
関西にいる「シュッとした」人たちから「シュッとした」お話を聞きたくて始めた、MAGKANインタビューコーナー!
第六十一回は、
盆踊りをこよなく愛する中西祐紀子さん! 盆踊りにハマったきっかけから、盆踊りを伝える活動について伺いました!
中西祐紀子さんって?
2023年8月18日放送のMBSテレビ「よんチャンTV」内『キリトル夏』でも特集された盆踊りマニア。この夏も多くの盆踊りに参加し、盆踊りの楽しさを届ける活動にも精力的に励んでいる。

自然にコミュニケーションが生まれる空間がすごく面白い
──盆踊りの魅力に気づいたきっかけを教えてください。
中西さん(以下、N):きっかけは地元・寝屋川の盆踊り大会と大阪市中央区の盆踊り大会に参加したことです。盆踊りって踊ったことありますか?
──確か小さい頃にあったと思いますが…正直あまり記憶にないですね…。
N:そんなもんですよね(笑) 私もずっとそんな感じで、「綿菓子食べに行くか~」ぐらいの気持ちでお祭りに行っていたんですが、大人になってから「盆踊り」の方に興味が出てきたんですよ。
──大人になってから興味を持つのは何となく分かります。子どもの頃は踊ることが恥ずかしかったりもしますし(笑)
N:そうそう! それで、両親と一緒に地元の盆踊りに行って参加してみたら、もうすっごく楽しくって! 何がきっかけだったかは覚えていないんですけど、気づいたら輪の中に入っていて、踊り上手なおばちゃんから教えてもらったり、知らないおじちゃんから「よっ! ねえちゃん頑張れ!」という感じで声をかけてもらったり、そうやって地元の人と自然にコミュニケーションが生まれる空間がすごく面白いなと思いました。地元の盆踊りなので、町内会の人たちしか踊っていなくて、若者が珍しくて目立っていたというのもあるとは思うんですけど…。
──確かに地域の人との交流が減ってきていると言われるなか、そういう機会は新鮮かもしれませんね。
N:そこで盆踊りの楽しさを知って、そのあと大阪市の中央区の盆踊り大会にも行ってみたら、地元よりも大きい規模の盆踊り会場で、はじめはそれこそ、お揃いの浴衣を着た町内会の方々が中心となって踊っていたんですけど、夜が更けてきたら私と同年代の若者たちも増えてきて。それぞれが自分のリズムで自由に踊って楽しんでいて、自分もその輪に入り続けていたらどんどん踊ること自体が楽しくなってきたんです。それがきっかけでハマっていきました。
──もともと踊ること、ダンスが好きだった訳ではないんですね。
N:私、すごく運動音痴なんですよ(笑) 身体を動かすことがめちゃくちゃ嫌いで、体育の時間はずっとコートの隅で立っている人でした。「出来るだけ動くもんか!」と思ってて(笑) だから、盆踊りを通して初めて身体を動かす楽しさに気づきましたね。

