
関西にいる「シュッとした」人たちから「シュッとした」お話を聞きたくて始めた、MAGKANインタビューコーナー!
第四十七回は、
怪談師兼ホラープランナーのCocoさん。監修されたお化け屋敷「京都怨霊館」や怪談師としての活動についてお話をうかがいました!
「Coco」さんって?
京都は河原町にあるお化け屋敷「京都怨霊館」を監修。新進気鋭のホラープランナーでありながら、怪談師としても数々のイベントやメディアに出演中。自他共に認める正真正銘のホラーマニア。

京都怨霊館は私が初めて監修した原点
──心臓の音をBGMに取材をさせていただくのは初めてなのですが、この部屋は一体…。
Cocoさん(以下、C):この部屋は京都怨霊館で開催していた「人肉旅館の恐怖」というストーリーのお化け屋敷で使用していた一室です(笑) 京都のとある旅館に宿泊していた女性が心臓をえぐり取られて殺害されてしまう殺人事件が発生し、その彼女が自分の心臓を探して夜な夜な彷徨っているので、あなたが心臓を探して返してあげてください、というミッション型のお化け屋敷だったんですが、ここがその彼女の殺害現場です。

──な、なるほど…。この京都怨霊館はCocoさんが監修されたということですが、どのような経緯で監修されることになったんですか?
C:オカルト関係の仕事をしていた親戚に「お化け屋敷の監修依頼がきたんだけど一緒にやらない?」と誘われたのがきっかけです。もともとオカルトやホラーが好きで、誘われる前から心霊スポットを探索してTikTokに投稿したり、怪談師としての活動はしていました。
──ホラープランナーというお仕事は、具体的にはどんなことをされるんですか?
C:企画から演出、演技指導、プロモーションに至るまで、全てやります。
──では、先程仰っていた「人肉旅館の恐怖」のストーリーもCocoさんが考えられたのですか?
C:はい。まず、この建物をどう生かしたらいいのかというところから考え始めたんですが、いろいろと考えているうちに、長野にある人肉館と呼ばれている心霊スポットを思い出して、そこからインスピレーションを働かせてストーリーを考えました。
──実在する心霊スポットから発想を得たんですね。
C:ストーリーが出来上がると、次にどこでお客さんを驚かせていくかという導線や、舞台が旅館なので、各部屋の使い方を考えていきました。
──1番こだわった部分はどこでしょうか?
C:お化けの演技です!
──お化け役の方は、お化け屋敷専門のアクターさんですか?
C:そうです。アクターの方々には「とにかく私を殺す気で脅かしてください!」とお願いしています。あと、繁忙期は設定していないんですが、それ以外のシーズンは怖さを3段階から選べるようにしていまして、子どもから私のようなホラーマニアの方まで、いろんな人が楽しめるように設定しています。
──その設定基準は具体的にどのような差があるのでしょうか?
C:キッズ、ノーマル、マニアという恐怖度を設定していまして、キッズはお化け役のアクターが登場せず人形のお化けや音で楽しんでいただけます。ノーマルはアクターが登場し、ほどほどに怖いんですが、マニアになるとノーマル以上にお客様を怖がらせることを徹底しています(笑)
──どのコースが1番人気ですか?
C:マニアで入る方が多いですが、後悔する人は何人も見てきましたね(笑) 個人的にはマニアを体験したあとに今度はキッズで入場していただき、「あ! ここからお化けが出てきたんだな」とか、内装をじっくり楽しんでいただくのがオススメです。
──そういう楽しみ方もできるんですね! 他にもこだわった部分はありますか?
C:内装にもかなりこだわりました。この部屋も至る所に血が飛び散っていますが、濃い赤、うすい赤、黒い色などを混ぜ合わせて血の色をリアルに再現したり、汚れ加工なども研究を重ねました。あと、お客様が驚いて転倒しても怪我をしないように、危ないものは全て固定しています。
──お話を伺っていると、企画から始まり全てのことをやらなければならないので大変そうですが、これまでプランナーとしての活動に生かせるような、企画や演出をする経験をされてきたんでしょうか?
C: 全くないです。元々トリマーになりたかったんで…(笑)
──ええっ…! トリマーですか⁉
C:実家がペット系の仕事をしていたので(笑) 犬や猫を可愛くしたかったんですけど…なぜかお化けをプロデュースしていますね…(笑)
──なかなかの方向転換ですが、どんな瞬間にやりがいを感じますか?
C:この京都怨霊館は私が初めて監修した原点になるんですが、おかげさまで皆さんすごく悲鳴をあげて怖がってくださります。でも、外に出るとその恐怖が笑いに変わっていて、「お前めっちゃ怖がってたやん!」って友達と楽しそうに話している姿を見ると「良かった~」と感じます。

