
関西にいる「シュッとした」人たちから「シュッとした」お話を聞きたくて始めた、MAGKANインタビューコーナー!
第五十三回は、
京都にあるアコースティック専門のライブハウス「someno kyoto」のオーナーである奥村將通さん! コロナ禍を経た、ライブハウスの現状についてお話を伺いました!

「someno kyoto」って?
2017年9月に京都は河原町にOPENしたアコースティック専門のライブハウスです。シンガーソングライターやバンドマンによる弾き語りやアコースティックセットのライブイベントを中心に、「カフェのような落ち着いた空間」と「ハイスペックな音響設備」を兼ね備えたライブハウスを目指しています。

今までのライブハウス運営ではダメだと思いました
──someno kyotoはアコースティック専門のライブハウスですが、立ち上げのきっかけは何だったのでしょうか?
奥村さん(以下、O):someno kyotoを作る前に、約10年間ライブハウスのブッキング担当として働いていました。そこから自分のお店を立ち上げようと思ったのは、自営業で呉服屋をやっている父の影響も大きかったかもしれません。父の姿を小さい頃から見ていたので、「いつか自分で商売をやってみたい」という思いが昔からあり、ちょうど10年経ったタイミングで思い切って自分のお店をやることにしました。
──someno kyotoという店名の由来は何ですか?
O:父の「染乃 おく村」という屋号から取りました。僕はアーティストの方へ出演依頼のメールを送るときに、少しでも覚えてもらえるように「奥村」という名字をわざと「おく村」にしているんですが、それも父の屋号からのアイデアで、ゲン担ぎのようなものなんです。なので、父の屋号からお店の名前を決めたのは自然なことだったかもしれません(笑)
──京都っぽい店名だと思っていたんですが、そういう由来だったんですね! 現在5周年目ということですが、この5年間は新型コロナウイルスの影響もあり大変だったことと思います。どんな5年間でしたか?
O:コロナの影響はやはり大きかったですね。でも、コロナの影響で最近は出張配信までやるようになりましたし、幅は広がったと思います。
──出張配信…ですか?
O:someno kyotoではライブ公演の配信をやっているんですが、それだけではなく、他のライブハウスに配信機材を持ち込み、配信映像を担当することもやり始めたんです。配信専門の映像事業部を作り、最近はライブ映像だけでなく、税理士さんの対談映像や大学の入学式などの映像も撮影しています。
──そうなんですね。配信自体はコロナ前からやっていたのでしょうか?
O:いえ、コロナをきっかけに始めました。国内でコロナ感染者が出始めたのが2020年の1月末頃だったと思いますが、 当時は早い段階でライブハウスからクラスターが出てしまったことで、ライブハウスは非常に危険だという空気感になってしまったんですよ。
──そうでしたね…。当初はライブハウスやスポーツジムからクラスターが発生していましたよね。
O:その報道やSNSを見ていると、ライブハウスがどんな場所なのか、十分認識されていないということをすごく痛感しました。ライブハウスの役割って何だろうと悩みましたね。でも、アーティストの育成のためにもライブハウスという空間を無くしてはいけないことは確かでしたし、前代未聞のこの騒ぎがいつ収束するのか全く見当がつかなかったので、今までのライブハウス運営ではダメだと思いました。その打開策の一つとして、まずはライブ配信ができる環境を整えないといけないと直感的に思ったんです。ただ、どうやって配信したらいいのか全く知識がなかったので、最初は手探り状態でした。ビデオカメラと一眼レフ、どっちがいいのか…というところから調べて、高性能な一眼レフと配信用のデスクトップを買って…。どうせこのまま倒産するなら一緒かという気持ちで、かなりスペックの高いものを揃えました(笑)
──そこから配信を始めたのはいつ頃だったんですか?
O:最小限の配信設備を導入して配信ライブを始めたのは3月中旬ぐらいでしたね。試験的な配信でクオリティーはなんとも言えませんでしたが…(笑) ただ、コロナ禍でライブハウスに行きたくても行けない音楽ファンの方々もたくさんいたでしょうし、喜んでいただけていると実感しました。なので、ネットを使ったライブ配信の重要性を感じましたね。とはいえ、出演者の移動すら厳しくなった状況もあり、しばらくはお店を完全に自粛しないといけない状況にもなったので、お店の存続をかけてクラウドファンディングもさせていただきました。多くのアーティストやお客さんたちの協力のおかげで目標金額以上のお金が集まり、お店の存続だけではなく、配信用の器材もより充実させることができました。本当に感謝しています!
──3月中旬からということは、配信を始められたタイミングが早かったんですね。
O:全国的に見て早い方だったと思います。なので、全国的にライブハウスが配信を始める頃には知識だけではなく、ある程度ノウハウも持っているんじゃないかと思い、出張配信を始めることにしたんです。あと、配信へのこだわりで言うと、ライブハウスって基本ステージの後ろは黒幕が多いんですよ。生でステージを観ていて照明も入ると気にならないんですが、配信で観ると黒幕が野暮ったく感じてしまって…。なので、黒幕を木材の壁に変えました。

