

第27回募集、銅賞2作品、期待賞1作品、ノミネート3作品を選出させていただきました。
多数のご応募ありがとうございました。その中から選出された、栄えある受賞作品は…? (5月末締切分)

カゲの詩
ハチドリ

あらすじ
森の恵みをいただいたら、森神様に詩(うた)を届けるべし。それが村の掟であるが、主人公・オイバは過去の経験から詩を歌うことを拒否し続け、やがて悲劇が訪れる。緻密な作画が光る、ファンタジー作品。
作品講評
前作からの成長率に驚いた。細部まで丁寧に描き込まれた背景に圧倒された本作は、ストーリーも綺麗にまとめられており、間の取り方も工夫されていた。ただ、キャラクターに関しては固さが感じられる。キャラクターを生き生きと見せるにはどうしたらいいのか、表情のつけ方や体の動かし方など、研究してみてほしい。更なる成長に期待している。
≫ 受賞作品を読む!
Pseudo human
斧付の鍬

あらすじ
町はずれの森の奥、その家には怪物たちが住んでいた。人に紛れ、人間としてピザ屋のアルバイトをする人狼のライルは、さらに充実した人間生活を送るべく、学校に通うことを決める。個性的な怪物たちのかわいい日常を描いたファンタジーコメディ。
作品講評
安定した筆致、表現力の高さが秀逸。色気のある絵は多くの読者の心を掴むだろう。キャラクターたちの性格や世界観を物語る画面作りにもセンスが光る。物語のテーマや構成にも吸引力を持たせられるようになれば、さらなる飛躍に繋がるはず。次回作に大いに期待。
≫ 受賞作品は8月1日公開

虚構の水槽
鴨ささみ

あらすじ
「ファンタジスタ」──それは、水槽のようなこの世界で暮らす不思議な生き物。ある日、イルカのファンタジスタであるルカルは「凶暴」だと教えられている鯨のファンタジスタと出会うのだが…。
作品講評
魅力的な表情が多いだけでなく、画面の作り込みも丁寧なことが高く評価。物語の設定もオリジナリティがあり、興味をひいた。しかし、その設定が説明的であり、没入感にやや欠ける。また、カメラを近づけすぎる傾向にあるため、読者にとって読みやすいネームをさらに追及してほしい。次回作を楽しみにしている。
≫ 受賞作品は8月1日公開

令和マ~メイド
衣吹まいな

あらすじ
突如現れた謎の人魚コスプレイヤー・美麗。SNSフォロワー数100万人超えで人気を集める彼女だったが、その正体は人間に憧れる本物の人魚だった。海底捜索船の操縦士・漣。彼は美麗の正体が人間に気づかれることを恐れ忠告をするのだが…。多様性を求めた人魚のピュアな成長物語。
作品講評
繊細なタッチで丁寧で描かれていた。若干キャラクターが背景に沈んでしまっているきらいもあるので画面づくりの面ではメリハリを意識してみてほしい。ストーリー展開に関してはまとまりの良さを感じる。反面、一定のリズムで単調に物語が進んでしまうのでもったいない。次回はそれらの点を改善した読者の心が動く作品を追求してほしい。伸び代への期待大。
汚部屋魔族×綺麗好き勇者
木々羅ハル

あらすじ
掃除が大好きなSランク冒険者・エリオット。本当なら家政夫として働きたいのだが、4人の弟たちを養うには報酬の高いSランクの依頼をこなすしかなく、泣く泣く討伐へ向かう日々。しかし、この日は珍しくSランクの依頼で「掃除」があり!?
作品講評
勢いのある原稿で、コロコロと変わるキャラクターたちの表情への評価が高かった。伸び代を強く感じる作品。キャラクターへの熱量が広く読者へ伝わるよう、画面作りにこだわりを持って、自身の世界を広げてみてほしい。
高嶺のキミは✕✕したい!
七海

