
関西にいる「シュッとした」人たちから「シュッとした」お話を聞きたくて始めた、MAGKANインタビューコーナー!
第三十三回は、
大阪・日本橋でパンダ専門店「大阪ぱんだ」を営む、永田佐和子さんにお話をうかがいました! 「パンダみたいにのんびりと、自分が楽しいと思うことでお客様も楽しいと思ってもらえるようにできたら」とお一人でお店を回すその姿勢について語っていただいたインタビューです。
「大阪ぱんだ」とは?
店内、メニュー、すべてがパンダだらけのパンダ専門店。店主オリジナルのパンダグッズも販売されています。所狭しと並ぶパンダグッズとかわいいメニューに、写真を撮るお客さんが多数。難波から少し外れた、大阪・日本橋の路地裏にある商店街「日本橋商店会」にあり、テレビや雑誌でも多数紹介されている、パンダ好きにはたまらないお店です。

白浜のパンダの名づけ親にもなれたんですよ。

──いつ頃からこんなにパンダが好きだったんですか?
永田(以下、N):小学校六年生くらいから好きですね。その頃は日本にパンダがいるのは上野動物園だけで、まだ関西にはパンダがいなくて。本物を見る機会がなかなかなかったんですけど、高校生くらいの時に母が兵庫県の王子動物園と、和歌山県の白浜アドベンチャーワールドにパンダがいるって教えてくれたんです。それで、母が王子動物園に連れて行ってくれて、パンダを初めて見たんですよね。それで「めっちゃかわいい! ぬいぐるみそのまま! 動いてる~!」とテンションが上がって(笑) さらにハマって、もともとの収集癖も相まってどんどんどんどんグッズを集め出したんです。それで、こうなりました(笑)
──今では関西にパンダがいるのは当たり前になりましたね。
N:実は白浜のパンダちゃんの名付け親にもなれたんですよ。
──えっ!?
N:「永浜(えいひん)」と「優浜(ゆうひん)」の二頭、名付け親になれました。めっちゃ嬉しかったです!
──名付け親ってなれるものなんですね…!
N:白浜ではパンダが生まれたら名付け親をいつも募集するんです。名付け親は一頭に対して何千人といるんですけど、選ばれた人は「名づけ親カード」っていうカードをもらえて…。思い入れのある子たちです。
──パンダのどういうところがお好きなんですか?
N:すべてが好きで、語り出したらめっちゃ長いんですけど、耳の、この立ち方がすごくかわいい!! 丸がちょんとついてるんじゃないんですよね。角度をつけて立っている、この立ち方がめっちゃかわいい…。あとアイパッチと呼ばれる目元の模様は「すごすぎるでしょ」と思いますね。後ろ姿もかわいいし、ころんとしている姿も全部かわいい…。無邪気で、一生懸命なところもかわいいなと思っています。普段こんなにかわいいのに、「何でたまにおっちゃんみたいになるんやろ」とも思います(笑)
──パンダの見分けはつきますか?
N:私は全然つかないんですけど、お客様は見分けがつく方がけっこう多いですね。アイパッチの跳ね方とか、耳と耳の感覚とか、頭のてっぺんのとがり方とか…。上野動物園の「リーリー」はすごくとんがってるほうですね。あとは顔の輪郭。「タンタン」はまんまるでぽちゃっとしていて。そこで見分けていると皆さんおっしゃってますけど、まだまだです私は。

