• お知らせ 2018.8.1

シュッとした噺【第一回】

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関西にいる「シュッとした」人たちから「シュッとした」お話を聞きたくて始めた、MAGKANインタビューコーナー!

第一回は、

2018年6月2日に公開された劇場アニメ『PEACE MAKER 鐵 -想道-』。そのパンフレットをデザインされた、デザイナーの大山竜平さん(左)と才辻香里さん(右)にお話をうかがいました! 漫画好きのお二人がパンフレットに込めた想い、また、デザイナーという仕事にかける想いに触れるインタビューです。

やっぱりもともとファンなので、すごく、すごく嬉しかったですね。

──原作コミックス『PEACE MAKER 鐵』はご存知でしたか?

大山(以下O):異聞(『新撰組異聞PEACE MAKER』)の頃から存在を知ってはいましたけど、読んだのはパンフレットを作ることになってからですね。

才辻(以下S):私は異聞が雑誌連載されていた頃からファンでした。雑誌もコミックスも買っていましたし。

──当時、何歳ぐらいでしたか?

S:たぶん、中学生くらい。PM鐵(『PEACE MAKER 鐵』)になって休載されるまではコミックスを買ってた気がする。

──それで、小さい頃から知っている漫画の劇場アニメパンフレットをお仕事で作ることになったと。

S:やっぱりもともとファンなので、すごく、すごく嬉しかったですね。

O:中高生の頃から毎日ほぼ本屋さんに行ってて、お店の棚に並んでいた作品なら全部知っているってくらい漫画が好きなんで、漫画関係の仕事ができて良かったと思っていますね。

S:職場には漫画が好きなスタッフが多いんですけど、今回お仕事として関わらせていただく機会に恵まれて、嬉しいなあという気持ちがすごく強いです。

──特に好きなキャラクターやエピソードは何ですか?

O:キャラクターは原田左之助が好きですね。基本的におっさんが好きなんですよね。汚いおじさんが好き。男くさい、男っぽい感じ。

S:私は沖田総司が好きです。一番最初から好きで、新撰組ものをみたら絶対沖田総司にハマるんですけど、PM鐵の沖田総司が一番の原点かな。

──どういうところがお好きなんですか?

S:強いですし、普段は明るくて、かわいくて、素敵じゃないですか。でも後半は病気が悪化していくので、わかってはいるんですけど、PM鐵はすごく丁寧に描写していくので、向き合うのが辛いですけど…。あとエピソードとしては、アユ姉のところが一番印象に残ってます。異聞を知ってる人はみんな思い出のあるシーンじゃないかなと思うんですけど。忍びの生き方を初めて知った作品だったので、その当時はすごくショックでしたし、今でも残っています。なんか、学んだっていうか。

PM鐵の世界観を考えたら迷いませんでした

──そんな思いを持って作っていただいたパンフレットなんですが、一番こだわった点や苦労した点はどこですか?

O:表紙の黒ですね。墨の部分。一色の黒じゃない、四色入ったリッチブラックって呼ばれる色なんですけど。

S:元のイラストが青っぽい雰囲気に見えるので、それを活かすための黒にはこだわりましたね。

O:表紙の三人の足元がうまく消えるような色味の調整とか、裏表紙の鈴がいるところの黒のなじみ具合とか。

S:デザインも、新撰組に寄りすぎず、和だけどモダンな感じのイメージをうかがっていたので、あとはPM鐵の世界観を考えたら迷いませんでした。

O:筆を入れつつも、P.3のようにライン処理を入れてモダンな感じにしたり、P.10のセリフの枠も和のイメージだけだったらこんなデザインにはしてませんでしたね。とにかく、苦労はなかったと思います。作ってて楽しかったんで。

 

──ちなみにこの墨の飛沫の部分って全部形が違いますよね。何パターンあるんですか?

S:わからないです(笑)

──ええっ(笑) いやもう、全部違う!どういうことや!ってなってしまって。

S:決して重要な部分というわけではないので、二パターンくらい作ってコピーでも十分ではあるのですが、つまんないかなって。それに主にキャラクターやキャストさんの紹介のところに使ってるものになるので、一人一人違うキャラクター、キャストさんですし、同じものでないほうがいいかなあ、と。個性じゃないですけど、違う形にしようというのは意識して作っていましたね。

──すごく素敵なパンフレットになっていますよね。P.8の登場人物紹介の枠の花柄も本当にぴったりで。

O:あそこ最初、巻物にしようって言ってたんですよ。この花柄を巻物の外の柄にして。

S:右下のところに鉄の髪留めの紐を巻物を止める紐として入れようかなって思っていたんですけど、それはボツになりました(笑) ここから次に続いていくページになるから、留めるのもなあっていうのがあって。

 

──渾身の出来だと思っているところはありますか?

