうようなことはあまりないと感じています。
──坂口さんは自分が思う自分と、他者から見た自分にギャップを感じたり、嫌だと感じることはありませんか?
S:僕は自分っていうものがあんまり無いんですよね。自分がこうしたいとか、こう見られたいとか、こう思われたいっていうものが無いんですよ。「他者がイメージする自分が自分だ」と思って今までやってきたら、意外と色んな役をやらせてもらえているんですけど、きっとそんなもんなんじゃないかなって思います。いろんな人がそれぞれ違うイメージを抱いているのが普通だし、それも自分の一部だと受け取っています。だから、それはどんどん受け入れて、何派って言われても、「そうです!」って言いながらやっていきたいんですよね(笑)
──「こう思われたい!」っていう願望は昔からなかったのでしょうか?
S:昔はこじらせてましたね(笑) 僕は自分に対してのコンプレックスが強い人だったんですよ。小さい頃は自分の見た目が嫌いだったし、色んなハンディを感じていたので、ずっと「なんでやねん」って思っていました。カッコよくなりたい、美しくなりたいっていう願望を抱えていた思春期だったんですけど、僕が美しくなったところで、あんまり意味ないって気が付いたんですよね。僕はおかっぱの髪型になってから色んなオーディションに受かり始めたんですけど、それは自分の意思ではなく、髪の毛が耳にかかったらいけないというアルバイト先の規則に従った結果でした。それをきっかけに、自分がなりたいと思う理想の人の真似をしてもがいていても、結局その人にはなれない。それなら、この肉体や容姿で生まれてきたことを、今生でどれだけ活かせるかを意識するようになりました。

季節の移ろいに目を向けて、豊かに生活していきたい
──ドラマや舞台などでお忙しいかと思いますが、趣味などはありますか?
S:最近、本当にすごく忙しいんですよ。というのも、自分が観たい映画がいま大豊作で、毎日映画館に行っているんですよ(笑) 昔から映画は好きで、レンタルビデオ屋で借りてきて作品を観ていたんですけど、やっぱり映画館のあの暗闇の中で、何にもできない状態で観るっていう鑑賞方法が一番良いっていうことに気づきまして。だから、ちょっとでも気になる作品があったら絶対に映画館に観にいくって決めているんですが、そうしたら超忙しくて(笑)
──最近ご覧になった中で、良かった作品はありますか?
S:リー・ルイジュン監督の『小さき麦の花』が凄く良かったですよ! 早くも今年一かなって思うくらいでしたね。中国の農民のお話で、家族に面倒くさがられた二人が結婚して生活していくお話なんですけど、どんどんお互いが優しく寄り添い合うようになっていって、その有様を観ているだけで、何の感情か分からない涙がサーっと…。本当に洗われるような映画でした。
──映画のほか、漫画は読まれますか?
S:益田ミリさんの作品はよく読みますよ。益田さんも生活をすごく丁寧に描いているんですよね。生活のちょっとした悩みや、落ち込んだときにそこから抜け出すときのちょっとしたきっかけとか。『あたしンち』(KADOKAWA刊) もずっと好きな作品なんですけど、生活に根差した家族の話を描いていて、ただ生活しているだけでこんなに面白いことがあるのかと思いながら読んでいます。
──普段の生活を丁寧に描かれている作品に惹かれるんですね。
S:そうですね。僕自身、生活を大切にしていきたいという思いが強いので。季節の移ろいに目を向けて、豊かに生活していきたいです。逆に言うと、そういうところにフォーカスできていない自分に気づいたときには意識的に正しますね。「ちょっとちょっと! 生活を怠ってるんじゃないか!」と(笑) 日々追われることもありますけど、花や満月に気が付ける余裕がある方が心も健康だと思うし、いろんなことに気付くことができる余裕みたいなものは、ずっと大切にしていきたいですね。
──素敵ですね。では、最後に今後の目標があれば教えてください。
S:自分がやりたい作品や、これは自分が伝えたいなと思う物語が見つかったら、それは自分の手で形にしたいという思いはありますね。あと、世界中の面白い人たちと面白いことをして生きていきたい、っていう気持ちはずっと根底にあります。今もできているんですけど、これからもっともっと、いろんな人と出会いたいと思っています。面白いことばっかりやって生きていければいいですね。

Q.「シュッとしてるもの」って何だと思いますか?
S:代々木のドコモタワー…ですかね。あのひと、気が利いてるんですよ。
──気が利く…?
S:バレンタインのときにピンク色になったり、クリスマスのときは緑や赤でツリーのようになったりするんですよ。だから「あ、気が利いてるわ」「シュッとしてるわ」って思うんですよね。関西でいうと…山麓電飾ですかね。神戸帰ったときにあれを見ると、「嬉しい! ありがとう」って思います。
──…イルミネーションがお好きなんですかね?
S:かもしれない! だって 楽しませようとしてくれてるじゃないですか。そのホスピタリティ精神が好きなのかもしれないです(笑)
Q.自分の名前で缶詰を出すとしたら、中に何を詰めますか?
S: ダルマで! バシャッって開けたらダルマの頭頂部が見えるの可愛くないですか⁉(笑) トマトかなーって思ったら、ダルマだったっていう…。僕、昔からダルマが好きだったんですけど、お正月に神社で売っていたんで買ってみたら、どんどんハマっていって、いま家に4人いるんですよね。あっ…缶開けて新鮮なダルマで願掛けできるって…やっぱりすごく良くないですか⁉

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