第24回募集、銅賞1作品、期待賞1作品、ノミネート5作品選出!
多数のご応募ありがとうございました。その中から選出された、栄えある受賞作品は…? (8月末締切分)
祓い屋西園寺
香冬
あらすじ
何時如何なる時も素敵な女性とお近づきになりたい! それがたとえ仕事中──妖怪退治中だとしても! そんな妖怪退治のプロ・祓い屋の西園寺が、どタイプの見た目をした三つ目小僧(女)と出会ってしまい…!?
作品講評
迫力のある画面の作り方が上手く、物語に没入して楽しませる点が受賞に繋がった。特に妖怪たちの描き込みは物語に臨場感を持たせていて、主人公と共に世界観に没入できた。反面、ストーリーの中盤でやや中だるみを感じる部分や、デッサンに固さが残る部分もある。やわらかさを意識した次回作に期待している。
≫ 受賞作品を読む
泡の歌
ハルノキ
あらすじ
音楽家としての道を諦めて死を望んだ男は、暗い海の底でタコの人魚と出会う。「我に歌を教えろ」という人魚の要求により、男は再び音楽と向き合うことになり――…。
作品講評
ヒロインである人魚のキャラクター性が評価され、初投稿ながら期待賞を受賞。主人公が人魚との出会いにより変化していく様が丁寧に描けていた点も好印象。しかし、注目させるべきシーンの演出や魅せ方にはまだ課題があり、やや読みにくいと感じるところも見受けられた。たくさん描いて、若き才能を伸ばしていってほしい。
≫ 受賞作品は11月1日公開
LINNUNRATA
ハチドリ
あらすじ
「影鳥」とは、死んだ生物の影を星へと導く尊き鳥。少年・アンティは病気の父を助けるため、その影鳥を生贄に、父の病気を治すことを決意したのだが—―…。
作品講評
幻想的で美しい世界観と、丁寧に描かれた背景に心が躍った。これからもその個性をどんどん伸ばしていってほしいが、一方でキャラクターの線や表情の固さが惜しい。また、ストーリーに関しては、やや展開を急ぎ過ぎた印象も。魅力的なキャラクターの絵柄を追求しつつ、物語の構成力も身につけていけば、必ず今回以上の結果を得られるだろう。次回作に期待。
あの素晴らしい顔をもう一度
黒うるり
あらすじ
若手お笑いコンビ「日本ブルハープ」の青川。「顔が良い」、ただそれだけでファンをつけているが、ネタは正直つまらない。そんな彼の追いかけを始めた大学生・花宮もまた、「天使」と揶揄されるほどのイケメンで…?
作品講評
見せたいシーンへの熱量を感じる作品だった。期待をさせてページをめくらせる力を持つ一方で、主人公が芸人の人生を狂わせる部分がその期待に反してアッサリしていたのが勿体ない。デッサンはまだ拙さがあり、画面作りの粗さを感じる。作画面の向上を意識しながら、読者の期待を気持ちよく回収する物語づくりが今後の課題。
夢ノ狭間
わさびなゆき
あらすじ
親友の荘次が亡くなって35年が経った。男子高校生のカップルの横を通り過ぎながら、信は思い返す。あの時、「気持ち悪い」と言わなければ、何かが変わっていたのだろうか。時を遡り大切なものを取り戻す、切ないラブストーリー。
作品講評
各シーンで魅力的な表情が非常に多かった。物語の盛り上げ方、恋心を募らせる描写も良かったが、作画面の不安定さが気になってしまう。自然な身体つきや老若男女の描き分けができるようになってほしい。まだまだ伸び代を感じる作品。
魔法図書館のお仕事
壱谷セン
あらすじ
子どもの頃からの夢を叶え、魔法図書館の職員になったコウイチロー。魔法の本を扱うには、魔力を食べる虫を飼い慣らす必要があると教えられたのだが、コウイチローは大の虫嫌いで!?
