• お知らせ 2022.4.1

シュッとした噺【第四十二回】フクロウオーナー げんさん

  • Facebook
  • twitter

関西にいる「シュッとした」人たちから「シュッとした」お話を聞きたくて始めた、MAGKANインタビューコーナー!

第四十二回は、

TwitterやYouTubeチャンネル「GEN3 OWL CHANNEL」でベンガルワシミミズクのガルーとの日常を発信している、飼い主のげんさん。フクロウの魅力や、主催されている「フクロウオーナーの会」についてお話をうかがいました!

「げんさん」さんって?

フクロウ・ガル―の可愛くて面白いシーンをはじめ、様々な日常を切り取ったYouTubeチャンネルが大人気。その人気から、2018年にはガルーの写真集『もふもふフクロウ ガルーさんの休日』(祥伝社刊)も出版。現在のチャンネル登録者数は37.2万人(2022年3月現在)。

ひと際大きな声で鳴いていたのがガルーでした

──今日はお時間をいただきありがとうございます。本物のガルーにもお会いできて光栄です!実際に見ると凛々しくて目が綺麗ですね。

げんさん(以下、G):こんにちは。今日はよろしくお願いします。知らない場所は比較的落ち着かないことが多いので、今日はちょっと緊張しているみたいです。良かったら触ってみますか?

──良いんですか⁉ では、失礼いたします…。

──うわぁ…ふわふわですね。でも、羽の表面は思ったよりサラサラしていますね。

G:フクロウの羽の付け根には脂を分泌する尾脂腺という部分があって、その尾脂腺から出た脂をくちばしにつけて羽繕いすることで、羽に脂を塗っています。脂には水を適度にはじく効果があるので、触るとサラサラしているんです。

──そうなんですね。こうしてフクロウと触れ合う機会がないので、すごく嬉しいです。フクロウを飼うというとマイナーなイメージがありますが、げんさんがフクロウを飼い始めたきっかけはなんだったのでしょうか?

G:フクロウカフェに行ったのがきっかけです。元々、幼少期からいろんな動物に囲まれて育っていたので、将来家庭を持ったらペットがいる家庭にしたいと思っていました。ただ、僕の奥さんと子供が動物の毛に弱く、アレルギーがありまして…。犬や猫を飼うのは難しいと思い、ペットを飼うことは諦めていました。そんな中、フクロウカフェが流行った時期に家族で遊びに行ってみたら、雀ほどの小さな子からミニトトロぐらいのサイズの子もいたりしてとても面白く、子供たちもフクロウと触れ合う中でアレルギー症状が出ませんでした。それで、ペットとしてフクロウを飼うことを前向きに考えるようになりました。

──フクロウを飼うために、事前に準備されたことはありますか?

G:お迎えするにあたって、飼育に関する本を何冊も読んで勉強したり、フクロウカフェや専門店を何店舗も回って徹底的に情報収集しました。具体的な準備物としては、フクロウを係留しておくためのファルコンブロックという重りのようなものを用意したり、餌を保管するための冷凍庫を買ったりして、とにかく飼育環境を整えました。これからフクロウを飼おうと考えている人にもお伝えしたいことなのですが、フクロウを飼う上で一番大事なことは飼育環境です。飼育方法については書籍やSNSなどで情報を得ることができますが、飼育環境は飼ってからだとどうしようもないこともあるので、まずは適した環境を作れるかどうか、飼育前に検討してほしいです。

──飼育環境は大切ですよね。ガルーとはどのような出会いだったんでしょうか?

G:家族と相談して大型フクロウが良いねって話していたんですが、そのタイミングでとある店から「もうすぐ卵から孵りそうなベンガルワシミミズクの子がいるけど、良かったらどうですか?」という打診をいただいたので、無事に生まれたあとで会いに行きました。行ってみると、ガラスケースの中にヒヨコぐらいの小さい雛フクロウが3羽ピィピィと鳴いていました。お店の方に「どの子でも良いですよ」って言われたんですが、その中でひと際大きな声で鳴いていたのがガルーだったんです。胸を張り、上を見上げて一生懸命に鳴いているガルーを見て、僕も家族も「この子だな」と思い、ガルーをお迎えすることにしました。

──運命的な出会いですね。ちなみに「大型のフクロウが良い」というのは、どのような理由からでしょうか?

G:大型の方が迫力があるから、というのも勿論あるんですけど、小型は怖いっていう気持ちが正直ありまして…。

──怖い…?

G:動物って基本なんでもそうですけど、小型の方が体力がなく、健康管理も難しくなります。なので、初めてフクロウを飼う僕らがいきなり小型を飼うのは不安が大きかったんです。そこで、いろいろ話を聞いたり本で勉強したりする中で、ベンガルワシミミズクという種類が比較的初心者でも飼いやすいと書いてあったので、大型のベンガルが良いなと考えました。

──では、げんさんの周りでは大型のフクロウを飼っている方が多いのでしょうか?

