
関西にいる「シュッとした」人たちから「シュッとした」お話を聞きたくて始めた、MAGKANインタビューコーナー!
第七回は、
喜久屋書店 漫画館 京都店で店長を務める、福丸泰幸さんにお話をうかがいました!地元の人からも海外の人からも愛される同店は今年2019年2月11日に閉店することが決定しました。勤める中で感じた、面白い作品をお客さんに届ける情熱と、考え出された仕掛けや展開について語っていただいたインタビューです。

ちょっと漫画家になりたかった時期があって。
──お店に入られたタイミングや、今に至るまでの経緯を教えてください。
福丸(以下F):このお店は二月に閉店してしまうんですが、まだ店がオープンして一年目ぐらいの頃、アルバイトとして入社しました。アルバイト二年目ぐらいで一度「社員にならないか」と言われたのですが、当時はまだ若かったので…夢と言うか、ちょっと漫画家になりたかった時期があって。
──漫画家ですか?
F:実際に描いていたんですが、途中で自分には無理だなって、区切りをつけて契約社員になり、社員、最終的に勤めて十六年目に店長になりました。
──もともとは漫画を描くのがお好きだったんですね。
F:そうですね、絵を描くのがすごい好きで、小学生の時に卒業文集で「漫画家になる」と書きました(笑) 小さい頃なのでお金もなく、買った一冊の本をひたすら何回も読んで模写をする。休み時間にみんなが校庭でドッジボールをしている時も、大抵は一人で漫画をずっと模写し続けるみたいなことをしていました。 でもちょうど小学五年生の頃にファミコンがでて、中学生の時はゲームばっかりしててあんまり漫画は読まなくなってしまいました。高校三年間は体を動かしたくて、ハンドボール部に入り部活しかやっていなかったので、漫画は触らない三年間を過ごしました。
──どうしてアルバイト先が書店になったんでしょう?
F:高校三年生で部活を引退した後、また少し漫画を買うようになったんです。大学生になったらアルバイトもできるようになったので、またドンドン漫画を買い始めて、「漫画がやっぱ好きやな」って。そんな時にアルバイトを募集しているのを店頭で見つけたのがきっかけです。

仕掛けをやり続けたことによって、広がっていったのかなという気がします。
――店内にはサイン色紙がたくさん飾ってありますが、作家さんや出版社との関わりはどのように始まったのですか?
F:初めの頃は出版社の方と面識もないので、基本的には売りたいものを勝手に仕掛けていました。当時はアルバイトなので店長に「これ仕掛けたいんです」と言って、数の希望を伝えて仕入れ、それをガッと並べて売っていくという感じです。それが徐々に出版社さんに伝わっていったようです。
──今まで福丸さんがやってこられた展開や仕掛けで印象に残ってるものはありますか?
F:山田ヒツジ先生の作品で、『月刊少年シリウス』(講談社刊)でやってた『僕の後ろに魔女がいる』っていう作品があったんですけど(2018年8月3日より講談社運営マンガアプリ『Palcy』で連載中)、それが個人的にすごい面白いなって思って、もちろん無名の作家さんだったんですけど、「これ、めっちゃ売りたいな」って大量に仕入れたんです。結果、三百冊くらい売れたんですよ。そんなにすごい展開してるお店もなかったので、実際に調べられた訳ではないと思うのですが、講談社の方から「Amazonより売れているかもしれない」って言われて(笑) 誰でも買えるAmazonよりも売れているっていうのはすごい嬉しかったので覚えてます。
──その時にはどんな展開をされたのでしょうか?
F:タイトルの巨大なパネルを作成しました。ゴシック的なイメージが自分の中で強かったので、レースみたいな画像映像を探して飾りつけました。それが山田先生も好きでいらしたようで、展開を写真で見てすごい喜んでいただけたんです。先生も「見に来たい」とおっしゃっていただいてたのですが機会に恵まれず…。今回閉店するということで、直接先生にご連絡をしたらわざわざ来てくださったんです。「ずっと来たかったので、ひとつ心残りがなくなりました」と言っていただけて感激しました。
──仕掛けの中でも、関西だからこそできたなというものはありますか?
F:関西出身、京都出身の作家さんの作品発売の際に「仕掛けませんか」と出版社の方から言ってもらえるのは多かったです。「おお、京都出身だったらやろう」という流れになるのは多かったですね。仕掛けをやり続けたことによって、一人の方と知り合いになれて、その方から広がっていったり、横の繋がりもあると思うので、「あの店は仕掛けてるから関西行ったときにあそこ行った方がいいよ」と他の担当の方にいっていただけたりとか、そういうところから、ちょっとずつ広がっていったのかなという気はします。
──まずは一歩踏み出して。
F:ほんとに、地道な作業と言いますか。それの繰り返しな感じがします。

