

関西にいる「シュッとした」人たちから「シュッとした」お話を聞きたくて始めた、MAGKANインタビューコーナー!
第三十四回は、
大阪府堺市出身の レゲエシンガー RAYさん にお話をうかがいました! 大阪の街や飲食業界を盛り上げようという意思のもとに作った曲『ブラリと大阪へ』に込めた想いについて語っていただいたインタビューです。
「RAY」とは?
関西を中心に活躍する、大阪府堺市出身のレゲエシンガー。2013年に発表した『やってもないのに』はYouTube再生回数が600万超え。2021年6月、大阪の飲食業界を盛り上げるべく、旅行グルメサイト「Tabepark! JAPAN」とタイアップした『ブラリと大阪へ』を発表した。
全国の飲食店を大阪から盛り上げていけるように

──どういう経緯で大阪の飲食店を応援する曲『ブラリと大阪へ』を作られたのでしょうか?
RAY(以下、R): もともと、大阪観光局さん発信で、旅行グルメサイト「Tabepark! JAPAN」さんとコラボした「おかえりミナミ大作戦」というGoToEatキャンペーンがあったんです。それで、曲を作れないかという相談があって。
──大阪府をあげての企画だったんですね。
R: 新型コロナウィルスのせいでインバウンド事業も停滞して、どうにか盛り上げたいと。今ミナミの街はほんまに寂しいので…。それで、最初は『ブラリとミナミへ』という曲だったんです。でも、GoToEatキャンペーンがなくなって、緊急事態宣言も出て流れちゃって。その中で「ミナミに限定するのはもったいないな」って話になって、それなら先を見据えて、「全国の飲食店を大阪から盛り上げていけるようにしよう」と『ブラリと大阪へ』になりました。
──レゲエのイメージとは全然違う、年代問わず親しみやすそうな曲調ですよね。
R: ポップスというか、歌謡曲っぽくしたいなとお話をいただいた時点で思っていたんです。企画を通してお話しする方は大人の方が多いし、レゲエはマイナスのイメージから入る方が多いので。だから、ギターを使って昭和っぽく、鼻歌で歌える感じにしようと走り出した感じですね。じいちゃん、ばあちゃんが聴いても「あぁ、えぇなぁ、大阪の歌やなぁ」って思ってもらえるように作りました。
──大阪らしい歌詞が際立っていますが、どんな風に考えたんでしょうか?
R: 僕はレゲエ出身なので、歌謡曲のような曲調でも細かいところで韻を踏むのを大事にして、けっこう気にして作りました。「商店街で土産 買うてんかい」とか。
──レゲエならではのポイントも入っているんですね。
R: あとは「THE 大阪」なところも入れたくて。グリコやかに道楽も歌詞に入っているんですよ。他府県の人でも、大阪って言われたら一番最初に思い浮かべるだろうなと思って。大阪のキーワードを集めるために、自分の先輩や「Tabepark! JAPAN」の代表の方にも手伝ってもらいました。
──特に気に入っている部分はどこですか?
R: それ難しいっすね…。この曲全部好きなんですよね(笑)
──全部!
R: この歌詞、本当にめちゃくちゃイケてると思ってるんで、全部です!(笑)「グリコの看板みたいに万歳」はわかりやすくてけっこう好きですね。あと、三番だけかなり大阪臭を出していて。「1人が好きな俺やけど あんたに会いたくなってきた」ってところ。「あんた」ってけっこう大阪だと思うんですよね。さっき話した先輩と案を出し合っている時に、「ここは“お前”じゃないよな、“あんた”って関西っぽくない?」って話をして。しかもちょっと女性っぽい感じもあるので、そのニュアンスを入れられたのも気に入ってますね。
──『ブラリとミナミへ』はまた歌詞が違っていたんですか?
R: サビの4行だけ変えていますね。実は一回だけロケもしたんですよ。飲食店をそれぞれ回って、おすすめメニューを食べて。緊急事態宣言でいつになるか未定になってしまっているんですが、『ブラリとミナミへ』も大阪観光局のYouTubeチャンネルに出す予定です。

アメ村は僕を「RAY」として育ててくれた街

──ずっと大阪に住んでいるんですよね。お気に入りのご飯屋さんはありますか?
R: お気に入りのお店…えー、難しいなぁ。僕、ラーメンとカツ丼が好きなんですよ。ラーメンだったら芦原橋の「ふじい」っていうところがあって。千日前にも支店があるんですけど。日本一うまいと思ってるラーメン屋、中華そばですね。チャーハンとラーメンがめちゃくちゃうまいです。
──カツ丼のほうのお店はどちらですか?
R: ライブのあとのご飯にはカツ丼があれば大体カツ丼を食うんですけど、なんばに「今日しかない」っていう居酒屋さんがあるんですけど、そこのカツ丼が世界一うまいです。居酒屋なんですけど、飯だけでも全然いける店で。そのカツ丼をおかずに白飯いけるぐらいおいしいです(笑) カツもおいしいし、出汁もおいしい。
──では、思い入れのある大阪の場所はどこですか?
R: アメ村ですかね。アメ村にはいろんなクラブがあって。レゲエで歌う場所って言えばクラブなので、僕がレゲエを歌い始めた時はクラブをはしごしていろんなところで歌ってたんですよ。最初は行くのも緊張するような街だったんですけどね。南大阪出身の人にはわかると思うんですけど、大和川を越えて出かける時はちょっと背筋を伸ばさないとだめで(笑) アメ村に入る時に、もう一発背筋伸ばすみたいな。
──堺にお住まいとのことでしたが、南海沿線のほうだったんでしょうか?
R: JRの阪和線ですね。
──阪和線のほうでしたか!
R: あ~、阪和線知ってらっしゃるんですね~! 大阪の人でもJR阪和線がわからない人がけっこういて、何なら馬鹿にされる感じなんですよ(笑) そんなことないですか?(笑) 堺でも僕は山手のほうで。田舎の人ってあんまり都会に出ないじゃないですか、僕もその一人だったので。しかもJRだし、天王寺で止まっていました。なんばは乗り換えないといけないじゃないですか。あぁ、懐かしいなぁ。
──そんな日常から、アメ村に思い入れを持てる生活になったんですね。
R: 4~5年くらい歌い続けていたら、道を歩いていて知り合いに会ったりとか、「あ、RAYさん」って声をかけてもらえたりするようになって。僕を「RAY」として育ててくれた街です。

