
びわ湖くん Twitter
滋賀県非公認キャラクター。各種音楽イベントや学園祭に出演するほか、作曲もこなす。ギター、ベース、ドラムの楽器演奏も可能。好きな漫画は何度も読み返している『スラムダンク』(集英社刊)。
関西にいる「シュッとした」人たちから「シュッとした」お話を聞きたくて始めた、MAGKANインタビューコーナー!
滋賀県非公認キャラクター「びわ湖くん」さんにお話をうかがいました!一体何者なのか、謎多き存在であるご自身について語っていただいたインタビューです。
──ずばりお聞きしたいんですが、びわ湖くんさんって何者なんでしょうか?
びわ湖くん(以下、B):曲提供ができるゆるキャラとして確立したらいいなと思っています。
──ゆるキャラ…?
B:はじめはTwitterで4コマ漫画を描いていたんですよ。邦楽のロックバンドあるあるネタで、そのバンドのライブを観に行った人なら分かるような内容のものを。「びわ湖くん」というキャラクターが漫画家として4コマ描いてるよっていうのがコンセプトでした。
B:それがきっかけで、2年目からは着ぐるみを着だして。今は「COMING KOBE」「長田大行進曲」等の音楽フェスで募金活動やトークショーに出演したり、大阪産業大学の学祭を練り歩いたり、びわ湖くんでバンドを組んで出演したり、「ゆるキャラグランプリ」にエントリーしたり…。幅広く行っているので、ゆるキャラなのかと言われると「まあ、ゆるキャラなんかなあ」って感じですね。
──幅広いですね。
B:トークショーの時なんか、他のバンドの方々と一緒に参加していたんですよ。周りは普通の人間なのに、一人だけびわ湖くんで。本当にもう、何でもありですね。おかげで、呼ばれても「何するんやろな」と思いながら行くことも多くって。
──でもそれで認知度が上がっているんですね。Twitterのフォロワーが2.6万人を超えていて驚きました。
B:びわ湖くんが生まれてから、この3年間で徐々に増えていった感じですね。イベントに行っても、4コマ見たよとか、Twitterフォローしてますって言われるようになってきました。
──バンドのあるあるネタなので、そのバンドのファンの方もつい見ちゃいますよね。
B:とある有名なロックバンドの4コマを描いて、バンドの人が見てくれたらいいかなって思って載せたら、実際にそのバンドの方がリツイートしてくださったこともありましたね。それで実際にお会いした時は「すみませんでしたー!」って謝ったんですけど、「全然いいよ」って言ってくださって。そういうことが積み重なって、徐々にフォロワーが増えていった感じです。
──そういった活動を通して、滋賀県を盛り上げていこうとされているんですか?
B:いえ、滋賀を盛り上げてどうのこうのは全く思ってなくて。「そういや琵琶湖のゆるキャラってないよな」っていうだけで始めたんですよ。滋賀県を盛り上げたいというよりは、お金を儲けたいっていうのが一番強いかと思います。
──えっ!?
B:「なんか金になりそうなキャラクター作ろうぜ」って言って友人たちといろいろ描いて。一番それっぽかったのが「びわ湖くん」だったんです。
なかなか身体が大きく、長浜市付近がどうしても見切れてしまうびわ湖くんさん。
──ご出身は滋賀県なんですよね…?
B:生まれも育ちも滋賀で、今も滋賀に住んでいます。基本的には、滋賀県に思い入れはない…いや、地元なのでありますけど(笑)
――なぜそんな「お金になることしよう」と思い始めたんですか?
B:いま人気の出ている、あるDJの方を見て「自分も何かしようかな」と思ったんですよ。昔から仲が良くて、彼がいろんな音楽イベントを企画して無料のフェスを開いたり、グッズを全国で販売していたりとか、ビジネスとして成功していくところを間近で見ていたので。それがきっかけで作ったのがびわ湖くんでした。
――キャラクター誕生にそんな経緯が。
B:毎回恥ずかしい思いでやってるんですよね…。びわ湖くんを着ること自体、僕は恥ずかしくて。毎回「嫌やなあ」と思いながら着てます。
――!?