私が絶対チェックするのは大阪の7月の区民報
──今年もたくさん盆踊りに参加されましたか?
N:今年は…24日ぐらいですかね。参加する会場数で言うと二日連続で同じ会場に行くこともあるので、数え方が難しいんですよね…。24櫓(やぐら)と言えばいいでしょうか? まあそんな感じです(笑)
──そもそも、盆踊りってだいたいどれくらいの頻度で開催されているものなんでしょうか?
N:これがね…実はめちゃくちゃあるんですよ(笑) だから関西に絞ったとしても、いくつやっているのか数えるのがすごく難しくて。ピークの8月中旬ぐらいだったら1日に10カ所ぐらい、いろんなところでやっているので、どこに行くか迷うんですよね。先日、MBSさんの取材を受けて、その時の動画がYouTubeに上がっているんですが、「ひと夏最高25夜の盆踊りに参加する女性」と紹介してもらったものの…恐れ多いんですよ…。自分的にはそんなのもうめちゃくちゃ未熟者で恥ずかしくて(笑) 夏が始まってから、9月の頭ぐらいまで本当に毎日参加して、しかも1日に3~4つの会場をハシゴする方もいるので。
──ハシゴされる方までいるとは…。そういう盆踊りの情報ってどうやってキャッチされているんですか?
N:私が絶対チェックするのは大阪の7月の区民報です。どの区も7月の区民報は夏祭り特集みたいなページがあって、その地区の夏祭りの一覧が載っているんです。ただ、市や町内会が関与していないものや、本当に小規模なやつとかは載っていないこともあるので、ネットでも探しています。あとは友達から情報を聞いて行ってみたりだとか…。すごい人は自転車で掲示板を回ってますよ!
──ん? 掲示板?
N:そう、町にある自治会の掲示板! いろんな地区の掲示板をチェックしている強者がいるんですよ。
──ああ、ありますね! ゴミステーションの近くにそういえばありました! 今まで全然気にしたことなかったですが…(笑)
N:来年の夏はぜひ見てください(笑)

地元への愛を謳っている
──それだけ多くの盆踊り参加されているなかで、オススメの盆踊り会場はありますか?
N:私が好きなのは、盆踊りを好きになるきっかけになった地元のお祭りとか、大阪市の中央区の盆踊りなんですが…。初めて行かれる方は規模が大きい方が行きやすいと思うので「南御堂盆おどり」とかどうでしょうか⁉ 大阪の本町にある南御堂というお寺で、毎年8月の末に開催されています。全国のいろんな民謡が生唄で流れるのもポイントですね。
──そうか、会場によって生唄の場合もあるんですよね! 河内屋菊水丸さんとか!
N:そうです! カセットとかCDで流すところもあれば、音頭取りさんが来て河内音頭と江州音頭を2~3時間ずっと生唄で流す会場もあるんですよ。そればっかり聴いていると、だんだんハイになっていく感じがあります(笑)
──音頭というと、いろんな楽曲があると思うんですけど、好きな音頭はありますか?
N:河内音頭と江州音頭は関西の音頭なので、私はすごく好きですね。あと大阪は区民音頭っていうのがあって、どこの区もそれぞれの音頭があるんですよ。地元の寝屋川市にも『新寝屋川音頭』というのがあるんですけど、地域ごとに「ここの地域はすごくいい町やからみんなおいで!」というような、地元への愛を謳っていて、それを聴きに行くために参加するのも面白いと思います。
──地域ごとの特色を楽しむ、という楽しみ方もあるんですね。確か最近は盆踊り会場でJ-POPが流れることもあるんですよね?
N:そうそう、そうなんですよ! 『ダンシングヒーロー』とか有名です。東京の方だと洋楽で踊ったりするのも増えてきたりしていますね。音楽フェスのFUJI ROOKでも毎年盆踊りをやるらしいですし、どんどん若者が参加しやすい環境になってきていると思います。
──そうやってJ-POPが流れる時の踊りの振り付けってみんな自由なんですか? 型みたいなのがあるんでしょうか?
N:一応、盆踊りの振り付けが付いています。ダンシングヒーローもダンシングヒーローの振り付けが付いていますし、私が好きな『バハマ・ママ』っていう洋楽も盆踊りの振り付けが付いてます。
──中西さんはだいたい何曲ぐらい覚えているんですか?
N:私はレパートリーがまだめちゃくちゃ少なくて…。本当に誰にも頼らずに踊れるのは…河内節、炭坑節、あとダンシングヒーローと…。でも、7~8曲ぐらいですかね。レパートリー増やします(笑)