S:キャスト紹介のページの背景ですね。パンフレットを買ったファンの方はキャラクターの絵をいっぱい見たいと期待されてると思うんですよ。だから、キャラのラフ画をおまけになりすぎないように、味が伝わるようにと気を付けて調整していました。

O:色味はけっこう調整したような気がします。

S:そうですね。黒字でいくか、赤でいくか、とか。元の絵が鉛筆で、一部に色がのっていたのでそのまま使ってみたり。

ちょっとクスッてなるような部分を作りたいなあって

──映画公開後はTwitterで「特別企画☆サイゾーを探せ!!!」というパンフレットに隠されているサイゾーを探す企画がありましたが、何がきっかけでサイゾーを隠すことに?

S:確かマッグガーデン関西事業部の皆さんとお打ち合わせをした時に、本編が暗い、つらいって話になって。

O:ノンブルとかにアイコンでサイゾーをいれようかということになったんですよね。

S:そうですね、ちょっとクスッてなるような部分を作りたいなあってお話をしたかと思います。

──それでどうせなら隠して探したらいいんじゃないか、と(笑) 企画参加者の方々から難しいという声をよく聞いたんですが、隠す場所はどうやって決めていかれたんですか?

O:難しすぎず、簡単すぎずって考えましたけどね。モメにモメましたね。

──モメにモメる!?(笑)

S:一度隠して、他のデザイナーに見てもらってどのくらいで見つけられるか試しながら、けっこう早かったなとか、全然見つからないからこれはやばい、とか言いながら。

O:邪魔にならないように隠したいっていうのもあって、このへんには入れる、入れないでモメましたね。でも、そもそものパンフレットにいるサイゾーの数を数え間違えていたっていうのが一番の後悔…。

S:本当に申し訳ございません。

──制作者として、この場をお借りして、もう一度皆さんにお詫び申し上げます。大変申し訳ございませんでした。

S:後篇もつらいお話になるので、次のパンフレットも笑える、ニコッとできる企画をしたいですね。

──このインタビューをきっかけに、パンフレットを買った方々は読み返してみてください。後篇のパンフレットもこうご期待!です。

頑張れるって才能だと思うんですよ。頑張ることが大事って当たり前に言う人が多いですけど。

──お二人は株式会社 創英という、大阪にある企画制作会社でデザイナーのお仕事をされていますが、どういうきっかけでその職業に就かれたんですか?

O/S:絵を描くのが好きだったんです。

O:はじめデザインが好きだったわけではなくて。クリエイティブの仕事に就きたいなという気持ちで芸術系の大学に入ったんですが、デザインの仕事を勉強していく中で、おもしろい仕事だなって思ったんですよね。

S:私ははじめ「絵で仕事がしたい」と思ってたんですよ。「私の絵で食べていけるんだろうか」「そもそも本当に絵を仕事にしたいのかな?」とか不安も抱えていたときに、大学で先生から「デザインの制作技術を学んでおくと選べる仕事が幅広いからほぼ職に困らないよ」と言われて「いいやん」って(笑)

──お二人ともはじめから「デザイナーになる!」という気持ちではなかったんですね。

O:そうですね。芸大に入ってみると周りがデザインの話しかしないんで、おもしろいなと思えました。「デザインが必要か、必要じゃないか」とかを一晩中話して気が付いたら夜が明けてた時もありましたね。ずっと座ってたから圧迫されて膝の内側に青タンができていました(笑)

S:大学で学ぶうちに、デザインは楽しいと思えていたのが大きいですね。香水のパッケージデザインを作って大学の展覧会に出したことをきっかけに、仕事にする道へ進んだ感じです。

──デザインをするにあたって、一番影響を受けているものってありますか?

S:『ジョジョの奇妙な冒険』(集英社刊)。アートでもあるような構図、色使い、見せ方も好きですし、ハイブランドとのコラボのような作品のプロモーションも好きです。あとは椎名林檎さん。曲はもちろん、PVやライブの演出は最高だと思います。

O:気持ちの部分になってしまうのですが、森川ジョージ先生の『はじめの一歩』(講談社刊)。『はじめの一歩』は頑張ることを教えてもらいましたね。「一歩はこんなに頑張ってるのに、俺が頑張れへんてことはないやろう」と思って。あ、あと山口貴由先生の『覚悟のススメ』(秋田書店刊)。

──お二人とも漫画!

O:小さい頃は読まなかったんですけど、中学生になってからは学校に通う道のりで毎日1〜2冊読んでました。アホみたいな量を読んでいますね。

S:デザインというよりも、人を感動させる、印象付けるテクニックや見せ方を見ているのかもしれないです。

O:普段はWEBやポスター、雑誌で今の流れやデザインの流行り廃りを見るようにしてます。見かけたもので「これはあれに使えるんじゃないかな」とか。あと面白い考え方や技術があればそれをスクラップしておいたり。

S:こんな風に、「いいな」と思ったものはビジュアルでフォルダにまとめておいて、繰り返し振り返って見ることもあります。自分は今こういうのが好きなんだなって客観的に見ることができますし。ビジュアルじゃなくてアイディアなら書き留めたり。

O:ぼくはメモをつけないですね。アイディアノートがあるのは漫画だけです。

── …!? 漫画のアイディアノート…!?