G:そうでもないです。以前オフ会をやったときは、小型を飼っている人の方が多かったかもしれません。話を聞くと、餌の量を毎回グラム単位で量って記録するなど、やはり健康管理に気を付けているオーナーさんは多かったです。でも、移動の面では小型の方が楽で飼いやすそうだなと感じることもあります(笑) ガルーぐらいのサイズだと、電車移動はできず、車移動が基本なので。

自然の生態系を乱す要因になってしまうことも

──暮らし始めて分かった、フクロウの魅力や意外な一面はありますか?

G:これはガルーの性格によるものなのですが、ガルーは僕にだけすごく懐いてくれているので、そこが可愛らしいですね。ただ、僕以外にはあんまり懐いていないというか…好きじゃないみたいで。ガルーの部屋とリビングの間にはガラス窓があるんですが、奥さんや子供が近くを通ると、ガラス越しにガンっと足で威嚇するんですよ(笑) 家族に攻撃するのは困りますが、「僕にだけ」懐いてくれるという点は正直ちょっと嬉しいですね。

──フクロウが人に懐くと、どのような行動を取るんでしょうか?

G:ガルーの場合は、僕の車のエンジン音が聞こえた瞬間キュンキュン鳴き始めたり、僕が餌をあげると「お前も食えや」って感じで餌を渡してくれるんです。「この行動はなんやろ? どんな習性なん?」と思って調べてみたら、どうやら雄のフクロウはパートナーに対してだけ、そういう行動をとるらしいです。

──げんさんと過ごす時間が長かったから、げんさんをパートナーだと思っているんですかね?

G:それぞれ個性があるので彼なりの思いがあるんでしょうけど、フクロウに限らず鳥はひとりだけパートナーを決める習性があるらしいので、ガルーもそうなのかなと。あと他の飼い主さんと比べて、生後3週間で迎えたというのはかなり早いタイミングだったと思います。だから、ひょっとしたら迎え入れた時期が関係しているのかもしれません。

──なるほど。では、そんな可愛い一面もありながら、飼っていて大変だなと感じる点はありますか?

G:掃除は大変ですね。特に大型なので、糞や抜ける羽の量も多くて…。でも、フクロウは綺麗好きなので不衛生な環境に長くいると病気になってしまいます。だから掃除が苦手な人は大変だと思いますよ。あと一番大変で気を付けないといけない点はロストですね。

──ロスト?

G:屋外で迷子になってしまうことです。猛禽類という特性上、自然下で生き延びるためには在来動物を狩る必要があるので、ロストしてしまうと自然の生態系を乱す要因になってしまいます。だから、自分の子が迷子になるだけでは済まない問題になることもあるので、ロストには常に注意を払っています。

両親への近況報告のためでもありました

──ガルーの日常をSNSで発信し始めたきっかけはなんだったのでしょうか?

G:情報収集のためです。ガルーが家に来る前からブログで「フクロウを飼おうと思っています」「フクロウを迎い入れるためにこんな準備をしました」というような記事を書いていたんです。でも、ブログは発信するにはいいけど、情報収集にはあまり向いていないと感じました。そこで、ブログの代わりにTwitterをやってみようと思い、いろんな人と交流しながら情報収集をするようになりました。

──YouTubeも情報収集のためですか?

G:YouTubeはガルーの成長記録を残すためでもあり、同時に僕の両親への近況報告のためでもありました。定期的に「ガルー元気してる?」って気にかけてくれていたんですが、両親はTwitterをやっていないので、「これ見といて」ということで動画をアップし始めたんです。それがたまにメディアで紹介されたりするうちに、両親以外にも見てくれる人が多くなり、数百人しかいなかった登録者数が何万人にもなったので、とても驚いています。

──海外からの反響も多いですよね。

G: そうですね。コメント欄には色んな言語が飛び交っているので、翻訳アプリを使って楽しく読ませていただいています。「なんで海外の人はこんなにフクロウが好きなんやろ?」と思って調べてみたら、フクロウって日本では幸せの象徴だと言われていますけど、海外では捉え方がすごく違っていて。日本みたいに縁起が良いとされているところもあれば、不幸の塊だと捉えている国もあるようです。だからそんなフクロウを家で飼うという発想が、海外では奇想天外な発想みたいですね。実際、日本では規制がゆるく、なんの許可もなく飼えてしまっているんですけど、海外の多くではフクロウを飼うことを法律で禁止しているんですよ。そういう背景もあって、人間と暮らすフクロウの様子に興味を持ってくれている人が多いのかなって思っています。