作品講評
愛着を持てるコミカルなキャラクターたち、魅力的な世界観、丁寧な作画で読者を惹きつけるポイントがしっかり作り込まれていた。ただ画面があっさりしているように感じるので、白黒のメリハリや質感の重視を。物語の流れに合わせて迫力を出していけるようになれば、描ける作品の幅がさらに広まるはず。
御面蒐屋
小山香
あらすじ
一晩だけ「なりたい自分になれる」お面。狐面をかぶる店主からその面を手に入れた結鶴だったが、ある目的のためにお面屋との約束を破ってしまい…。
作品講評
キャラクターのビジュアル、世界観ともに、読者を楽しませる物語を意識して作られている点が好評価。演出が少し単調なのと、画面に物足りなさを感じるため、魅力的なキャラクターたちを引き立たせるためにも、カメラワークや描き込みの引き出しを増やしていってほしい。
【最終候補】
親愛なる妖怪の君たち
春軒
みやこものがたり 温泉旅館の若女将はじめました
梦路辿
好きって言えへん
M9
XRハッカー
豊中 晴丸
【総評】
第24回 MAGKAN(マグカン)漫画賞。
今回は銅賞1作品、期待賞1作品、ノミネート5作品を選出させていただきました。
ご応募くださいました皆様に心より感謝申し上げます。
銅賞を受賞した『祓い屋西園寺』は、レディーを愛する主人公が三つ目小僧と一緒に妖怪退治を行うコメディ作品。テンポの良い導入から始まり、終始キャラクターたちの掛け合いが小気味よく面白かった。ただ、安定感のある作画ではあるものの、やや淡泊な印象も。背景の描き込みを増やしつつ、緊張感を持続させる演出を研究して、より高みを目指してほしい。次回作も期待。★本作は10/1更新のMAGKANで公開しております。是非ご覧下さい。
期待賞を受賞した『泡の歌』は、音楽を諦めた主人公が人魚との出会いにより、大切なことを思い出していくハートフルファンタジー。作者の熱量がほとばしる原稿で、ヒロインのキャラクターも可愛く、冒頭から引き込まれた。反面、場面転換や情報の出し方にはもう少し工夫が必要だったように思う。読者の読みやすさを意識した次回作を楽しみにしている。★本作は11/1更新のMAGKANで公開予定です。
『LINNUNRATA』は、ノミネート受賞。フィンランド神話から発想を得たであろう幻想的な世界観が魅力的だった。背景の作画も緻密に描かれており、伸びしろを感じる。一方で、長尺だった物語を無理やり削ぎ落したように見受けられ、そのせいで繋がりが悪く感じた点も。持ち味はそのままに、次回はストーリー展開に注力してほしい。
『あの素晴らしい顔をもう一度』もノミネート受賞。お笑い芸人とファンである男子大学生の攻防戦を描いた作品。作画の粗さはあるものの、エンタメ性の高さを感じる作品だった。しかし、主人公の狂気が加速する一方で、物語はクライマックスに向かって盛り上がり切らなかった印象で勿体ない。とはいえ、ネーム力はあるので今後の成長に大いに期待。
『夢ノ狭間』も同じくノミネート受賞。35年前の恋をやり直す、温かいラブストーリー。物語の構成力が高く、爽やかな読後感が心地よかった。ドラマ部分がよく描けている。ただ、人物のデッサンや背景とのバランスに違和感があり、没入感を削がれてしまう点が惜しい。人体の骨や比率を見直してみてほしい。必ず成長に繋がるはず。
続いて『魔法図書館のお仕事』もノミネート受賞。魔法本の修復をする業務を任せられた主人公が奔走する物語。主人公と先輩のバディとしてのバランスが良く、主人公の成長も丁寧に描けていた。反面、魅力的な世界観設定に対して画面の作り込みが脆弱に感じるところが気になる。説得力のある画面作りを心掛けた次回作を待っている。
最後のノミネート受賞『御面蒐屋』は、お面の力を借りて、友人との絆を取り戻そうとする女子高生を描いた作品。怪しげな店主をはじめ、雰囲気のある魅力的な作品。主人公の等身大の悩みも分かりやすく描けていたが、画面の作り込みにメリハリをつけることで、より読者を感情移入させる余地はあるように感じた。心を揺さぶる演出を追求してほしい。
▶▶▶次回は2024年・秋(締切:11/30当日消印有効)。
優秀な作品は即掲載、関西の編集者が担当に付き、ともに連載獲得を目指すことができます。また受賞に至らずとも可能性を感じる才能の原石には編集部から担当希望のご連絡を差し上げることも。
ここから将来、日本を代表する作家さんが誕生することを心から願って――皆様のご応募、心よりお待ちしております。
多数のご応募ありがとうございました!
みなさんの応募をお待ちしております!
第25回の締切は2024年11月30日!
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