O:「こここうすればおもしろくなる」とか「これ漫画にしたらおもしろいんじゃないか」とかを思いついたら書き留めてます。

──それはもう漫画編集者の仕事では(笑)

O:あとは外出中に変な素材があればまず触りますね。服屋さんでも、触ってから形を見る。

S:そうですね。街で配られているDMやパンフレットは気になったら持って帰ります。

──特に好きな素材は何ですか?

S:ハトロン紙っていう、片面がツルツル、片面がざらざらの薄いクラフト紙が好きです。あとはキュリアス。パールの入った光沢のある紙で、印刷がのるとちょっと沈むんですけど、繊細なパールがすごく綺麗なんです。

O:マットPPが好きなんですよね。PM鐵のパンフレット表紙もマットPPです。こう、ぬるっとした質感がいい。

S:手触りがね、変わりますよね。

O:もっとぬるぬるでもいいくらい。

S:それは好きですね。ぬるぬるなんですよ(笑)

 

──そうやって周りの物を見る中で、最近特にすごいなと思ったものは何ですか?

O:ひらパー(「ひらかたパーク」。大阪府枚方市にある遊園地)のパロディポスターシリーズですね。イメージキャラクターの岡田准一さんが映画『関ヶ原』に出たからって、関ヶ原からひらパーまで徒歩23時間、ていう映画のポスターをパロディにしたものが特に好きです。園長になった岡田准一さんを数cmサイズのフィギュアにしてパーク内に隠すっていうキャンペーンも。気の抜けた(褒め言葉)、すごいおもしろい企画をよく思いつくなと。

S:キリンレモンのリニューアルパッケージ。一番最初に出た瓶の時のデザインが意識されていて、レトロなんだけど新しいデザインなんです。懐かしさを感じさせつつ、クリア感もあって良いデザインだなと感じました。

O:単純に好きだなって思いながらも、自分もやりたかったなって悔しくもなりますね。

──ユーザーとして良いなとも思うし、デザイナーとして悔しさも感じるんですね。そんなデザイナーというお仕事をする人に必要なものって何だと思いますか?

O:自信。仕事の成果物って自分が今までやってきた頑張りを反映したものなので、それに対して自信をもって、最後の芯は折れないようにしたいな、と。

S:読む人のために作る意識。仕事なので、いろんな意見をたくさん聞くことになるんですが、手に取られた方が楽しい・嬉しいデザインが出来ているかどうかっていうのは絶対にブレたらだめだと思っています。

O:あと、普通って何かを考えること。

──普通?

O:デザインのエンドユーザーって語弊がありそうですが一言で言うと「普通の人たち」じゃないですか。デザイナーってよく、尖ってるとか人と違うものが好きって思われがちなんですけど、そうではなくて、一番「普通」って何かをわかってないといけないかなってずっと考えています。

S:当たり前だと思っていることが、本当に当たり前なのかって自分なりに考えるのも大事ですよね。これが当たり前なんやからこれでいいねん、じゃなくて、もっと良いアイディアはないかな、改善できるところはないかな、って考えたい。

──お二人の熱く語る姿を見てると、本当にこのお仕事が好きなんだなって伝わってきます。

O:嫌いやったら5年も10年もできひんやんな。

S:そうですねえ。

O:頑張れるって才能だと思うんですよ。頑張ることが大事って当たり前に言う人が多いですけど。

S:その物に対して、自分の中で大切にしているものとか、好きって気持ちがないと頑張れないですね。

O:作ったものを実際に使った人から感想を聞く機会が自分たちは少ないので。

S:だから今回のパンフレットはご購入くださった方の声をTwitterなどで見ることができて、見てくれる方はこんなとこまで見てくれてるんだって分かって、頑張って良かったなって思います。

撮影:青谷建(株式会社 創英)

Q.「シュッとしてる」ものって何だと思いますか?

O:ベスト。スーツの中に着る。とがった状態のスタイリッシュなもの、ですね。

S:猫。

Q.自分の名前で缶詰を出すとしたら、中に何を詰めますか?

S:好きなもの。ジョジョは絶対詰めます。好きなものが詰まっていたら、私の世界観が分かってもらえると思うので。

O:ゲーム。ゲームが趣味なんで。

──ここにきてゲーム!? 漫画は趣味じゃないんですか?

O:漫画は人生です。

 

© 黒乃奈々絵/マッグガーデン・PEACE MAKER 鐵 製作委員会


株式会社 創英公式サイト

紙のパンフレットはもちろん、WEBデザインから動画まで手がける企画制作会社。「京都国際漫画賞2018」の「日本部門」の募集チラシのデザインのほか、滋賀県による石田三成発信プロジェクト「三成会議」のポスターデザイン等も制作している。

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