気軽に質問できるような受け皿を作りたい

──げんさんは「フクロウオーナーの会」も主催されていますよね。

G:はい、オーナーさんたちが気軽に質問できるような受け皿を作りたいと思い活動を始めました。SNSでフクロウの飼い主同士が交流することはありますが、オープンな場所では言いにくいことや相談しにくいことがあります。例えば、フクロウの便や捌いた餌のマウスの写真を投稿して質問するわけにはいきませんからね(笑)

──確かにセンシティブな写真になってしまいますね(笑)

G:猛禽類というカテゴリーって飼育の歴史が浅く、飼い方のマニュアルがないんです。飼育本はもちろんあるんですけど、実際に飼ってみると本に載っていないことやネットに書かれていない細かな問題にぶつかったり、人によって価値観や飼い方がバラバラなことも多くて…。フクロウを診てくれる病院も少ないですし、そんな時に飼い主同士の横の繋がりがあると非常に心強いんですよ。

──私も犬を飼っていたので動物病院にはよく行っていましたけど、フクロウを診察してくれる病院って確かに少ないですよね…。

G:今でこそ近くに専門の病院ができたので助かっていますが、飼い始めた当時は全然なくて…。以前、ガルーが怪我をして急遽病院に行かないといけなくなってしまったことがあるんですけど、その怪我をすぐに診てくれる病院が近くになくて、片道4時間かけて行ったことがありました(笑)

──4時間⁉ 診てくれる病院が少ないと大変ですね…。小型のフクロウは健康管理が大変だと仰っていましたし、だからこそ気軽に質問し合えるコミュニティがあると飼い主は安心できますね。

G: こういうご時世なのでオフ会とかもできませんし、今はオンラインでの交流が中心なのですが、コロナが落ち着いたらまたオフ会を開催したいと思っています。

自分の好きなことをするには家族の理解が不可欠

──これまでガルーとの生活についてお聞きしてきましたが、げんさんのライフスタイルに憧れている方も多いと思います。キャンプや釣りやバイクなど、とても多趣味ですよね!

G:僕自身は、そこが自分の悪いところだと思っているんですけどね(笑) 最近やり始めたキャンプは友人に誘われてやり始めたんですけど、自分が知らなかったことを知っていくのがすごく気持ちよくて。

──昔から好奇心旺盛だったのでしょうか?

G:そうですね。いろんな物事を経験をしたいという気持ちが昔から強い方だったと思います。もちろん単純に楽しいからっていうのもあるんですけど、経験しないとその物事の評価ってできないと思っているところがあって。だから自分が興味持ったことはまずやってみる、という姿勢は大事にしています。

──次に挑戦したいことはありますか?

G:ギターと英会話をやってみたいですね。昨年バイクの免許を取得したんですが、教習所には僕より年上の方もいました。40歳を過ぎて人生も折り返しに入りましたが、新しいことにチャレンジするのに年齢は関係ない、と改めて感じたので、これからもいろんなことに挑んでいきたいです。

──最後に、楽しく生きる秘訣があれば教えてください。

G:もちろん、自分の好きなことをするには家族の理解が不可欠ですし、今までもこれからも優先順位は家族が第一です。そこがブレてしまうと、自分のやりたいことをするだけの我儘な人になってしまうので(笑) 地に足を付けつつ、やりたいことに挑戦していくことが楽しく生きるコツなのかなと思います。

Q.「シュッとしてるもの」って何だと思いますか?

G:シュッと背すじを伸ばしたフクロウですかね(笑) フクロウは遠くに何かを見つけた時に、背すじをシュッと伸ばすんですよ。

Q.自分の名前で缶詰を出すとしたら、中に何を詰めますか?

G:缶詰いっぱいにフク(福) を詰め込みたいです!

『もふもふフクロウ ガルーさんの休日』

『もふもふフクロウ ガルーさんの休日』好評発売中!

みんなを虜にするフクロウ・ガルーの休日に密着! 湖のほとりや寺社などで、時に愛らしく、時にカッコいい姿を見せるガルー。フクロウ好きの方も、まだフクロウの魅力に気づいていない方も、ぜひこの写真集でガル―の休日を覗いてみて下さい! ご購入はAmazonからどうぞ。

Amazon

げんさん

TwitterYouTubeInstagram

滋賀県出身。ベンガルワシミミズクのガル―との日常を切り取ったYouTubeチャンネル「GEN3 OWL CHANNEL」が、日本国内のみならず海外でも大人気。好きな漫画は『俺たちのフィールド』(小学館刊)

pocketlinehatebuimagegalleryaudiovideocategorytagchatquotegoogleplusfacebookinstagramtwitterrsssearchenvelopeheartstaruserclosesearch-plushomeclockupdateeditshare-squarechevron-leftchevron-rightleafexclamation-trianglecalendarcommentthumb-tacklinknaviconasideangle-double-upangle-double-downangle-upangle-downstar-halfstatus