
関西にいる「シュッとした」人たちから「シュッとした」お話を聞きたくて始めた、MAGKANインタビューコーナー!
第四十九回は、
「株式会社コーバ」が運営する「SPICE×RAMEN ススス」の高岡深造さんと古川紳一朗さん! 本業の傍らでラーメン店を開店するまでの経緯や、お店のこだわりについて伺いました!

「SPICE×RAMEN ススス」って?
2022年9月に大阪・中津商店街にOPENした、出汁とスパイスを掛け合わせた新感覚のラーメン店。看板メニューの「SPICE×RAMEN」は小豆島産伊吹いりこから取った出汁をベースにスリランカ産スパイス「ゴラカ」をはじめ、40種類以上のスパイスをブレンドして使用。大注目のラーメン店です。

ラーメンを食べに行けないから、一緒にラーメンを作ってみよう
──本日は店主の高岡さんとマーケティング担当の古川さんにお話しを伺いますが、こちらの「SPICE×RAMEN ススス」は異業種のお二人が本業の傍らで始めたラーメン店なんですよね?
古川さん(以下、F):はい。僕は某テーマパークでマーケティングプロデューサーの仕事をしており、高岡は工務店で大工をしています。なので、ラーメンの調理・お店の設計・デザイン・施工などは高岡に任せ、僕は戦略やブランディングのプロデュース、SNSの発信などのマーケティングを担当し、お互いの強みや得意分野を生かしてお店を始めました。
──本業がありつつ、なぜラーメン屋を開くことになったのでしょうか?
F:ラーメン好きが高じて、ラーメンを自分たちで作ってみたら美味しくできたというのが最初のきっかけです。僕と高岡は大学の同級生で幼馴染なんですよ。二人とも共通の趣味がラーメンだったので、ラーメンを食べ歩いては情報交換をして、ラーメンインフルエンサーとして活動していました。でも、二年半前に新型コロナウイルスが流行り出して、外食がしづらくなりましたよね。そこで、ラーメンを食べに行けないから、一緒にラーメンを作ってみようということになりました。いざ作ってみたら意外と美味しくできたので「これお店出せるんちゃう?」って笑いながら話していたんです。
──その時点ではラーメンを作りは趣味だったということですかね?
F:そうですね。最初は趣味で「どっちが上手く作れるかな?」なんて言いながらやっていましたが、作ったものを美味しいと言ってもらえると嬉しくて、だんだん人を喜ばせたいという方向に変わっていき、チャレンジしてみることにしました。
──ラーメンを作るようになってから、お店を開くまではどのくらい年月がかかったのでしょうか?
F:2年半ぐらいかかりました。僕らはラーメンオタクではあったんですが、ラーメン屋で働いたこともなければ調理師免許もないので、やっぱり一筋縄ではいかなくて大変でした。それっぽいものはすぐに作れましたけど、仕事の傍ら毎週末ラーメンを作っては食べてを繰り返して、競合チェーンや有名店とどうしたら戦えるのか、試行錯誤の日々でした。
高岡さん(以下、T):思い返すと長かったですね…(笑)

大阪は、人口10万人あたりのラーメン店舗数が全国47都道府県のうち45位
F:二人で作り始めたうちにその気になってしまった、というのが最初のきっかけではあったんですが、もう一つ「ラーメン屋」を開店しようと思ったきっかけがありまして。僕は大学卒業後、東京で働いていたんですけど東京ってめちゃくちゃラーメン屋が多いんですよ。ラーメンの種類も多いので、ラーメンの食べ歩きを趣味にしていたんですけど、転職で大阪に戻ってきたらラーメン屋の少なさに驚いたんです。店舗数は勿論、選択肢も少ないし、フラストレーションを感じました。
──私は東京に住んだことがないのであまりピンとこないのですが、具体的に東京と関西ではどれくらい差があるんでしょうね。
F:調べてみたら、大阪って人口10万人あたりのラーメン店舗数が全国47都道府県のうち45位でした。もっというと、44位が滋賀、46位は奈良、兵庫は47位です。
──ええっ、関西ってそんなに少ないんですか…。あまり実感がなかったですが、なぜそんなに少ないのでしょうか?
F:あくまで僕の仮説ですが、かつては「食の都」と言われた大阪は、日本中から食材が集まって独自の食文化が発達しました。大阪から出汁の文化が生まれ、出汁ならではの薄味が定着したので、濃い味のラーメンは根付かなかったのではないかと考えています。でも、最近の若い子たちは食の好みも多様化していますし、人口自体はとても多いので、ビジネスとして考えたときにチャンスはあるはずだと思ったんですよ。ただ、王道のラーメンだと僕らみたいな新参者が急に参戦して戦っていくにはハードルが高いと感じました。そこで、「大阪人の好きな嗜好ってなんだろう?」と考え、スパイスに辿りつきました。
──確かに、この中津エリアもスパイスカレーのお店がたくさんありますよね。
F:出汁とスパイスを掛け合わせたスパイスカレーは大阪発祥って言われているくらい定着しているので、スパイスを上手く使えば、新しいラーメンとして大阪の皆さんに受け入れてもらえるんじゃないかと考えました。
──なるほど、それでスパイスラーメンが誕生することになったんですね。
F:本当はスリランカに武者修行に行きたかったのですがコロナで行けなかったので、スパイスを勉強するためにスリランカ料理屋さんに通っては調べて、めちゃくちゃ猛勉強したんですよ。本もたくさん読み込みましたし。
T:線もめっちゃ引いたよな(笑) 受験生かってぐらいに。あと片っ端からスパイスを集めて生で食べてみたりとか(笑)
F:そうそう、スパイスの調合も自分たちでやりたかったしね。いずれはラーメンだけでなく、オリジナルのミックススパイスも商品化できたらと思っています!