お店をやりたいとも思っていなくて、夢のまた夢という感じだった

──パンダグッズもこだわりがあるんでしょうか?
N:レトロというか、昔のものが好きです。昔に比べて100円均一とかにパンダグッズが溢れるようになっていて、それももちろんかわいいし、好きなんですけど、私は昔っぽいのとか、神戸の南京町で売っているようなちょっと怖い、なんか変なのが好きで(笑) 海外のパンダグッズっていいんですよ、モンゴルの切手とか、そういうあんまり出回っていないのが好きですね。
──そういったものを集めてきたんですね。
N:この商店街に入っている他のお店の方もパンダグッズをくださるんですよ(笑) 「パンダ見つけたよ」「家に眠ってたから持ってて~、好きな人のところにあるほうが絶対いいから」って(笑) お客様もくださいますし、みんな優しいですよね。
──すごく仲の良い商店街なんですね。
N:そうなんです! 30代~40代の店主さんが一人でやっているお店がこのへんはけっこう多くて、お店同士行き来をよくするんですよ。コロナでお店を閉めないといけなくなってからも「大丈夫?」と声を掛け合ったりとか、食堂のようなお店をやっている方から、お店は閉めてるのにまかないを持ってきてくれたりとか、養われていて(笑) 毎日、ここにやってくるのが楽しいですね、絶対誰かがいるし。みんな友達って感じです。良いところに来ました。
──以前は新世界で「大阪ぱんだ」のお店をやってらっしゃったんですよね。どういう経緯でお店を始めて、日本橋に移られたんですか?
N:2015年に新世界でオープンしたんですけど、始めたのは兄で、私ははじめはお手伝いだったんですよ。
──お手伝い?
N:もともと普通に会社員をしていて、お店をやりたいとも思っていなくて、夢のまた夢という感じだったんです。でも、兄がちょっと変わった人で、お店を始めては飽きたら次のことをやるような、気軽に何でもやる人なんですけど、ある日「たい焼き屋さんを始める」って言いだして。「ふーん」と思ってたんですけど、市販のパンダ焼きの金型があるのを知っていたので、「たい焼きじゃなくてパンダ焼きにするなら土日手伝う~」て言ってみたら本当にそのままパンダ焼きになって(笑) 普通のたい焼きの生地じゃなくてパイで作ることになりました。
──お店をパンダ一色にするのも、永田さんのアイデアだったんですか?
N:パンダグッズが家にめちゃくちゃあるから、それを飾りたかったんです。店内をパンダの空間にしたかっただけで、土日忙しいならちょっと手伝うっていう想定だったんですけど、2017年に日本橋に移転して、一人でやることになりました(笑)
──ちょっと、どころじゃなくなってしまいましたね。
N:兄は自由な人なので、途中で「大阪ぱんだ」を辞めて違う方向に行くって言いだしたんですよ。それでしっかりケンカして(笑)、兄妹ゲンカで一回別れて…。せっかく大好きなパンダのお店だし、閉店するなんて絶対に嫌で、お客さんもついてきてくださった頃だったので、一人でやろうと思って。あっ、今は兄と仲直りして仲良しですよ (笑) 土木系の会社をご機嫌にやっています。

「お客様が待ってる! でも急いでかわいいものを!」という鍛錬

──雑貨やロゴもご自身で作られているんですよね。すごくかわいいです。
N:ありがとうございます。ロゴは右目が大阪府の地形になっていて、周りに「大阪ぱんだ まいどおおきに」って書いてるんですけど。こういうことを考えている時が楽しいんです。かわいく描けたら嬉しいし、雑貨を作るのも好きだし。私の絵を買ってくださる方がいるのが本当にありがたいです~!
──メニューのパンダも絶妙なバランスで作られていますよね。上手く作るコツはありますか?
N:練習です(笑) 練習というか、「お客様が待ってる! でも急いでかわいいものを!」という鍛錬。やっぱりかわいくないものは出したくないと思っているので、かわいく早く、7年やっているとできるようになってきました(笑)
──どう気を付けたらこのバランスに近づけますか?
N:私の作るパンダは目と目の間が広いですね。あとは白い丸の中心より下に作っています。上につけてもちょっと間抜けな感じでかわいいんですけど、幼いほうが好きなので、童顔になるようにしています。
──この絶妙さ、作れるようになるのは難しそうですね…!
N:実際にお客様の手で作ってもらうのは楽しそうやなって思ってるんですよね! アイスだけお出しして、パーツを小皿に置いといて、お客様がピンセットでパンダを作って食べてもらう。いろんな顔になりそうで。
──それはやってみたいです!
N:新世界のお店の時のように、お客様に「わぁ~!」って言ってもらえるような、コンセプトカフェのようなカフェらしくてかわいいメニューをまた作りたいですね。今はこのスペースなのでなかなかできないんですけど、限定復活みたいな形ででもやれたらいいな。

