

アンデッドライフ
ヒカル・アンデッド(31)
あらすじお正月、部屋でごろごろダラダラ過ごすアンデッド女子3人。アラームで眠りから覚めたひとりが左脚をなくしていることに気がつき、部屋を探し回るのだが……。アンデッド系女子が贈るキュートで自堕落(ロットン)な日常ストーリー。
作品講評ゾンビ女子とカラー原稿で描かれたポップな絵柄の親和性が高く、作家のセンスを感じられた。ニッチではあるがホラー映画好きにはクスっとさせられるネタを盛り込み、ライトに楽しめる。また、シュッとした賞のお題を盛り込んだことも評価。ただ、現状ではマンガ作品というよりはイラストテイストなので、マス読者向けに視野を広げた作品や構成でそのセンスを生かしてほしい。


大和な仕事
美貴子(31)
あらすじ自分の意見を強く言えない性格ゆえに、仕事でストレスを溜めている会社員・大和。いつものバーで飲んだくれていると、ウチの会社で働かないかと美女が声をかけてきて…。
作品講評作画・ストーリー共に丁寧に描かれており、どのコマで読者に目を留めてもらいたいか、しっかり考えられている。ただ、人の弱みに付け込む道具を題材にしている割に、その弱みにあたる部分を表面上しか撫でておらず、印象に残らない作品になってしまっていた。今後は作品の世界を更に深堀りし、より読者に響くストーリーづくりを目指してもらいたい。

海の月の箱庭
ミライレナ
あらすじ海中に生息するクラゲの目には、世界はどのように映っているのだろう。ひょっとしたら、そのもの達にも意志が存在するのではないか…。独自の視点で描き出される擬人化海中ファンタジー。
作品講評丁寧に仕上げられた画面は非常に好印象。見開きの使い方も効果的で、海中での雰囲気を上手く演出できている。ただキャラクターのデッサンにバラツキがあるのが残念。今後はデッサン力を磨き、その独自の視点を大いに生かす作品に挑戦して欲しい。

オルダ
青山イチハル
あらすじ王の試練を全てクリアしするため、幾度となく挑戦を重ねる少年・オルダ。その戦歴0勝98敗。荒廃した世界を救うため、オルダの最後の挑戦が始まる。これでもかのアクションシーンの連続、王道バトルファンタジー。
作品講評作者の「描きたい」という気持ちをストレートに表現した作品であり、その熱量を十二分に感じることができた。キャラクターの表情にも力を感じる。ただ仕上げの粗さが目立つのが残念。更なる精進の上、王道バトルマンガを描き続けて欲しい。

同じ夢を見ていた
和村喜一
あらすじ柚樹は優しい兄が好きだった。父に捨てられ変わってしまった母の殺人容疑が、兄に掛けられるまでは。過去を受け止めきれないままに一年が経った頃、柚樹の前に兄が現れた――。
作品講評丁寧な作画と感傷的な雰囲気作りが印象的な作品。ただ線の細い少女漫画風な絵柄と、青年漫画的なストーリー作りとのアンバランスさに指摘が多かった。また、断片的な情報の出し方であるがために、複雑な事情と登場人物の心情に読者がついていけないまま物語が進んでしまう。今後はキャラクターの設定や魅力といった要素がどうすれば読者に伝わるのかを踏まえ、磨き上げていってほしい。

ダブル
トゲかぼちゃ
あらすじ相模壱紗(さがみいっさ)は単位がそろそろやばくて、彼女と喧嘩してピンチな、どこにでもいる大学生。日頃から「自分がもう一人いればよかったのに」と考えていたが、身の回りにどうも変なことが起き始め―…?
作品講評題材の選択が良く、演出や見せ方がきちんと作れている。その一方でエンタメとしての驚きの仕掛けを意識しすぎて作中のキャラを無理やり動かしてしまった印象。画力の向上を目指しつつ、今後はキャラクターの魅力が読者に届くような見せ方が課題。

Love at first sight
桐山直
高嶺の花も武者次第
高田苑佳(23)
無題
小坂愛莉奈
神さまクイズ?
シバヤマユウキ(31)

第2回 MAGKAN(マグカン)漫画賞。第1回を超える応募数となり賞の盛り上がりを感じました。ご投稿いただいた方々に感謝申し上げます。
全体的な印象としては、随所にセンスが光る作品が多く見受けられ、作家個々の伸び代を感じました。大前提である“伝えたいこと”もほとんどの作品で伺い知ることができます。それは漫画家にとってとても重要な部分です。反面、読者に届けるための土台(基礎力)が乏しい印象。自分に足りない部分は画力なのか、構成力なのか。作品を客観視し、時にはプロが描いた掲載誌と比較し、向き合いながら課題点を自覚することが大切です。センスは努力で補いづらい点ですが、基礎力は積み重ねが物を言います。ひとつひとつをクリアすることでプロへの道を一歩ずつ切り開いていただけることを心から願っております。
次回は2019年・春(締切:5/31当日消印有効)。優秀な作品は即掲載、関西の編集者が担当に付き、ともに連載を目指すことができます。また受賞に至らずとも可能性を感じる才能の原石には編集部から担当希望のご連絡を差し上げることも。ここから将来、マグカンを代表作する作家さんが誕生することを心から願って…皆様のご応募、心よりお待ちしております。