友達の引っ越し祝いで新居にマイ櫓を持っていき、みんなで踊ったことも
──盆踊りに参加するようになったことで、ご自身の中で変化した部分はありますか?
N:友達が増えました! 盆踊り仲間も増えたし、会場で出会って私が師匠と呼んでいる、夏になったら絶対に連絡をくれるおじいちゃんもいます(笑) でも、それだけじゃない友達も増えた気がします。こういう活動をしていることで、音楽や演劇系のイベントに呼んでもらったりすることも増えたので、いろんなジャンルの友達が増えましたね。
──その「活動」というのは、今も着ていらっしゃるTシャツにある「毎日どこかがダンスホール」というプロジェクトですよね。どういったプロジェクトなのか教えてください。
N:今やっている活動は、このTシャツを着て、ただただ自分が好きな時に盆踊りに参加することと、持ち運び式の「マイ櫓」を持っていろんなイベントへ踊りに行く、「ウーバー盆踊り」です。Uberに怒られるかなとビクビクしていますが、一応「ウーバー盆踊り」って名付けていまして…(笑)
──中西さんが櫓を持って行って、その周りをみんなで踊るということですかね?
N:はい。元々演劇や音楽をやっている友人が多くて、その人たちが面白がって「今度こういうイベントやるからちょっと来てや」と呼んでくれて、そこから始まりました。呼ばれたらマイ櫓を持って行って、櫓を立てて、パソコンやスマートフォンで曲を流して、レクチャーしながら踊って…。私の踊りを皆さんに見せるわけではなくて、それまで演者だった人も観客だった人も、その場に集まった人全員に参加してもらいながら、イベントの締めくくりとして楽しんでもらったり。そんな感じでみんなに盆踊りの楽しさを知ってもらうために、盆踊りを届ける活動をしています。
──印象に残っている配達はありますか?
N:うーん…結構いろんなところでやらせてもらって、ご飯屋さんにあるちょっとしたスペースでやらしてもらうとか…美容院でやらせてもらったり…。
──美容院で…?
N:その時はお店を早く閉めて、そのお店のお祭りみたいな感じでやらしてもらいましたね。あ、あと友達の引っ越し祝いで新居にマイ櫓を持っていき、みんなで踊ったこともありました(笑) 普段盆踊りをしないところで踊るっていうのは面白いですよ!
──引っ越し先で盆踊りとは(笑) すごくシュールな感じがします。
N:新居に行ったこともあるし、引っ越す前の最後の部屋で、「次の家で良いことがあるように」と願いながら踊ったこともありましたね。マイ櫓はそんなに大きくないので、どこでも出来ます。櫓も紅白の幕みたいになっているんで、それがあるだけでも楽しそうでしょ?(笑)
──ちょっとおめでたい感じがするので縁起も良さそうです(笑)