B:びわ湖くんを利用して、いろんなところで「こんにちはー」って話してますけど、もともとは根暗タイプなんですよね。交友関係も広い方じゃないので、びわ湖くんを広めるために頑張って「こういうのやってるんで見てください」ってバンドの方にも話しかけて…。
――根暗という自覚がありながら、なぜ外に向かうゆるキャラに手を出されたんでしょうか…?
B:それを言われると…(笑) まあ、最初はびわ湖くんで着ぐるみを着るっていうつもりはなかったんです。Twitterだけで絵を描いてたらいいやっていう感じで。でも、実際に缶バッジを街中で配ろうってなった時に、「ただ人間が配るよりは着ぐるみ着たほうがいいか」ってなって、配る前日にノリで作ったっていう…。今は知ってくれている人が増えたので、めちゃくちゃ恥ずかしいわけではないんですけど、正直人前には出たくないなぁとは思いながらやってます。
――なんて体を張った試み。
B:はじめは本当に大変でした…。もう知名度も全くない状態で大阪のアメ村(大阪市西心斎橋付近の通称。若者が多く集まる)とかを一人で歩いて缶バッジを配ってたんで。わけが分からなかったと思います。びっくりするくらい引かれましたね。
――どういった反応だったんですか?
B:もう…ひどかったですね。初めて缶バッジを配った「FM802 MINAMI WHEEL」(大阪で開催されているライブフェス)では、子どもに「怖いぃ~」って引かれて。いや、いまだに子どもからしたら怖いと思うんですけど。大人には「え…気持ち悪い…」って言われたり…。
――こんなに頑張ってびわ湖くんを着ているのに…。
B:びわ湖くんを持って行くのも大変なんですよ。今は車移動ですけど、はじめは黒いごみ袋でぐるぐる巻きにして、キャスターにくくり付けて、電車で持って行ってたので。今でも持ち歩きに困っていて。最近は面倒くさくて本当にこのまま運んでるんです。フェスのお客さんに「あれ、びわ湖くんちゃうん?」って言われても、もう聞こえなかったフリしてスッと通り過ぎて…。もうちょっと小さく作れば良かったなって思います。
配られていた缶バッジを見せていただきました。
――はじめと今では周りの反応が大きく違うんですね。
B:そうですね。知ってくれて、応援してくれる人が多くなったんで、ああ頑張ろうかな、って思えます。もちろんお金儲けが一番ではあるんですけど(笑) 受け入れてもらえるようになったのは本当に嬉しいです。「ゆるキャラグランプリ」でも、しゃべれるタイプのゆるキャラには「今年も来たんだ」って言ってもらえたんですよ。「あっけっこう覚えてくれてる」って。
――私が初めて拝見したのは『滋賀県民の歌。』のMVだったんですが、ゆるキャラであって、バンドを目指しているわけではないんですよね?
B:もともとは曲とMVを作りたいっていうのでメンバーを集めたのが始まりなので、特にバンドがしたいというわけではないです。今年中にあと2つは新しいMVを作れるかなとは思っているんですけど。
――作曲はご自身でされているんですか?
B:全部自分で作曲しています。
――す、すごい…MVの撮影も大変ですよね。
B:『滋賀県民の歌。』のMVはもういろいろ大変でした。
――いろいろ?
B:クラウドファンディングでお金を集められたらMV作りたいなーくらいに始めたんですけど。
―着ぐるみ同様またこれもノリで…。
B:そうしたらたくさんの方が応援してくださったんですよ。めちゃくちゃ嬉しかったです。ただ、目標金額を達成したらしたで大変で。いざMVを作ろうと思ったら、「これ、赤字やん」ってなったんですよ。
――クラウドファンディングで作るためのお金を集めていたんですよね?
B:残るお金がごく僅かだったんです。クラウドファンディングの運営会社に支払うお金もあるし、返礼品に使うお金もあるしで。
――も、目的が達成されない…!いくらくらいが手元に残ったんですか?