まず自分を信じて、その次に疑って、最終的にもう一度自分を信じる(笑)
──展開や仕掛けをする時に、心掛けていたことや注意していたことはありますか?
F:言葉にすると、まず自分を信じて、その次に疑って、で、最終的にもう一度自分を信じる(笑)
──それは、どういうことでしょう?
F:一番初めに、読んだ作品に感じた「これ面白い!これ売りたい!絶対売れる!」っていう自分の感覚を信じるんですね。次に、自分を疑うんです。「ほんとにこれ面白い?」って。自分の好みやジャンルで、過剰評価してしまうことがあるので、「ほんまにこれ面白い? ほんまに売れる?」というのを自問自答します。過去のデータを見て「こんなのが売れていた、こんなのが売れていない」などいろんなことを考えた後に「これ自分が売れるって思ってるんだから仕掛けようよ」という風に決めています。「これ気にしてたけど、過去にこういうのは売れてないしな」って思って入荷数を減らしたらすごく売れてしまって「あーっやっぱりなあー」と悔しい失敗を積み上げたりしつつ(笑)
──そこで自分を信じておけば。
F:そう。自分を信じておけばよかったなって、もちろん失敗することもあるんですけど、やって失敗するならまだしも、やらずに「ああしまったな」って思うとすごい悔いが残る。なので、「信じて疑って信じる」って感じですね。

「ここにある漫画、もっともっと売れても良いと思うんで、とりあえず見本読んでいただいてよいですか?のコーナー」を作ったんですよ(笑)
──二月に閉店してしまいますが、売り場作りでもっとやりたかったことはありますか?
F:売り場の装飾を本当はもっとこだわってやりたかったですね。時間が限られているので、サイン色紙をいただいたら並べてポスターを貼ってと、単純になってしまうこともありました。装飾コンテストで他店の展開の写真をツイッターなどで見ていると、「いいなあ、こんな風にしたいなあ」って思うのがあって、時間があればとずっと思っていました。あとは、面白い本がいっぱいあるのを、どうやってお客様に見つけてもらえるかどうか、を考えていました。
──具体的に言いますと?
F:これは絶対に売れると思う本を百冊、二百冊一気に仕入れると、棚をずばっとコーナー展開できて目立つので、お客さんにも手に取ってもらえるんですけど、そういう本は稀なんです。売れると思うけど、二十冊、三十冊しか仕入れられない本、細かい仕掛けしかできないものをどうやって売ったらいいのかをずっと考えていた時に、テレビで海外の本屋さんのアメコミを並べている映像を観たんです。
──アメコミの並べ方にヒントを見出したんですね。
F:向こうの文化では棚差しの文化がないらしく、基本的に棚は全部表紙が見えるように並べていました。僕が見た時も棚の上から下まで面でした。それを見て「これいい、見た目も綺麗だし、これやろう」と思って。だけどただ普通に一面ずつ違う本を並べるだけだと、逆に見にくくなったりしますし…。そこで、「ここにある漫画、もっともっと売れても良いと思うんで、とりあえず見本読んでいただいてよいですか?のコーナー」を作ったんですよ(笑)
──分かりやすい!(笑)
F:「見て、こういうふうにしたいねん!」ってお客さんに直接訴えるポップを書いて、本を上から下まで並べたんですけど、それをした時に一冊二冊しか売れなかった本が、もう何倍も売れるようになったんです。やっぱりぱっと見て目に入るんですよ。
──趣旨が目に入るんですね。
F:そうです。そのコーナーに入ると見本を読んでいただけました。ほとんどの本を読めるように見本を置いて、たくさん読んだ中から面白いものがひとつでもあれば、購入していただければという思いでコーナーを作りましたが、それが効果的でした。

本屋がなくなると買わなくなってしまうのではなく、できれば近くの本屋とかで面白い本を見つけていただけたらな、と思います。
──22年間務められてきて閉店が決定した今、どういう思いでいらっしゃいますか?
F:「残念」と「お客さんに申し訳ない」という気持ちですね。中で働いてはいますが、漫画を買う一個人としてもこの店が好きだったので。「残念だな」っていうのが、閉店を知り初めに思ったことです。いつも行っている店がなくなったら、そもそも本を買わなくなる人が絶対にいます。なので、本屋がなくなると買わなくなってしまうのではなく、できれば近くの本屋で面白い本を見つけていただけたらな、と思います。ここじゃなくても買えるので。
──めちゃくちゃいい言葉を聞いた気がします。そうですね。本屋がなくなるだけで、買う機会がなくなると買わなくなってしまいますよね。若い方とか特に。
F:本だけではないですが、買わなくなると、買わなくてもいい生活に徐々になれていってしまうので、そうなると「買わなくていいや、漫画は別にいいや」ってなってしまう。面白いと思うような本があるのであれば、今後もどこかで買っていただければ嬉しいなと思います。

Q.「シュッとしてる」ものって何だと思いますか?
F:「シュッとしてる」って、男性の見目のみにしか適応できないものなのかなと勝手に自分で思っていて。女性には言わないじゃないですか。男性限定の言葉なので、そういうイメージしかなかったです。
──その中でも俳優さんとか、この人とか?
F:芸能人の方は、全員シュッとしてると思います(笑)
Q.自分の名前で缶詰を出すとしたら、中に何を詰めますか?
F:けっこう可愛いものが好きなんですよ(笑) この質問を見た瞬間に、缶詰の中にふくふくとした、まるくしたこう…動物のぬいぐるみ的な、猫とか犬とか鳥とかなんでもいいんですけど、それをこう缶詰の中にぎゅって(笑)
──押しこんで(笑)
F:押しこんで、開けた時にどうぶつの何かがでてくる。丸い生き物って見てると心が和むというか、幸福になれますよね。自分の名字が福丸で、幸福の”福”がついてるんですけど、名前が泰”幸”っていうんです。合わせて”幸福”になるんです(笑) 名前がそうつけられているのもあって、缶詰を見て触った感じで幸福になれるような缶詰になるといいなと思います。

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