279510 617311 617311 false optK7KPsAOvYKijAcC7AUuh2YBco4giU e619cf28d26e224403a2c11ceb2f4917 【第七十五回】女子プロレスラー 安納サオリさん 0 0 15
マグカンさんの作品:【第七十五回】女子プロレスラー 安納サオリさん

関西にいる「シュッとした」人たちから「シュッとした」お話を聞きたくて始めた、MAGKANインタビューコーナー!

新年あけましておめでとうございます。
新春特別企画 シュッとした噺二本立て!
第七十六回 河田惠昭さんは
コチラ

第七十五回は、

今大注目の 女子プロレスラー 安納サオリさん! 安納選手の滋賀愛や、プロレスに対する想いに迫りました!

「安納サオリ」さんって?

スターダムの芸能部門であったスターダム・プロモーションに所属し、舞台を中心に活動していたが、アクトレスガールズの旗揚げ戦でデビュー。2018年には初代AGW王座を獲得。その後、「アクトレスガールズ」を退団し、「OZアカデミー」や「アイスリボン」で活動する中、2023年にスターダムに参戦し、いきなりアーティスト王座を奪取。その勢いのままにゴッデス王座とワンダー王座にも輝き、2024年よりスターダムを中心に活躍。大人気のトップ女子プロレスラー。

 

 

私が滋賀を散歩しながら、滋賀の魅力を紹介していきます。

──滋賀県出身とのことで、高校卒業まで滋賀の大津市で過ごされていたんですよね。学生生活はどのようなものでしたか?

安納(以下、A): 弾けていましたね(笑) 見た目もすごく派手でしたし…。私、小さい頃から舞台に立つ経験をよくしていたんですよ。バレエやダンス、ミュージカルとか習っていて! だから人前に立って見られる経験はもちろん、たぶんいろんなことを早めに経験させてもらったので、その結果いろいろとこじらせてしまい…(笑)

──いわゆる、不良っぽい感じだったのでしょうか…?

A: 不良ではないんですけど、「私は自由に生きるんだ!」「みんなと一緒は嫌や!」みたいなポリシーが強くあって。それが良くない方向に突き進んでしまって、学校の友達も先生も大好きだったんですけど、それ以上に自分のやりたいことや成長に繋がるような経験や遊びを優先していましたね。

──では、滋賀で思い出に残っている場所はありますか?

A: んー…琵琶湖ですかね。琵琶湖の近くにある大津高校に通っていたので、琵琶湖の湖岸で友達とお散歩したり、ダンスをしていました。だから琵琶湖を見て育ったというか…落ち込んだ時も、楽しかった思い出も、琵琶湖とともにあったような気がします。でも、当時はまだ琵琶湖のありがたみを分かっていませんでしたね(笑)

──ありがたみは離れて気付くものですね。安納選手の滋賀愛がグッと伝わってきました(笑)

A: 私、本当に滋賀が大好きなんですよ! だから滋賀でもっとお仕事したいですし、夢はびわ湖放送でレギュラー番組を持つことです!

──レギュラー番組⁉ プロレスの番組ですかね? それとも…。

A: あ、それはもう自分の中では決まっているんですけど、『あの散歩』っていう…。

──ん? まさかのロケ番組ですか⁉

A: そうです! 私が滋賀を散歩しながら、滋賀の魅力を紹介していきます。私自身、滋賀で育ちましたけど、知らない魅力もまだいっぱいあると思うんですよ。だから…この記事を読んでくれている関係者の方! いらっしゃったら是非お願いします! 私、もう何でもします。滋賀の為になるならば!(笑)

──ではここで、琵琶湖以外の滋賀の魅力といえば…?

A: まず歴史がありますね。実はお寺が京都よりも多くて! あとは…やっぱり「安納サオリ」が生まれた場所っていうのが一番の…(笑)

──なるほど!(笑)

A: 私、滋賀に生まれて本当に良かったと思っているんですけど、理由の一つに滋賀出身のプロレスラーが私しかいないっていうところもあって。

──そうなんですか? 関西出身の選手は多い印象でしたが…。

A: そう! 京都とか大阪はいっぱいいるんですけど、滋賀は私だけなんですよ。嬉しいし、今後も誰も出てくるなと思っています。滋賀の代表は私なので(笑)

 

ベルトを腐らすのも生かすのも、私次第

──そんな大好きな滋賀を高校卒業後に離れて上京されましたが、俳優を目指して上京されたんですよね?

A: はい。「人に見られたい、自分以外のものになりたい」っていう欲求から、俳優の養成所に通うことになって。

──当時、憧れや目標にしていた俳優さんはいましたか?

A: …めちゃくちゃおこがましいですけど「私が一番やし」と思っていました(笑)

──安納選手らしいですね。

A: 東京に来てからは、毎日レッスンに通いながらオーディションを受けたり、新鮮でしたね。一人暮らしも、東京という土地も、全てが初めてなことだらけだったので。


──その生活からプロレスに出会うのが不思議ですが、どんな経緯だったんでしょうか?

