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昭和初期、敵対する組織をたった一人で壊滅させた伝説のヤクザがいた。 その名は嘉瀬組の“窮奇(かまえたち)”。14名の死傷者を出したその事件の後、 大陸に潜伏していたところを陸軍が捕拿するも逃走。行方を眩ましていた――。 憲兵隊に所属する特務曹長・祢木。謹厳実直に業務に向き合い、 年の離れた弱視の妹を大切にしていた彼だったが、時折その眼光は血のように赤く染まることがあり…。