レゲエの持つマイナスのイメージを、僕が発信することで覆したい
──今まで出されている曲は、レゲエというよりも、メッセージ性の強いものが多いな、という印象だったのですが、どういったこだわりがあるんでしょうか?
R: 最初はギターを弾いて、コブクロさんとか19さんとか、ゆずさんとかを目指して音楽をやっていたんですね。それで22歳の時にレゲエに出会って歌い始めたんですけど、根本がやっぱりフォークソングで。「THE レゲエ」の曲もアルバムには入っているんですけど、それとの融合をずっと目指しているというか。融合するようなものじゃないと思うんですけど、ポップスの曲調でも韻を踏んだりして、うまいこと持っていきたくて。
──音楽のルーツに秘密があったんですね。
R: 言ってくださった「メッセージ性が強い」っていうのも、レゲエのカルチャーの一つで。僕のイメージなんですけど、レゲエって自分の思っている言葉にメロディをつけるんです。レゲエは直接的な言葉がすごく多くて、それもレゲエの好きなところで。「お前レゲエちゃうやん」ってけっこう言われるんですけどね。でも、作っているメロディや歌詞のつくり方はレゲエの現場で学んだことなので。まぁ、最近はレゲエアーティストじゃなくて、レゲエ出身って言ってます。ずっとレゲエを歌ってるわけでもないし。
──だから「出身」と。
R: レゲエの持つマイナスのイメージを、僕が発信することで覆したいっていうのもあります。
──他でもないRAYさんにしか歌えない、作れない曲になっているのかなと感じました。
R: それはかなり意識してますね。自分が思っているのは、「嘘は無し」ってところなんです。レゲエをやってる人はみんなそうだと思うんですけど、歌詞の中で嘘をつかないことは絶対徹底していますね。

人を元気づけたり勇気づけたりする曲に最終的になっています

──YouTubeについているファンの方々のコメントを見ていると、歌詞に元気づけられている方が多いですよね。
R: そうですね。僕の予想なんですけど、僕の曲を好きな方って基本的にネガティブな人が多いというか、自分に自信がない人が多いというか。僕自身も自分に自信がないので、「俺が一番だ」とは歌詞でも言えないんです。なので、そういう人を元気づけたり勇気づけたりする曲に最終的になっていますね。弱い自分を奮い立たせるような。わざとそうしているわけではないんですけど。落ち込んでいる時に自分の曲を聴いてたまに「あ、頑張ろう」と思う時もあります。
──一方でノリが良い曲も作られてますよね。「東北楽天ゴールデンイーグルス」の小深田大翔選手の入場曲にも『I CAN FLY』が使われているそうで…。
R: 今までもスポーツ選手にはけっこう使っていただいていて。小深田選手は「『I CAN FLY』なんや」って驚きましたね。7~8年前の曲なので。ほんまにありがたいです。
──RAYさんの曲を生で聴こうと思ったら、次の機会はいつ頃になりますか?
R: 8月22日に大阪城野外音楽堂である「ZUM ZUM FES」っていうレゲエのフェスに出ます。レゲエ界でも有名な「MINMI」さんや「HAN-KUN」、「RED SPIDER」も出ますよ。あとは、2022年の2月23日になんばHatchでやるワンマンライブですね。
──ワンマンライブ!
R: この規模で自分主催のライブは3年ぶりくらいなので久しぶりですね。めちゃくちゃ楽しみです。「行きたいけどコロナが怖いからいけない」って人も多い状況かと思うんですけど、来てくれた皆さんと一緒に楽しめたらなと思っています。それに向けて頑張るのが今の目標ですね。

Q.「シュッとしてるもの」って何だと思いますか?
R: 一番最初に思いついたのが小栗旬かゴボウでした。細カッコいい人、そこからカッコいいを抜いたらゴボウだなって。ボケとかじゃなくて、思いついたのがこの二つでした(笑)
Q.自分の名前で缶詰を出すとしたら、中に何を詰めますか?
R: 何詰めるかな…。ちっちゃいカツ丼と、聞いたことがないけど気に入る曲が必ず出てくる缶詰。それがいいですね。カツ丼は、聴きながら食べます(笑)
RAY

大阪府堺市出身。学生時代にシンガーソングライターとして路上ライブを経験し、レゲエシンガーへと転身。『やってもないのに』や『I CAN FLY』、『DEH YAH』など各配信サイトでランキング1位を記録。ジャンルレスな活動を続けその活動はレゲエシーンの外へと拡がっている。
撮影:青谷建