昔の懐かしさを生かしつつ、現代風にリノベーション
──大阪人の嗜好に合わせて、出汁とスパイスを使ったラーメンを開発されたとのことですが、出汁やスパイスはどのようなものを使っているんですか?
F:やっぱりラーメンなんで、安易に既成のミックススパイスを加えればいいという訳ではなく、ラーメンの旨味の元となる出汁に合うスパイスを厳選して使用しています。スパイスはさっきも言ったように自分たちで調合しているんですが、オリジナリティのある風味を楽しんでいただけるように、あまり市場に出回らないスリランカ産のスパイスを中心に40種類ほどブレンドして使用しています。
──40種類ですか! すごいですね!
F:だからそのスパイスに負けない煮干しが必要なんですよね。ただ普通に出汁を取るだけでなく、水出しをしたり、煮干しを粉末にしてディップ状にしたものをスープに混ぜたりして工夫しています。食べてみると、始めはガツンとスパイスがきて、あとからジワジワと出汁のうま味がくる、刺激とうま味のサイクルを感じていただけると思います!
T:あと内装にもこだわっていて、ここは築106年の物件なんです。昔の懐かしさを生かしつつ、現代風にリノベーションし、開放感のある吹き抜けや大きい窓が特徴です。収束してきたとはいえ、まだコロナ対策を気にされている方が多いので、換気対策は十分にできますね。基本的にカウンター席のみなので飛沫感染もしにくいですし、他のラーメン屋より席の間隔を広くとっているので、安心安全で食べてもらえると思っています。
──築106年ってすごいですね。言われてみると、古い木材が使われている箇所がありますね。
F:いざ工事を始めてみたら基礎が傷んでいたり、柱も入れ替えないといけなかったりで大変だったんですけどね(笑)
T:そうなんですよ、二階も作り直して階段もつけたりとか、新しく建てた方が簡単だったんじゃないかってくらい大変でした(笑)
F:9月のオープンまでに工事を完了できるよう目指してやっていたんですけど、未だに二階は工事中で…。なので、階段にまきびしを置いて立ち入り禁止にしています(笑)

──あ、それでまきびしが! 実はお店に入った時から気になっていたんです!
F:大阪城のお土産売り場で買ってきました(笑)
──ちなみに、二階はどのようなスペースになる予定なんでしょうか?
F:客席にしようと思っていますが、いつかは自分たちで麺も作りたいので製麺室にしたり、ステージにしてライブとかできるようにしても面白そうですよね。年内中に何かしら始められたらと思います。
──そもそも、この中津商店街にお店を出したのは何か特別な理由があったのでしょうか?
F:大阪市内で物件を探し始めたんですが、中津商店街のノスタルジックな雰囲気がすごく気に入りました。すぐ裏で「うめきた」の二期工事が始まっているので、工事が終わればマンションや商業施設も建って、今後盛り上がっていく地域でもあると思いましたし。
──確かに今までは穴場というか独特な印象の中津エリアでしたが、再開発の影響で街も人の流れもガラッと変わりそうですよね。
F:そうなんですよ。今の中津って貨物線や駅に囲まれていて陸の孤島みたいになっているんですよね。でも再開発の影響に加えて実は梅田からもすごく近いですし、「ポテンシャルめっちゃ感じるな」と。ただ、正直、最初に商店街に入ったときはシャッターが閉まったお店が多くて「うわあ…大丈夫かな~…」って思いましたけどね(笑)
T:でも秘密基地みたいでワクワクしたでしょ?(笑)