A: いろんなアルバイトをしながら、ギリギリな生活をする中で、たまたまスカウトしていただいたんですよ。でも「え? プロレス? …私が?」みたいな感じでした。プロレスはそれまで観たこともなかったし、痛いの苦手なので…。でも初めてプロレスの試合を観た時、リングに立っている自分の姿が想像できたんですよ。「私、プロレスやるんやろな」って。だから自然とそのまま練習に参加して、練習は本当に嫌だったんですけど、不思議と「もう辞めよう」っていう選択肢はなかったし、仲間もどんどん増えていって…。気づいたらデビューが決まっていました。

──プロレスの何が安納選手を惹きつけたのでしょうか?

A: うーん…。でもやっぱりプロレスって演劇の舞台とは違って、前も横も後ろも、360度から見てもらえますよね。私が俳優を目指した初期衝動は「人に見られたい」というところだったので、私にとっては最高の場所に思えたんでしょうね。あとは、プロレスって嘘がないんですよ。リアルな感情や人間模様が見える。これは自分がリングに立ったからこそ分かったことかもしれませんが、それがプロレスの魅力なのかなと思っています。

──なるほど。では、デビュー戦で初めてリングに立った瞬間は、「こんなにたくさんの人に見てもらえてる!」という高揚感は感じましたか?

A: もちろんありました。でも試合が始まると「わぁ、なんか…楽しくないな」って…。今でもあの試合を見返すとめっちゃ「うわあああ!」ってなります。「何してんねん、自分!」って。

──過去のインタビューでも、初試合で自分はプロレスに向いていないと感じたとおっしゃっていましたね。

A: そうなんです、試合には勝ったんですけどね…。今だから言えることですけど、自分が思い描いていた「プロレスラー・安納サオリ」っていうものが全然表現できず、あれは偽りの安納サオリだったなと思います。とにかく納得がいかなくて、理想とかけ離れた自分を見られてしまったことが、すごく恥ずかしかったんですよ。それで「ああ、向いてへんねやな」って。

──それでも今プロレスを続けているということは、そういう悔しさを原動力にしてきたと。

A: 結局そうなんだと思います。来年10周年を迎えるんですけど、常に納得はしていないですし、「悔しい…悔しい、でもまだできる!」って言い聞かせてやってきた10年でした。特に、プロレスを始めた当初は批判の言葉も大きかったんですよね。

──そうだったんですか⁉

A: 「女優を目指していた奴が、生半可な気持ちでプロレス界に入ってくんな」というような言葉が多くて、今では「確かにそうやんな」って思うんですけど…。でも、そういう言葉があったから「じゃあもっと頑張んなくちゃ。生半可って思われないように学んでいこう、練習していこう」と思えたので、今の私があるのは、そのおかげかもしれません。

──その姿勢が結果になったのが、2017年の初ベルト戴冠でしょうか。

A: そうですね。やっぱりプロレスを続けていく中で、ベルトを獲ることに憧れがありましたから。両親も滋賀から試合を観に来てくれて、嬉しかったです。でも、やっぱりベルトを巻いてからがスタートなので。獲得したこのベルトをどうやって輝かせていくか、どう安納サオリ色に染めていくのか、そこからまた、新たな目標ができました。何というか…自覚というものを覚えましたね。ベルトを腐らすのも生かすのも、私次第だから。

 

良い試合と勝ち負けは自分の中でイコールではない

──プロレスをやっていて、楽しいなと思う瞬間ってどんな時ですか?

A: お芝居をしている時にも共通すると思うんですけど、やっぱり自分が発したことに対してお客さんが反応してくれる瞬間は嬉しいですね。私はプロレスの技は演劇の台詞と同じだと思っていて。私は言葉の代わりに技で伝える。だから、技を返した時に観客席から反応がしっかり返ってきた時は、「ああ、伝わってるんだな」って嬉しくなります。

──では、良い試合ができたと思うのは、そういうコミュニケーションが上手くいった時でしょうか?

A: そうですね。負けたら悔しいですけど、良い試合と勝ち負けは自分の中でイコールではないですね。

──最近だと、どの試合が良い試合だったと思いますか?

A: 良い試合…とはまたちょっと違うかもしれないですけど、自分の中で成長に繋がる試合だったと感じたのは、2024年11月9日に行った、里村明衣子さんとのシングルマッチですね。また目標が出来たなと思いました。

──里村選手も安納選手のことを絶賛されていましたもんね。そうやって良い試合ができた日は、自分へのご褒美として何か特別にされていることなどはありますか?

A: 私は常に自分にご褒美をあげてます! やっぱり痛い思いをしているし「甘やかさなあかん」と思って(笑) 基本的には家でだらだらして、『サザエさん』とか『ちびまる子ちゃん』とか、ぽけーっとできるアニメを観て、何もしないです。それが自分への一番のご褒美!