楽しいと思って、かわいいと思って作ったものを、お客様に受け取ってもらいたい

──お店をやっていかれる上で、大変なことはありましたか?
N:大変なこと…何やろう。楽しいことばっかりで…。お店のことというよりも開業届とか、確定申告とかのほうが印象に残ってますね、初めてのことだらけでわからなくて(笑)
──思いつかないくらい、楽しいことばかりだったんですね!
N:あぁでも、ありがたい話ではあるんですけど、上野動物園のパンダ「シャンシャン」が生まれたのと、Instagramがブームになったタイミングが重なった年はえらい(大変な)ことになりました。
──えらいことに…?
N:たぶん大したことじゃなかったと思うんですけど。、お店の前から商店街の端を出て角を曲がったところまでずーっと行列ができてしまって。頑なに一人でお店をやるって決めていたせいで、一人でパニックになって(笑) お客様は「何も列進まんやん」って不思議に思っていたと思うんです。お店の前に来てようやく「一人でやってるん?」「店、ちっちゃあ!」ってびっくりされたんじゃないかな。ありがたいことにwebの記事や雑誌で紹介していただいていたので、それを読んで来て、期待はずれと感じた方もいたと思います…。申し訳ないです。
──そのお話だと軽く50人くらいは並んでいそうですね…。
N:「かわいいスイーツが食べたい、撮りたい」という方もたくさん来てくださったんですけど、お待たせしてしまって怒鳴られたりとか、パフェを注文してくださったけど写真を撮ったら捨てていかれたりとか…。DMで攻撃されることも多くて。きちんと対応できるお店のはず、と期待して来られている方々にどうやって気持ちよく買っていただくか、考えていくのが大変でしたね。まさか一人でやってるとは外からじゃ絶対わからないと思うので。自分の悪いところは改めて、大事にしてくださる方々をきちんと大事にして進んでいこう、と学べた貴重な経験でした。
──今はのんびりできてますか?
N:どうやろう…何かでいつも焦っています(笑) お店が暇になっても雑貨のイベントに呼んでいただいたりして、そのイベント用に必死に描いたり作ったりしているので、ありがたい話なんですけど、やることがずーっとあって。パンダにしばらく会いに行けていないのが寂しいです。白浜のパンダの赤ちゃん「楓浜(ふうひん)」は今がめっちゃかわいい時期なので、早く行きたいです~。
──最後に、お店をやる上で大切にしていることを教えてください。
N:自分が一番わくわくすることをする。無理はしない。パンダなので(笑) 本当にパンダをみならってやっています! 疲れた時は休む、嫌なことはやらない…ていうわけにはいきませんけど、自分が楽しんでやりたいことをやって、それを喜んでくださるお客様がいて、っていう最高のサイクルを長く回していきたいです。
──その気持ちがあるからこそ、今まで続けて来られたんですね。
N:そうですね。「しんどいと思って作ったものを、誰が買ってくれるんやろう」と思うし、自分が楽しいと思うことでお客様にも楽しいと思ってほしい。今まで嫌々やったことなんてありませんけど、「楽しくないな」と思いながら作ったものを手にされるお客様のことを考えると嫌なので。楽しいと思って、かわいいと思って作ったものを、お客様に受け取ってもらいたいと思っています。

Q.「シュッとしてるもの」って何だと思いますか?
N:私の定義では、「無駄がない、美しい、カッコいい」ものですね。ゴテゴテしてないけど、奥からあふれ出るような素敵さがあるもの。なので、伝統工芸品とか、工芸と呼ばれるものがそうかな、と考えていました。無駄なものがない、昔から愛される美がある…。すごくぴったりな言葉だなと思います。
Q.自分の名前で缶詰を出すとしたら、中に何を詰めますか?
N:「パンダ」! って答えたいんですけど(笑)、パンダ以外だったら笑顔を詰め込みます! 開けたらずっと「キャキャキャキャ!」って笑い声ばっかり聞こえる缶詰かもしれないです(笑)

永田 佐和子
大阪・日本橋にあるパンダ専門店「大阪ぱんだ」の店主。2015年に兄妹で店を始め、今は一人で店を切り盛りしている。好きな漫画は『動物のお医者さん』(白泉社刊)、『しろくまカフェ』(小学館刊)。

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