──確かに立体感が出て、印象がガラリと変わりますね!
O:DIYで作ったので、かなり大変でしたが(笑)
──えっ、手作りなんですか⁉
O:スタッフに木の扱いになれたリペアマンがいたので、かなり助かりましたね(笑)
──すごい…! その頃と比べると、今ではだいぶコロナの影響も落ち着いてきたのかなと思いますが、状況はいかがですか?
O:落ち着いてきたとはいえ、まだまだ出演者の辞退もありますし、他のライブハウスを見てもコロナ前と比べてお客さんは完全に戻ってきていないと感じています。だから、ここみたいにキャパが広くないライブハウスの場合、配信はすごく助かっていますし、あのとき配信環境にこだわっておいて良かったと思っています。

アーティストたちが何をしたいのかを理解することを大切にしています
──他のライブハウスよりも配信を早く始め、現在も高クオリティの配信環境を整えていることをお聞きしてきましたが、他にもsomeno kyoto独特のシステムやこだわりの部分はありますか?
O:そうですね…音にもこだわっていますが、それ以上にアーティストとの関係性や、出会いは重要に考えています。僕も15年ほどアコースティックのアーティスト中心にイベント制作してますが、やはり自分主観の良いアーティストやイベントっていうのが、今の時代に合ってるかは疑問に感じることもあります。今の音楽ファンや若い世代のアーティストとの関わりを増やしたくて、イベント制作スタッフも若い子スタッフ中心に運営してます。スタッフとアーティストとの年齢が近いほうがコミュニケーションもスムーズな気がしますし、良い関係が作りやすいと思います。
──常に新しい風を意識されているんですね。先ほどクラウドファンディングの話が少しありましたが、クラウドファンディングではたくさんのアーティストが存続支援プロジェクトに参加されていました。多くのアーティストから愛される場所になっていると思うのですが、奥村さんが出演者と関わる上で意識していることはありますか?
O: まず、出演してくれるアーティストたちが何をしたいのかを理解することを大切にしていますね。
──何をしたいか、というのはメジャーに行きたいのかどうか、というようなことでしょうか?
O: メジャーに行きたいかの前に、もっと鮮明に目標を聞くようにしています。メジャーに行きたいんです、って言ってもメジャーへの理解が共通しているか分からないですから。テレビから自分の音楽が流れてきて欲しいのか、ドラマのタイアップになりたいのか、ホールツアーをしたいのか…。場合によってはメジャーじゃないとできないのか、という話にもなってきますよね。そもそも、なんでメジャーに行きたいのかも、アーティスト自身がイメージできてないように感じることもあるので、その目標を明確にしてあげることは意識しています。
──なるほど。
O:何かで見たのか、誰かから聞いたのか覚えていないんですが、 宝くじの売上って低迷しているらしいんですよ。特に、若い子たちが買わないそうです。
──それは損をしたくないとか、どうせ当たらないと思っているから…でしょうかね?