B:10万円あるかないかくらいですね。まず、クラウドファンディングの達成額が40万円だったんですよ。運営会社の手数料と、返礼品のTシャツの絵は「ヤバイTシャツ屋さん」(日本のスリーピースバンド)のキャラクターを描いている、イラストレーターのあさくらちさとさんに作ってもらって、他にもグッズを作って、発送して…ってしていたら、残った額がこれだけで、MVを作るにはもうマイナスで…。
――通常、MVを作るにはどれくらいかかるんですか?
B:一曲目の『しがすき』はレコーディング費用を含めると大体50万円くらいかかりました
――50万円…?
B:『滋賀県民の歌。』はMVだけで5万円です。
――めっちゃ節約しましたね?
B:レコーディングも10万円かかってないんで、めちゃくちゃ安いです。本当に切り詰めて切り詰めて。時間も全然なかったので、ボーカルなんて一回もスタジオ入らずに直でレコーディングしたんですよ。お金もカツカツ、時間もカツカツで大変でした。
――反面、一曲目は…。
B:あの50万は自腹なので、その費用は現在回収中って感じですね。
撮影で外に出ると、ポーズをとりながらも「恥ずかしい…」と呟くびわ湖くんさん。
――お金儲けが目的とはいえ、滋賀県への思い入れはあるとおっしゃっていましたが、滋賀県のいいところってどこだと思いますか?
B:滋賀県は…まあ、住みやすいので、住みやすさですかね。他に何があるかな(笑) ただ、普段いろんな土地を訪れているんですけど、やっぱり滋賀が一番住みやすいなと思います。なので、歌詞にも一応「住みやすいよ」とは入れていて。
――反対に嫌なところはありますか?
B:えっ…うーん…。特にないですね。嫌なところがあんまりない…。
――さすが「びわ湖くん」!
B:まあ…渋滞かな?石山駅前の。滋賀県は名神高速道路が通っているんですけど、石山駅前の1号線でみんな下りてくるので、他県ナンバーの車が行列を作るんですよ。それが嫌ですね。それ以外は特に思いつかない。
――石山なら滋賀県大津市の公式キャラクター「おおつ光ルくん」がいるんですが、彼に対してはどう思っていますか?
B:彼や「ひこにゃん」(彦根市公式キャラクター)は公式なので、イベント事とかは彼らが呼ばれますよね。それを見ると「びわ湖くんも呼べばいいのに。よっぽどおもろいのに」とは思っています。特にライバル視しているわけではないんですけど。
――非公式ならではの悩みですね。
B:それで昨年、「某西日本最大級の野外音楽フェス」に勝手に行こうとしたら怒られました(笑)
――事前にバレたんですね(笑)
B:毎年、フリーエリアで全国ご当地キャラが集まるステージがあるんですよ。もちろん呼ばれてないので、じゃあもうお客さんとして勝手に行くかと思って。「着ぐるみを着たらあかん」とかもないのでTwitterで「行きまーす」って言ったら、「だめです」と連絡が来ました(笑)
――それは残念…。
B:今年も一応正式にアポはとったんですけど、だめでした。これ以上無理して行くつもりはないです。大きなイベントですし、大人の事情があると思うので「いらんことしんとこかな」と。
――では今後、目標にしていることはなんですか?
B:やっぱり作曲ですね。作曲活動でお金が入るようにしたいです。あとは、バンド好きな人たちだけじゃなくって、もっと一般の、バンドには興味のないお客さんにも知ってもらえるようにしていきたいです。
Q.「シュッとしてる」ものって何だと思いますか?
B:びわ湖くんの足ですね。「シュッとしてますね」ってよく言われるんですよ。この質問見た時から、「あっもうこれやな」って思ってました。
Q.自分の名前で缶詰を出すとしたら、中に何を詰めますか?
B:琵琶湖の水しかないですよね。
びわ湖くん Twitter
滋賀県非公認キャラクター。各種音楽イベントや学園祭に出演するほか、作曲もこなす。ギター、ベース、ドラムの楽器演奏も可能。好きな漫画は何度も読み返している『スラムダンク』(集英社刊)。