ロシア病院と笠置観光ホテル
──そもそも、Cocoさんがオカルトやホラーに興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか?
C:小さい時に、『地獄先生ぬ~べ~』(テレビ朝日系列)とか『怪談レストラン』(テレビ朝日系列)、『ゲゲゲの鬼太郎』(フジテレビ)をテレビで観ていて、子どもながらに「妖怪とかホラーって面白いんだな」って思いました。そこから段々とリアルなホラーを観られるようになりまして、『ほんとにあった怖い話』(フジテレビ)やホラー映画を観ているうちに、いつの間にか全国のお化け屋敷や心霊スポットを巡るようになっていました。
──小さい頃からホラーを見ても怖いという感情はなかったんですか?
C:最初は苦手でした。小さい頃、家の近くに小学校があって、いつも非常ランプが点いていたんです。夜更かししていると両親から「あのランプからお化けが出てくるよ」って言われていたので、それにすら怖がっていました。でも、怖いもの見たさが勝って、いまに至ります(笑)
──そうなんですね。では、今ではホラーマニアに成長したCocoさんがオススメする、関西の心霊スポットがあれば教えてください!
C:私はもう怖いものがなくなってしまったので、心霊スポットへ行っても怖くないんですけど…。雰囲気が良いなと思うのは、京都の舞鶴にあるロシア病院です。元は海軍が爆薬や火薬を製造していた施設なんですけど、そこを見に行った時、クマの親子と遭遇したんです…。
──…え、霊ではなくクマに遭遇し、それが怖かったんですか…(笑)
C:はい(笑) あとは京都の山奥にある笠置観光ホテルも外観がすごく良いですよ。メディアでもよく取り上げられている人気の心霊スポットです。
──Cocoさんは心霊スポットに行って、実際に霊を見たことはありますか?
C:一切見たことないですね。「何か写ったら良いな~」と思って写真や動画を撮るんですけど、残念ながら映ったこともないです。
──心霊スポットに行くと霊が憑くと聞いたことがあるんですが、お祓いとかも行かれたことはないのでしょうか?
C:お祓いもしたことないですね。むしろ憑いていただいて、そのままこのお化け屋敷に連れてこれたら良いなと思っているぐらいなので「おいでおいで!」って呼ぶんですけど…結果は出ていません(笑) きっとそういう人には霊は憑かないんでしょうね(笑)