自分が盆踊りを好きな気持ちをどう表現しようか
──ちなみにそのマイ櫓を作ろうと思ったきっかけは何だったんですか?
N:ちょっと変わった友達が持っていた「持ち運び式こたつ」を見たのがきっかけですね。
──えっと…持ち運び式のこたつ…ですか?
N:すみません、意味が分からないですよね(笑) その友人はいろんなところでこたつを組み立てて、興味をもってくれた道行く人たちをこたつに招いてお喋りをする「流しのコタツ」という活動をしていまして。そのスーツケースのように車輪がついた移動式こたつを見た時に「私もほしい! 私もどこでも踊れるやつほしい!」と思って、友人にオーダーメイドで作ってもらいました。やっぱり「毎日どこかがダンスホール」という屋号を付けたからにはいつでも踊れるようにしたいですから。
──素敵な屋号ですよね!
N:ありがとうございます! これは寝る前に急にこのフレーズが降ってきたんです(笑) 何と言うか…盆踊りって本当に踊りを極めためちゃくちゃ上手な人もいれば、とにかく踊るためにたくさんの会場に参加している人もいたり、踊れる楽曲のレパートリーがとにかく多い人もいて…。私も盆踊りがめちゃくちゃ好きなんですけど、その好きの表現は出来ないなと思ったんですよ。普段は会社員として働いているので、そんなに毎日参加することもできないし、踊りを極めるために自主練習するようなストイックさもない。好きという気持ちはあるけど、深められない、オタクになりきれない自分がいると思っていて…。でも、好きってことは伝えたいなと思っていたら、このフレーズが降って来たので「これはもうロゴを作るしかないやん!」と思って、ロゴを作ってTシャツを着て、とにかく大きな声で好きって言ってみようと(笑) そこから気がつけば櫓を作ってこういう活動をするようになっていて、「自分が盆踊りを好きな気持ちをどう表現しようか」と考えた結果、こうなった感じですね。
──では最後に、この記事を読んで来年の夏は盆踊りに行ってみようと思う方がいると思うんですが、そういう読者に向けてアドバイスなどあればお願いします!
N:とりあえず、行ってみてほしいです。最初は輪の中に入るまでめちゃくちゃ勇気がいると思うんですよ。ビール飲んだりたこやき食べたり、盆踊り会場という場を楽しむってことは出来るけど、踊るとなると少しハードルがあると思います。ちょっと踊ってみようかなという気持ちになっても、「上手じゃないと入ったらあかんのちゃうかな?」とビビッてしまったり。でも、実はそうじゃないんです。もちろん盆踊りには型があるので、正しい踊り方というか、正解はあるんですけど、入ってみたら意外とみんな出来ていなかったり、わりと自由なリズムに合わせて踊っていたりします。下手でも誰も怒らないので、ぜひ踊ってみてほしいなと思います。
──上手に踊りたい! 踊りを覚えたい! という場合はどうすればいいでしょうか?
N:自分の師匠を見つけるのが一番だと思います。上手だな、この人の真似なら出来るかな、という人の後ろにぴったりくっついて、踊ること。それで私も上達しました! 今年、これまで盆踊りに参加したことがない友達と盆踊りに参加する機会があって、最初は「分からへん分からへん」って言ってたんですけど、結局その子も盆踊りにハマってくれて、他の会場も何カ所か一緒に行ったんです。盆踊りは型が決まっているので同じ曲だと同じ振り付けです。だから、だんだん覚えていくんですよ。夏が終わる頃には一人前に踊れるようになっていましたね。大人になるとひと夏で自分の成長を感じられる経験って少なくなってくると思うので、そういう点も盆踊りの魅力だと思います。なので、まずは輪に入ってみる。そして、自分の師匠を見つけてやってみる、そうすると何となく踊れるようになってきて、次第に型の中にある盆踊りの自由さも感じられるようになると思います。ぜひ、来年の夏は踊ってみてください!

Q.「シュッとしてるもの」って何だと思いますか?
N:私はシュッとしてる=素敵だと思っていて、何でも面白がれる人が素敵だなと思います。例えば、この櫓だって「櫓を運ぶってどういうこと? 変なやつやな」と思われたらそれまでなんですけど、「夏祭りするからそこで盆踊りやってくれません?」って声をかけてくれたり、「このイベントの最後にみんなで踊ったら楽しいと思うねん」って呼んでくれる人がいて、そうやって面白がってくれる方たちはシュッとしてるなって思いますし、自分もそうありたいなって思っています。
Q.自分の名前で缶詰を出すとしたら、中に何を詰めますか?
N:二つ思いついていて…私が手ぬぐい好きっていうのもあるんですけど、盆踊りに行くときに一番重宝するのは手ぬぐいなんですよ。だから手ぬぐいを入れるか、物じゃなくてもよかったら、私の好きな瞬間を詰めたいです。私、踊ることも音頭も好きなんですけど、盆踊り会場に行くまでに遠くから聞こえてくる太鼓の音や音頭を聞きながら、「もうすぐ始まる…私あそこに行けるんや!」とワクワクする瞬間が好きなので、それを詰めたいですね。

中西祐紀子
大阪府寝屋川市出身。盆踊りの楽しさを伝えるため「毎日どこかがダンスホール」というプロジェクトを始めた盆踊りマニア。好きな漫画は『らんま1/2』、『犬夜叉』(ともに小学館刊)など。

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