 


こだわりは色と引き算

──ここでコスチュームのこだわりなどをうかがいたいんですが、今日はコスチュームを持ってきてくださっているんですよね⁉

A: はい! せっかくなので着替えてきますね!

──いいんですか! 感激です!

~5分後~
A:
…あの、ちょっと待ってくださいね。これ新しいコスチュームなんですけど、あれ? この紐なんなん? あれ?

──全然大丈夫です!

~さらに5分後~
A:
ほんまに待ってください、すみません。この紐がこうなって、これが…。ほんまに分からん。

──全然、全然大丈夫です!

~さらに5…
A:
お待たせしました!


──めちゃくちゃかっこいい…! コスチュームのこだわりを教えてください!

A: こだわりは色と引き算ですかね。派手な色も大好きなので、色をいっぱい使っているコスチュームは華やかでいいなと思うんですけど、私は自分の肌が綺麗に見える色を選んでいます。あとは足し過ぎずに引き算するというか、シンプルなコスチュームが好きです。

──いつも安納選手がデザインされているんですか?

A: 自分でデザインしていた時もありました。でも最近はデザインしていただいくことが多いですね。このコスチュームもデザインしていただいたものですが、色とかは自分で決めました。同じ白でも、いろんな種類があるので。

──今まで何着ぐらい作ってこられたのでしょうか?

A: これまでは一年に1回だったんですけど、試合がどんどん増えてきたので、今はもう常に作っていますね。

──新しいコスチュームをおろすタイミングっていうのはやっぱり大きな試合の時なんですか?

A: そこはあんまり決めていなくて、「着たいから着ようかな~」っていう時もありますし、ルーティンで着まわしたりしています。

 


もっと多くの人にプロレスを届けていきたい

──2024年は振り返ってみてどんな一年でしたか?

A: 今年は去年と比べて、個人的にはすごく新鮮な一年でした。また新たに一歩踏み出せた年だったなと。でも、だからこそ安納サオリをどう見せていくか、常に考えていた一年でもありました。その中で止まってしまったと感じた時もあったんですけど、振り返ってみると私らしい一年だったと思います。

──安納選手が思う自分らしさって何でしょう?

A: 一つの場所に留まらず、他団体に出たりしながら、いろんな選手と絡んでいるイメージが私には強いと思うので、そこはスターダムとの専属契約をしても、止めたくなかったんですよね。それは試合だけでなく、メディアのお仕事とかも一緒で、ちょっとずつ仕事の幅を広げていきたいと思っています。

──では、今後やってみたいことや挑戦したいことがあれば教えてください。

A: さっきも言った通り、『あの散歩』は是非やらせてください!(笑) あとは私、虫と高いところ以外はNGないので、もっといろんなことに挑戦してみたいですね。来年10周年ですし!

──女子プロレス業界全体に望むことはありますか?

A: これはずっと言っているんですけど、女子プロレスだけに関わらず、プロレスっていうものをもっと知ってもらいたいと思っています。私も最初は全然知らなくて、いつの間にかこんなに大好きになっていましたから。プロレスを好きになる要素ってたくさんあると思うんですよ。最近はアイドルっぽい子もいるので、推しを選びやすいような気もしますし。女の子が戦っている姿は観ていて辛いなって思う時もあるかもしれないですけど、一緒に応援することで、自分も頑張ろうって思えたりすると思うので。ただ、その最先端にいるのは私でありたいなって思います。だから、滋賀でのレギュラー番組をやりながら、もっと多くの人にプロレスを届けていきたい。そして、滋賀県の観光大使になります!(笑) もし実現したら、また取材してくださいね!

──是非、就任式の際に!(笑) 楽しみにしています!

 

Q.「シュッとしてるもの」って何だと思いますか?
A: パッて思い浮かんだのは、滋賀にあるメタセコイアの木です。
──滋賀県のマキノ町にある並木道は有名ですもんね。
A: そう! もうあの場所が大好きで、季節によってあの景色が本当に変わるんですよ。おもしろい回答じゃなくてすみません! 滋賀愛優先で!(笑)
Q.自分の名前で缶詰を出すとしたら、中に何を詰めますか?
A: 安納芋です。もう何のための「安納」サオリかっていう話ですよ! シンプルが一番なんですから!(笑)

 


安納サオリ

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1991年生まれ、滋賀県大津市出身。2015年にリングデビュー。「絶対不屈彼女」の愛称で親しまれ、トップ女子プロレスラーとして活躍。2024年からはスターダム所属でありながら、他団体の試合にも参戦し、一つの枠に収まらず、活動の場を広げている。好きな漫画は『ハイキュー!!』『NANA』(ともに集英社刊)、『花より男子』(小学館刊)など。

撮影:青谷建

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