あらすじ
御曹司や令嬢が通う聖ハルモニア学園のマドンナ・一条綾乃。文武両道、才色兼備、カリスマ性などを持ち合わせ、生徒たちからの憧れの眼差しを向けられていた。そんな彼女に恋心を抱く特待生・藤崎 司。庶民で勉強だけが取り柄の彼はある日、綾乃に緊縛の趣味があることを知ってしまい……!? 変態令嬢と庶民男子が結ぶ、緊縛×ラブコメディ。
作品講評
安定した作画と巧みな描写力、精査された画面構成など基礎力の高さが窺える。作品コンセプトとしても「緊縛」と「ラブコメディ」のかけ合わせはわかりやすい。反面、よくある設定ではあるのでストーリー展開は無難な印象を覚える。掲げたコンセプトを活かして、作者ならではの解釈や展開のこだわりを見せてほしかった。次回作は自身が深堀りできるコンセプトを選定し、自分が描くべき作品づくりを追求してほしい。
【総評】
第27回 MAGKAN(マグカン)漫画賞。
今回は銅賞2作品、期待賞1作品、ノミネート3作品を選出させていただきました。
ご応募くださいました皆様に心より感謝申し上げます。
銅賞を受賞した『カゲの詩』は、森に囲まれた小さな村を舞台に、少年の葛藤と後悔が描かれた作品。緻密な画面作りが銅賞受賞という結果に繋がった。特に森神様が現れる見開きページは圧巻。ただ、その見事な描き込み量の反面、キャラクターの固さは気になるところ。そこは改善しつつ、描きたいものと商業性のバランスも意識して次回作に取り組んでほしい。。今後の活躍に期待。★本作は7/1更新のMAGKANで公開しております。
同じく銅賞受賞の『Pseudo human』は、人外4人の共同生活の中で、自立しようとする少年の話。少し湿度を感じる空気感、しかしそれでいて温かみもあり、何とも色気のある画面であった。キャラクターのデザインも秀逸で目が離せなかったが、画面だけではなく、キャラクターの心情や、ストーリー面で読者の心を動かせるようになってほしい。磨き上げた次回作を楽しみにしている。★本作は8/1更新のMAGKANで公開予定です。
期待賞受賞の『虚構の水槽』は、独創性の高いファンタジー作品。主人公の少年が生き生きと動いており、そのキャラクター描写はお見事。しかしその一方で、説明不足に感じる点や、構成面での読みにくさが気になるので精査が必要。また、中盤以降、視覚的な変化が乏しい点も勿体ない。とはいえ、高いポテンシャルを秘めていることは間違いないので、読み手の感度に合わせた作品作りを目指してほしい。期待している。★本作は8/1更新のMAGKANで公開予定です。
『令和マ~メイド』はノミネート受賞。多様性に溢れた令和で、マーメイドがありのままの自分でいられる場所を見つける話。安定感のある作画と、今の時代を反映した題材。非常に読みやすく、綺麗にまとめられていた。ただ、全体的にシンプルに感じてしまったため、多様性というテーマをもっと掘り下げてみたり、作者のこだわりをもっと前面に出してみてほしい。次回作に期待。
続いて『汚部屋魔族×綺麗好き勇者』もノミネート受賞。交わるはずのない魔族と勇者が、部屋の片付けを通して互いを理解していく話。エンタメ性の高い、テンポの良い作品であった。キャラクターの表情も豊かで魅力的だったものの、画力や構成面には拙い部分が見受けられる。画面の情報量を増やせるよう、基礎力の底上げを。今後の成長を楽しみにしている。
最後の『高嶺のキミは✕✕したい!』もノミネート受賞。今回の応募作の中で、作者の「これが描きたいんだ!」という気持ちが一番ストレートに伝わってきた作品。この熱量はぜひ大事にしてほしい。一方で、もう少しストーリーに奥行きがほしいところ。読者の記憶に残る作品にするため、キャラクターの掘り下げや、ドラマを描くことを意識してみてほしい。次回作も待っている。
▶▶▶次回は2025年・夏(締切:8/31当日消印有効)。
優秀な作品は即掲載、関西の編集者が担当に付き、ともに連載獲得を目指すことができます。また受賞に至らずとも可能性を感じる才能の原石には編集部から担当希望のご連絡を差し上げることも。
ここから将来、日本を代表する作家さんが誕生することを心から願って――皆様のご応募、心よりお待ちしております。
多数のご応募ありがとうございました!
みなさんの応募をお待ちしております!
第28回の締切は2025年8月31日!
≫ 応募作品募集中!

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