O:それもあると思いますが、想像力の欠落も一因みたいです。一時、宝くじのCMで、宝くじが当たればオペラ会場を貸し切ってライブができますとか、家でキリンが飼えますというイメージCMがあったんですが、そういうイメージがないと、3億とか5億の当選金を手にしたときに、そのお金で自分は何ができるのかイメージが憑かず、その結果、購買意欲が上がらなくなります。それと同じように、メジャーに行きたいという子がただ漠然とメジャーに行きたいと思っているのか、それとも超満員の武道館で客電が落ちて「シーン…」となったところでSEが流れ、そこで自分が登場して「あかん…もう俺泣きそう」っていうところまで想像できているのかで、頑張るモチベーションって変わってくると思うんですよね。頑張ることができない人って、頑張る理由が分からないので、まずはモチベーションを上げるためにも、その人の目標を理解したいし、理解していないのであれば目標を明確にしてあげたいって思っています。だから、技術的なことなんかはその後ですね。
──今のお話を聞いて、奥村さんがアーティストの育成に力を入れていることが伝わってきました。
O:あと、アーティストと話すときは、やっぱりその人の人となりを知っておかないといけないと思うので、音楽と関係のないコミュニケーションも大事にしています。例えば、良く知らない人に「黒い服より白い服の方が似合うんちゃう?」と言われても、「私が普段どんな仕事をして、どんなものが好きなのかも分からないのに、なんで白の方が似合うって言えるん?」ってなりません?(笑) でも一緒に住んでいて、自分の好みや生活をよく知っているような、距離が近しい人に言われたら「そうなのかな?」って素直に受け止められると思うんです。なので、音楽の話をする前に、まずは人と人との信頼関係を築くためのコミュニケーションが必要だと思います。

人と人とを繋げることが好き
──今後の展望があればお聞かせ下さい。
O:このライブハウスをもっと良くしていきたいのは勿論ですが、他にも事業を拡げていけたらと思っています。コワーキングスペースとかやってみたいなと。
──それはまた何故でしょうか?
O:人と人とを繋げることが好きなんでしょうね。ライブハウスのブッキングの仕事もイベントを開催する上で、どのアーティスト同士を組み合わせたら面白い化学反応が起こるだろうかとか、この人とこの人が仲良くなってくれたらお互い良い刺激を貰えるのではないか、というようなことを考えながらやっていますし。だからクリエイター特化型のコワーキングスペースを作り、各クリエイターがクリエイター登録できるようにして、クライアントのマッチングまでできる場所が作れたらと考えています。
──クリエイターのモチベーションも上がりそうですし、すごく良い場所になりそうです! ぜひ実現してください!
O:頑張ります!(笑)

Q.「シュッとしてるもの」って何だと思いますか?
O:ピストバイクです! 元々、競技用の自転車なのでブレーキや変則ギアがない自転車なのですが、街乗り用のブレーキが着いたピストバイクを愛用しています。同じ歳の友人でもある竹原ピストルさんとお揃いです(笑)
Q.自分の名前で缶詰を出すとしたら、中に何を詰めますか?
O:自分です。
──それは、開けると奥村さんが出てきて驚かせてくれたり、楽しませてくれるということでしょうか?
O:いや…常識的に焼き鳥の缶詰にシーチキンが入っていたらおかしいですよね。なので、自分の名前の缶詰なら自分しかないです(笑)

奥村將通
京都府出身。ライブハウスでのブッキング経験を経て、2017年にsomeno kyotoをOPEN。ライブハウスの運営のほか、近年は映像制作事業なども始め、幅広く事業を手掛けている。好きな漫画は『うしおととら』(小学館刊)。

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