お客さまから怪談を買い取っている
──怪談師としても活躍されていますが、怪談のネタはどんな所からインスピレーションを受けているのでしょうか?
C:このお化け屋敷の隣に『京都怪談商店』というお店も設けていまして、そこで怪談を話したり、お客様から怪談を買い取っているんですが、そこで買い取った話を脚色して怪談のイベントや本で披露させていただいています。
──怪談商店はCocoさんのアイデアで始められたんですか?
C:そうですね。ここを日本最大級のホラー複合施設にしたくて、お化け屋敷だけでなく怪談専門店やカフェとか、いろんなことをしたかったんです。
──これまでどのくらい怪談の買取をされてきたんでしょうか?
C:50本ぐらいですかね。
──怪談の買取って他にもやられている方がいるんですか?
C:いますよ! 怪談買取のイベントを開催している方もいますし、兵庫には専門店あります。最近はSNSで怪談話とAmazonギフト券と交換している方も多いです。
──そうなんですか、全然知らない世界でした…!
C:あと、もちろん自分で一から創作する場合もあります。その場合はオチに矛盾がないように気を付けて作るように心がけています。
──怪談師の方って、師匠制度などはあるんですか?
C:独学の方が多いと思います。自分に合う語り方をみなさん研究されていますので、落語っぽく話される方や役に入り切る方など、いろんなスタイルの方がいますね。
──Cocoさんは怪談を語る際、どんなことを意識されていますか?
C:私は地声が高めなので、怪談を語る際は声のトーンを抑えるようにしています。あとは、お化け屋敷のアクターと似ていると思うんですが、役になり切って強弱をつけて話すことも意識しています。
──怪談師として目標にされている方はいらっしゃいますか?
C:怪談師というか、今年で開催14年目になる『稲川淳二の怪談グランプリ』 (関西テレビ)という番組に出ることが目標です。先日、そのオーディションがあったんですが、目の前で怪談のレジェンドである稲川淳二さんを見て、「目の前にテレビの人がいる…!」と興奮しました(笑) いつか、出場したいですね。

日本最大級のホラー複合施設を作りたい
──SNSのプロフィールにオカルトだけでなくバイクが好きと書かれていましたが、バイクはいつから乗られているんですか?
C:10代最後に何かをしたいと思ったときに、バイクと車の免許を取ろうと思い立ちまして、真冬にバイクの免許を取りに行きました。京都では車は不便なので、バイクは役立っていますね。
──確かに、京都は道が細いのでバイクや自転車が便利ですよね。
C:はい。免許を取ろうと思ったときは免許を取ることが目的で、バイクには興味がなかったんですが、今ではバイクが好きで、普段から乗っています。ホンダのエイプという100ccのバイクが愛車です。
──ツーリングに行かれたりしますか?
C:周りにバイク乗りがいないので、一人で少し遠くまで走りに行ったりしています。カメラも趣味なので、写真を撮るためにバイクで神社仏閣に行ったりするんですが、そこで今はもう使われていない井戸を発見したりすると「貞子っぽいなあ♡」とテンション上がりますし、ついつい写真を撮ってはホラーっぽく加工して、何かに使えそう…と思ってストックしがちです(笑)
──すごく多趣味なんですね! 昔から好奇心旺盛だったのでしょうか?
C:やりたいことは多かったですね。でも、同時に飽き性でもあるので、唯一長く続いたことがモダンバレエでした。幼稚園の年長から高校3年生までやっていましたね。
──なるほど、モダンバレエでの培われた表現力がお化けの演技指導や怪談の語りにも影響しているのかもしれませんね。
C:先生から雰囲気だけはあるって言われていたので、そうかもしれませんね(笑)
──では、最後に今後挑戦してみたいことや目標があれば教えてください。
C:先ほど「ここを日本一のホラー複合施設にしたくて…」という話を少しさせていただいたんですが、元々は実際に霊が出るとテレビで取り上げられたこともある「化女沼レジャーランド」という、今はもう廃墟になってしまった遊園地を買い取って、ホラー専門のレジャーランドを作りたいとずっと思っていたんです。ホラー映画がいっぱい上映されていたり、怪談師さんがイベントでずっと怪談を語っていたり、子ども向けのお化け遊具があったり…。まずは、京都怨霊館を日本一の施設にしつつ、いつかはもっと大きな規模のレジャーランドを作れたらと思っています!

Q.「シュッとしてるもの」って何だと思いますか?
C:んー難しいですね…人で言うのなら…貞子ですかね。小さい子にも親しまれてますし、野球の始球式もしていましたからね(笑)
Q.自分の名前で缶詰を出すとしたら、中に何を詰めますか?
C:五寸釘や藁人形しか思いつかないですね…(笑) ホラーばっかりになってしまうので、バイクも入れておこうかな…(笑)

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