ラーメンだけでなく、ラーメン体験を提供したい
──SNSで漫画『らぁめん忍者』を展開されていますが、これはマーケティング担当である古川さんが制作されているのでしょうか?
F:大きなコンセプトやストーリーは僕が考えて、構成やセリフ、作画は漫画家さんに依頼しています。
──デフォルメされた主人公の忍者をはじめ、個性的なキャラが多く登場しますが、なぜ「忍者」なんですか?
F:僕らがラーメンインフルエンサーとして活動していたときのアカウント名が「ラーメン忍者」だったんです。人気ラーメン店に潜入して修行するというコンセプトだったんですが、ラーメンインフルエンサーを経てラーメン屋を志すことになったストーリーを、そのまま忍者のキャラを使って漫画で表現することにしました。今展開している『らぁめん忍者』はフィクションも入れつつ、江戸から令和にタイムリープしてきた忍者がラーメンと出会い虜となり、「もう江戸には帰りたくない!」って令和に居座ってラーメン屋を始めるっていう設定です。
──すごく詳細な設定…!
F:忍者のコンセプトは先ほどのまきびしもそうなんですが、他にも店内に5つ手裏剣が刺さっていて、「いくつ探せるかな⁉」っていう遊びも取り入れています。「5つ見つけられるまではちゃんと通ってね」っていう感じで(笑)
──それはもう完全に某テーマパークの匂いがします!(笑) それにしてもラーメン屋でここまでマーケティングを考えているお店って、なかなかないですよね。
F:漫画『らぁめん忍者』は、ラーメンファンだけでなく、普段はあまりラーメンを食べることがない漫画ファンのかたにも、僕らのラーメンを知り、体験してほしいと思って始めました。ラーメンが出来上がるまでの待ち時間に漫画を読んで暇つぶしをしてもらったり、店内の手裏剣を探してわくわくしてもらったり、お店に入ってから帰るまで、ずっと楽しい。食欲を満たすだけにとどまらない体験を提供できればいいなと思っています。
…かっこいいこと言ったでしょ?
T:いやあ、ほんとすごいな~達者だなあ。僕はもう何も言うことないです(笑)
一同:(笑)
──高岡さんが働いていらっしゃる株式会社コーバさんでも『工務店の日報』という漫画を展開されていて、高岡さんと思われる人物も登場していますよね。
T:あれは僕の大学の先輩が描いてくれているんですが、『らぁめん忍者』とは違って工務店で働く僕がラーメン屋を開くまでを実話ベースで描かれています。
F:漫画が二つあってややこしいかもしれませんけど、パラレルワールドっていう設定でやらせてもらっています(笑) どちらも楽しんでもらえたら嬉しいです!
──では最後に、今後の展望を教えてください。
F:いつかは東京に進出したいですしLAにもお店を出したいですが、今はまだそんなことを言える実績も認知もないので、まずは「大阪と言えばスススやね」「大阪に来たからにはススス食べなきゃ」って言ってもらえるような、いつかは大阪、日本を代表するラーメンとして、塩・醤油・味噌に続く第4のラーメンになれたらいいなと思います。
T:是非LAにも取材に来てください!(笑)

Q.「シュッとしてるもの」って何だと思いますか?
F:スススは異業種の二人がやっていて、スパイス×ラーメン×工務店×漫画、といった異次元の組み合わせが魅力ですし、それがシュッとしていたら良いなと思っています。
Q.自分の名前で缶詰を出すとしたら、中に何を詰めますか?
T:ずばり言って良いですか……「SPICE×RAMEN」です‼
──高岡さんの人柄が滲み出たドストレートですね!(笑)

高岡深造
奈良県出身。株式会社コーバで大工をしながらスススの店主・料理長を務める。好きな漫画は『左ききのエレン』(集英社刊)。「天才になれなかった全ての人へ」という部分に共感するとのこと。
古川紳一朗
大阪府出身。某テーマパークのマーケティングをしながら、スススのプロデューサーを務める。好きな漫画は『キングダム』(集英社刊)など。

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